散歩主義

2002年09月30日(月) 「悪」のこと。

新聞の日曜版は読書特集が組んである紙が多いです。
「海辺のカフカ」のレヴューもいくつかでていました。
わりと好意的なものが多いです。

ぼくの意見としては、あの本は戦うことを宣言した本でもあると思うのです。
悪の代名詞たるジョニー・ウォーカーとのはっきりとした訣別、あるいは戦うことの宣言です。ナカタさんもホシノさんもジョニー・ウォーカーを「殺し」ます。
その意味が深い。この作家がそれを書いたことを覚えておくべきだと思います。
やはり戦うのです。不条理なまでの怒りを自らに許すのです。
それをどうとるか。

昨日、ある方の日記で、捨てられ殺される犬の写真を見てしまいました。
「海辺のカフカ」にでてくる猫ごろしのコレクターにしてカフカ君の父、ジョニー・ウォーカーがすぐに頭に思い浮かびました。
また、あるテレビのバラエティで「こいつは絶対駄目だと思った時」という質問に答えてこういうのがありました。
彼女から旅行をせがまれて、犬がいるからなァ、と言ったところ「いいじゃない、保健所に持ってきゃ。かわりはいくらでもいるでしょ」という答えが返ってきた、と。
さりげなくそういう意見は多いのでしょうね。

自らに不条理なまでの怒りを許すほどの「悪」。
だけど、本当の「悪」は人を怒りに導くものではないと思います。
人の「やる気」を奪い去るものが本当の悪です。
It‘s my opinion.


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