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2004年01月19日(月) |
総天然色 AKIRA(その1) |
ご存じ日本が誇るSF漫画の金字塔である 大友克洋の『AKIRA』。 日本では1984年9月21日に第1巻の単行本が 発行されたこの作品は、現在では14の言語で訳され、 50ヶ国以上の国で販売されているそうです。
海外のコミックを見たことがある方なら ご存じかとも思いますが、向こうの漫画って 日本の様に白黒&トーンで描かれていなくて、 ほとんどが着彩されてるんですよね。
『AKIRA』の国際版も、 コンピューターカラーリストの スティーブ・オリフ氏が着色したとのことで、 海外マーケットのニーズに応えた形でしょうか。 一応大友さんが着色した数点を参考に カラーリングしていったらしいのですが、 もともと大友さんのカラーセンスは 目に痛い配色が多かったので、 本書も美しい彩色とはお世辞にも言えない仕上がりです。
グラデーション・トーンを使用しているものの、 基本的にベタ塗りなので、カットによっては ほとんどアニメ絵に近くなってしまっているのが残念。 スティーブ氏がアニメ影で個人的に 演出している絵までありますし・・・。(泣)
ところで、日本の漫画を海外向けにする際、 一番問題になるのが文字の問題からくる、コマの読ませ方。 日本語は縦書きで文字を右上から読むので、 コマも右上から読んでいきますが、 英語等の言語は横書きで左上から読むので、 コマも左上から読むように構成されています。
これに対応する為に、日本の漫画は原稿を左右反転して 印刷・製本するらしいのです。 結構無茶なことするなぁと思ったのですが、 この『AKIRA』の国際版も、確かに左右反転されていました。 ですから、登場人物は皆、左利きです。(笑) 海外の人からは、日本人っていうのは左利きが多いのか? って勘違いされてたりして?(それはない)
でも単純に版を反転すればそれで終わりじゃないのが、 左右逆版の難しい所。 ただ反転しただけだと、ビルの看板等の文字も 裏返ってしまうので、文字は反転し直す必要があります。 文字は原版のまま使えるかというと、版を逆にしたことにより 文字が書かれていた場所とはパースが逆になってしまうので、 グラフィックソフトで加工して貼り付けてやる必要もあるのです。
大友さんの漫画は、ビルの看板等も丁寧に描いていますし、 金田が乗るバイクだけ見てみても、[成田山][elf] [canon][CITIZEN][HONDA][SHOEI][NGK]と、 これだけのステッカーが貼ってあるのですから、 その作業量たるや大変だったことでしょう。
所々入れ替え忘れてる文字を見つけるのも、 この国際版を見る秘かな楽しみの一つではあります。(笑)
<明日につづく>
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