散歩主義

2002年10月16日(水) 合掌。

昨日、訃報がひとつ。
作家の日野啓三さんがお亡くなりになりました。四度のガン手術、一度のクモ膜下出血を乗り越えてこられましたが、残念です。
代表的な作品に「抱擁」があります。ぼくがいちばん印象に残っているのは、インタヴュー番組の映像。たしかクモ膜下出血からの生還を果たされた後だったと思います。小雨が降る都内某所をゆっくりゆっくりと歩きながらのインタヴューでした。

氏の足は自然に緑の方へと向いていきます。大病で死に直面してから、と語りだされました。
「こういう物言わぬ緑や名もない小さな花の『いのち』に感応するようになったんです」、と。
そして、いとおしそうに雨に濡れて光る緑の葉を撫ぜておられました。その姿が今でも脳裏に刻まれています。
風景全体に不思議なオーラが満ちていました。

9.11以降の日々の感想などを綴られたエッセイを読もうと思っていた矢先でした。

合掌。


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にしはら ただし [MAIL] [HOMEPAGE]