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2002年11月30日(土)  社長が心筋梗塞で倒れた!(その4)

昨日の続きです。
今まで同様、専務から聞いた話を基に、
再構成しています。

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月曜日の朝。
病院から「来てください」との連絡があり、
専務は他の兄弟と共に、病院に向かうことになる。
病状が悪化したわけではない。
全くその逆で、完全に意識を取り戻した社長が、
自分のおかれた状況を理解できずに
大暴れして手に負えないので、
家族から説明して欲しいとのことだった。

ベッドの足元近くには、看護記録のような
術後の経過等を書き込む紙があったのだが、
そこには子細に社長の大立ち回りが書き込まれていた。

『意識が回復したもよう。「ここはどこだ!?」と叫ぶ』
『「なんで俺は縛られてるんだ!? 早くほどけ!」と暴れる』
『暴れるので手足を押さえるが、手に負えない』等々。
36時間前には心臓が止まっていて、
死の淵を彷徨った人物の行動とは思えない。

社長は自分が倒れた記憶すらなく、
専務が、緊急手術したことなどを説明しても、
「手術をしただと? どこも痛くないぞ!」
「脳に障害が残るかも? 頭に手術した
 痕なんかないじゃないか!」
と、やはり状況をなかなか理解できなかった。

社長が倒れてから、てんてこまいだった専務は、
意識を戻すなり、いつものように人の話を
全然聞きゃしない社長に、呆れるばかり。
「散々人に迷惑かけておいてコレかよ!」
我々にはこっそりそう愚痴っていた。

とにかく担当した医師ですら
急性心筋梗塞で心停止した患者の30%は死亡し、
たとえ死を免れたとしても、重度の障害が普通は残る、
社長のようなこんな回復例は今まで見たことがない、
できれば特異例として標本にしたい、
という程の社長奇跡の回復っぷり。

火曜日には食事も普通食、
水曜日からは自分の脚でトイレも行けて、
木曜日にはリハビリを開始して、
なんと明日日曜日には、早くも退院することになった。
本当に驚異の生命力だ!

とは言え、やはり完全に元通りになるのは不可能なこと。
心停止して、血液がまわらなかった心臓の
一部の組織は死んだまま、もう元には戻らない。
また、記憶の一部が抜け落ちるらしく、
土曜日に目を開け頷いたことを
憶えていないのは無理ないとしても、
今日聞いた話では、この2、3日は、
前日のことを憶えていられなかったらしい。

まだたった1週間なので、
その点は障害として残るのかもと、
結論を出すのはもちろん早計だけど、
できるだけ元気になって欲しいと願う。

いや、専務の話によると、
躁鬱病の『躁』状態じゃないかと思える程、
ご機嫌で元気らしいんだけどね。

「俺の趣味は仕事!」と言い切っていた社長。
意識が回復した翌日には「仕事大丈夫か?」
と心配までしていた。
まあ、これからは実務は我々に任せて、
復帰後はど〜んと社長室で、経営のことなど
本来の社長業に徹してくだされ。





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