散歩主義

2004年06月17日(木) N‘s jazz house  vol.6





 好きなジャズピアニストは?と聞かれたらなんと答えるでしょうね。昔はどう答えていたのかな。今なら、迷わずキース・ジャレットだけども。

 2ヶ月前ならハービー・ハンコック。その前ならビル・エヴァンス。さらにその前ならレッド・ガーランド、その前はウィントン・ケリー…、別格大明神セロニアス・モンク。さらにいうなら高校の頃のバド・パウエル。それにこのジャズ・ハウスで紹介した孤高のピアニストたち。

 その他きら星の如くピアニストたちはいて、それぞれ、これが嫌いになってほかを聞き始めるというのではなく耳の記憶として積み重なっているんです。だから好き、というよりもその時はそのピアニストを集中して聴いていた、と言ったほうが正しいかもしれません。

 で、今はキース・ジャレットに思いきり傾倒しているのですが、忘れないうちに紹介しなければ、と思いたったのがオスカー・ピーターソンの存在です。

画像で紹介した3枚のアルバム、どれもいいです。というかこの人のアルバムには「ハズレ」がないのですが、そのなかからもし選ぶとしたらという3枚。

 「光函」の左手にあるのが「Girl Talk」右側の上が「NIGHT TRAIN」、下が「The Trio」。
それぞれぼくの一番好きなジャケットの盤、スタジオ録音で最高のもの、ライブで最高のものとなっています。

 オスカー・ピーターソンという人はとにかくべらぼうにピアノがうまい、とジャズファンなら多くの人がそう言うと思います。うま過ぎて嫌われる、というところがあるかも知れません。ピアノの隅々まで知り尽くしいる、というようにも聴けるかな。
 
 テンポの速い演奏も抜群ですけれど、この人のブルージーなバラードを聴いて欲しいです。これこそジャズ、ですね。そういう意味では「NIGHT TRAIN」がいいかもしれません。特にブルースの好きな人にはおすすめです。
 だけどリリカルなバラード、ぞくぞくするようなジャンプナンバー、とにかくいかしているアドリブ、全部揃っているのが「The Trio」です。

 なんせ「The」がつくトリオです。オスカー・ピーターソン、レイ・ブラウン、エド・シグペンの三人の「黄金トリオ」ですね。
ジャズ・ピアノ・トリオとしてはビル・エヴァンス、キース・ジャレット、と並んで極めつきのトリオだとおもいます。ピアノ、ベース、ドラムスの一体感、インタープレイの絶妙さ。どれをとっても素晴らしいライブアルバムです。

 で、個人的に一番聴いているのは、実は「Girl Talk」です。ジャケットの黒人の女の子がとてもかわいいから、というのは冗談ですが(だけどほんとにかわいい)、このアルバムだけ絶頂期といわれる30歳代にヴァーヴに残した他の二枚と違い、ドイツのレーベルMPSに録音したもの。

 何故ドイツに、というところがオスカー・ピーターソンの「らしい」ところでもあるのです。彼がやっかみ半分に他のジャズマンやファンからブルースフィーリングがない、という攻撃を受けていたことがあって、それは多分今でもそういう人はいると思うけれど、それは彼がカナダ生まれということ、だからアメリカでの1大ジャズムーブメントだったビバップの影響を受けていないこと(故にもっと発生期のジャズに近い演奏で、それがまた理詰めでとにかく美しい)に起因していると思います。
実際の演奏を聞けばブルースフィーリングが欠けているなんていうことはまったくないということが理解できると思うのですが。
 そんななかでとにかくストイックに自らの音を追求していき、彼のよき理解者でありエンジニアでもあったハンス・ゲオルグ・ブルンナーシュのMPSへと移籍していったのでした。「Girl Talk」はそこでのアルバムです。
彼の直筆でexclusively for my friendsとジャケットに書かれています。彼のそんな状況も考え合わせて聴くと、ぐっときますね。音はますます磨かれ録音も抜群の状態。

一曲目の「晴れた日に永遠が見える」のスキップするようなピアノ、ニ曲目のしびれるほど綺麗な「I‘m in the mood for love」。
3曲目はタイトルナンバーの「Girl Talk」。これをよく聞いて欲しいんですが「あのねあのね」って聞えるんですよ。(はい笑わない笑わない)「少女のように喋るピアノ」。是非どうぞ。
そして4曲目はコール・ポーターの「I concentrate on you〜moon river」はソロ・ピアノ!です。圧巻です。
(彼はこのあたりからソロピアノが増えていきます。)
最後の「Robbin‘s Nest」はもう自在のピアノですね。

もしジャズピアノの典型は誰か、という問いがあったらオスカー・ピーターソンはアート・テイタムとならんだ位置で必ず指を折られる一人でしょう。
とにかくピアノを追求したこのジャズマンの存在は忘れてはいけないでしょうね。


なんだか結局、Girl Talkのことばかりになりましたが、以上オスカー・ピーターソンでありました。


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