周回遅れに気をつけろ!
.ALL LAP LIST.| << LAST LAP.| NEXT LAP.>>
社長が倒れたために出来た業務の穴を埋めるべく、 主要なメンバーを集めて、緊急ミーティングが開かれた。 専務は、今まで社長に提案するも、却下され続けてきた自案を 今こそ実現させる時だとばかり、張り切っている。
「いつかはこういう時が来るとは思っていたけど、 突然だからな、俺も困惑しているんだよ。」 と言いつつも、経営権は社長にあるが、 事実上実務の全権を掌握できたことを 歓迎しているのが、言葉の端々から伺えた。
「今までの売り上げを見ると、 社長のセクションが45%、 俺(専務)と君(私)のセクションが55%。 これを今いるメンバーでこなす為、 当然各人の仕事の割り振りを変更しなくちゃならん。」 うんうん、それは当然そうでしょう。
「そこで、今まで社長がやってきた仕事は、 俺(専務)が中心となって、 他のメンバーには今まで以上に関わってもらう。」 社長の実務に関しては、当然そうなるでしょうね。
「で、俺(専務)がやってきた仕事は 君(私)に任せることにする。」 ははぁ、光栄にござりまする。 で、わたしが担当していた仕事は誰が?
「現状、我が社は新社屋を建築中だ。 土地を取得した段階からローンの返済は発生して、 現在この事務所の家賃と、 新社屋分のローンを払っている。 何事もなければ、この二重支払いも なんとかなるという計画だったが、 社長が倒れた為に、社長のセクションからの 収入が断たれてしまった。 経理からは、早くも資金繰りが苦しいと言われている。」 やや、それは大変です・・・が、 それって、独断で新社屋を建てると言い出した 社長の責任であって、我々は反対だったんですけど・・・。 で、わたしが担当していた仕事は誰が?
「そういう事情もあって、新たに人を雇う余裕はない。 かと言って、現状、俺(専務)と君(私)以外に、 我々のセクションの仕事を任せられる人材は この会社にはいない。 と言うわけで、大変だろうが、がんばってくれ。」 って、マジですか?
大変だろうがって、専務、この間、 「君がいてくれて助かってるよ。 俺(専務)一人じゃ、この仕事は 絶対こなせなかっただろうからさ。」 って言い切ってたのに、 それを私一人にやれとおっしゃるので!? 自分はできないって言っていたのに、 何で私だとできることになるんでしょう?
信頼されてることは嬉しいが、 思いっきり無理ある計画じゃないかなぁ? このままいったら、今度は私が倒れちゃうよ・・・。
|