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2005年10月04日(火) サイボーグにも人権を!

僕は、ギタリストでもなんでもないのだけれど、自宅にはやたらと楽器がある。
数えてみると、15本のギターがあった。
一人暮らしのマンションなのに、生ピアノがあったり、DTMのための機材。

僕は、自分の脳と身体の乖離が恐い。
人間の脳は、首からうえだけの情報を処理しているのではない。
身体全体を制御している。
脳のマッピングを調べれば、脳内は脳で完結しているのではなく、身体全体の情報を処理している事がわかる。

でも、ここ数年の僕は、首からうえの脳ばかりを偏って酷使してきた。
もちろん、キーボードやマウスも使うので、身体の一部も使うのだけれど、偏っていることには違いない。

僕は、脳と身体の全体統合を取り戻そうとしている。
アナログなギターを指の皮がボロボロになっても弾き続け、旧式のリッターバイクで深夜に爆走する。
ギターは、エモーショナルでアナログなリズムを取り戻してくれる。
バイクは身体の全体統合を取り戻す。

どこまでが僕の本来の身体で、どこから先が僕の拡張機能なのだろう?
僕の脳も身体も、スタンドアローンじゃない。
免疫系で隔離された物理的な身体だけが僕を構成しているとは言い難い。
衣服だって身体の一部だ。
寒さから身を守る服だって身体だ。
靴だって、屋根のある家だって、全て身体の延長線上にあるし、不可分だ。

なかでも脳は、ネットワークや外部記憶により強度に拡張されている。
テクノロジーによって急速に拡張されたものだ。
僕の脳は、外部記憶の補助がなくては、もはや現代人としては全く機能しない。
身体機能を無視して記憶力だけをとっても、僕は既にテクノロジーの補助がなくては生きていけない。

毎日、50錠の錠剤を飲み、僕は辛うじて自分を制御している。
ケミカルの力を借りなくては、眠る事すらできない。
人が本来持っていた生体リズムすらも失った。
ケミカルで制御された僕は、活動だけ見れば早寝早起きの健康体だ。
錠剤の調合で睡眠時間などどうにでもなる。

僕はこれでも「人間」なのかな?

他人は、僕を「キチガイ」と呼ぶ。

テクノロジーと融合され強化された僕の脳、身体は、従来の「人の定義」からは大きく乖離しつつある。
「キチガイ」。
そして、それは妄想ではない。
テクノロジーで強化された脳と身体のおかげで、僕は今のところ、一般的な似日本人よりも優遇されている。

僕のような人間は爆発的に増えていくだろう。
そして、いずれ対立が表面化する。

ガンダムで言うところの「ナチュラル」と「コーディネイター」の対立みたいなものか?
僕は「コーディネイター」。
今のところ、現実にはコーディネイター有利、社会の目線はナチュラル優位。。
世間の眼からは、「人」の定義を逸脱することは「異物」であるようだ。
少数派には生き辛い。
異物、少数派は排除される。

たぶんこれはデジタルデバイドみたいな単純で、甘いものじゃない。
デジタルに適応した人間のなかでも適応度によってヒエラルキーが生じる。
サイボーグにも人権を!
僕らサイボーグを差別する側の人間だって、パンツくらいは履いているだろう。
パンツだって、充分な身体拡張だ。

過剰な適応は異常者であり、異端である。
僕らは、排除される運命なのかな?
それとも、主流になれるのだろうか?

とりあえず、ギターとバイクでお茶を濁そう。
あ、お茶じゃなくて、ビールとマイスリー。




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