散歩主義

2003年12月16日(火) こういう人になりたい…リチャード・ボナ

昨晩のNHKBSハイヴィジョンで、津軽三味線の吉田兄弟のNYライヴまでの軌跡を見ていました。たまたまなんですけどね。

津軽三味線を弾くふたりは、どんよくにその楽器と音楽の可能性と枠を広げようと、とてもポジティヴな取り組みをしていました。素直なんですよね。
こだわりもなにも楽器が楽器だからどう弾いても強烈な個性がでるわけで、ティピカルジャパンなスタイルをしっかりと持ったまま、アメリカのミュージシャンとセッションを積み重ねていきました。

やっぱり音楽はいいです。
言葉を越えてますよね。身振り手振りでリズムとタイミングをあわせ、音を合わせ、互いを理解し自分を提出する。なかにはエゴの塊のようなミュージシャンもいるのだろうけれど、エゴとセルフネスとは別物。自分を出すのは当然として、相手に対して聞く耳を持てるのかどうか。

そんなの相手次第じゃんと思いがちだけど、見ているかぎり幸運にも吉田兄弟も回りのミュージシャンも一生懸命アイデアを出し合い、アレンジを練り、バンドとしての音を確立していったんです。
ぼくがミュージシャンたちを見ていて、一番羨ましいな、というかいいなと思うのはそういう瞬間。

そんな人たちの極めつけがベーシストのリチャード・ボナ。今をときめくジャズベースの第一人者です。彼のところへ吉田兄弟が出向いていったのですね。
今ではパツト・メセニーグループの一員として有名だけど、日本とは縁が深くて、渡辺貞夫さんとのアルバムが二枚、うちにあるのではボサノヴァの日本おける第一人者(とぼくが思っている)中村善郎さんのルミノーゾというアルバムにも参加。
素晴らしいベースを聴かせてくれます。

とにかくこの人は優しいんです。全身音楽の塊というような人で、全身を包むオーラがただものではない。とろけてしまうような優しい目をしていて、寛いでいるんですね。もちろん吉田兄弟も歓待し、すぐにその場でセッション。
吉田兄弟の音楽へのひたむきさに、彼らの将来が豊かであるように説明していました。

びっくりしたのは同じフレットレスの楽器の経験者とはいえ、一回で三味線の弾き方をほとんどマスターしてしまった事。笑いながら。

こういういい方はあまりしたくはないんだけど、カメルーンという国のひとたちは音楽に特化されている、というのは本当のことのように思えます。
凄い。歌も素晴らしい。
徹底的に前向き。何があっても前向き。そして他者に本当に優しい。これは学ばねばならないとおもいました。

吉田兄弟の音楽に関していえば、あのビル・ラズウェル(ミック・ジャガーのシーズ・ザ・ボスのプロデューサー)に注目されたのは大きいですね。むしろ向こうの人たちの方がなんの先入観もなしに音そのものに反応するから、思わぬひろがりが期待できると思います。ラズウェルの奥さんのジジの歌うスーダンの古い民謡が驚くほど三味線に合っていたのには驚きました。

ワールド・ミュージック、ですね。どちらかというとディープ・フォレストよりもウェザーリポート(実はこの二つのコンボの音づくりのアプローチは似ているんですが)っぽい感覚でいったら面白いと思いました。
弦を弾く楽器には「音が滑る楽器」、たとえば管楽器とか、弦でも弓で擦る音とかが合うように思うんですよね。シンセとか。ピアノでがっちりコードで縛ることできないでしょ。三味線だから。最初からモードでいくしかないのかな。

門外漢の独り言ですが…。

とまれ、生のリチャード・ボナを見れただけでとても幸せでした。吉田兄弟、ありがとう!
(ちょっと感謝の主旨が変かな)


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