斜めうえ行く「オクノ総研 WEBLOG」
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2005年03月31日(木) |
個人情報を守れない個人情報保護法 |
先日から僕のメールボックスには「個人情報保護法の施行に伴う規約改正」という件名のメールがじゃんじゃん届いている。 僕は、様々なネット関連のサービスを利用しているので、あちこちからじゃんじゃんメールが届く。 「個人情報保護法が施行されるので、それに対応して個人情報の取り扱いについて見直しました」という内容なのだけれど、きちんと読んでみると、とんでもない事が書いてある。 大半のマトモな企業は、納得のいく規約改正や再確認なのだけれど、いわゆるネット系企業の規約変更にはひどいものも存在する。
某社からきたメールの一部をそのままコピペする。
4月1日より全面施行の「個人情報保護法」に対応し、本サービスにお けるお客様の個人情報の利用目的につきまして以下の通り明記させて 頂きます。ご確認の程宜しくお願い致します。
■某社における個人情報の利用目的
6) 弊社が提供する本サービス以外のサービスまたは弊社の関連会社 が提供するサービスに関する各種情報を、会員に対し電子メール ・郵便等の方法を用いて通知すること。 7) 弊社の提携先が提供するサービスに関する各種情報を、会員に対 し電子メール・郵便等の方法を用いて通知すること。 8) 本サービスを含む、弊社または弊社の関連会社が提供するサービ スの改善を図るため、アンケート調査および分析を行うこと。 9) 本サービスに関するキャンペーンおよび抽選により景品等の送付 を行うこと。
すばらしい!!!
僕の個人情報は、某社社内に及ばず、関連会社、提携先企業にまで利用されてしまうのだ。 これは、個人情報は「提携先企業」までを含んで好き勝手に使わせてもらうよ、もしそれが嫌ならサービスは提供しないよ、という宣言であると僕は受け取った。 「ご確認の程宜しくお願い致します」との事なので、反論の余地はなし。 「提携先企業」の定義は、記述されていないので、それがダイレクトメール配信業者だったり、悪徳企業だったりする可能性も否定できない。 「提携先企業」としか書いていないので、何でもあり、と解釈するのが妥当だろう。
個人情報保護法では「利用目的を偽ったり、利用目的の範囲を超えて個人情報を取得したり、利用したとき」は違法である、とされている。 この場合、利用目的をきちんと「提携企業で利用する」と記述してあるので合法である。
一方で「本人の同意を得ずに第三者(提携先など)に個人情報を渡したとき」は違法である、ともされている。 僕は同意した覚えはないけれど、確認のメールが届いているので、法的には、本人の同意を得た、と解釈されるのだろう。
個人情報保護法は、「個人情報取扱事業者」に適用される。 この「個人情報取扱事業者」の目安は保持している個人情報が5,000件以上の事業者、とされている。 上記の「提携企業」が保有する個人情報が5,000件未満であれば、僕の個人情報は、個人情報保護法の対象ではなくなる可能性がある。 個人情報のロンダリングを行えば、どうにでもされてしまう危険性を感じる。 僕は、僕の個人情報は、個人情報保護法では守られない、と思う。
この企業から届いたメールには、詳細はウェブサイトで確認しろ、と書いてあったので、そのサイトを確認する。
「弊社は、当該個人情報の提供を受ける者が「第三者」に該当しないものとして取り扱い、お客様等の同意を得ないで、お客様等の個人情報の取り扱いを第三者に委託し、提供し、又は特定の者と共同利用することがあります」
おいおい。 すごいことが書いてあるぞ。
この某社は、僕の個人情報をどうするつもりだ? 僕の個人情報は、個人情報保護法に則り、好き勝手に利用することが可能なのか?
個人情報保護法の施行により、個人の情報が保護されるようになるのか、というと大甘だ。 この某社のように、「あなたの個人情報を好き勝手に利用しますよ」、と宣言メールを一本送っておけば、僕の個人情報は、限りなく無制限に利用されることになる。 「意図しない」個人情報の漏洩や流出に対しては厳しくなるけれど、「意図的な」個人情報の利用に関してはザル法だと思う。 何のための個人情報保護法なのだろう? 個人情報は法律で保護される、などとは考えない方がよいと思う。
と、いうことで、上記の企業には「利用目的には同意できません」、という内容のメールを送っておいた。 個人はそれぞれ、同意できないものに対しては同意できない、という意志を企業に対して表明すべきである。 個人は、企業にナメられてはならない。 意志を表明しなければ、それは同意、とみなされてもしかたがない。 自分の身は自分で守りましょう。
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