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2005年04月01日(金) 昼間の数人のプロとの濃い議論と、夜の数千人とリンクした思考

「脳のオープンソース運動家」として活動していると様々な発見がある。
僕のサイトは、トラックバックもコメントもできない仕様になっているので、僕以外の人は、ネット上での僕を取り巻く状況、僕の文章が引き起こしている波紋はほとんど見えないだろう。
僕は、ログを取得しており、かつGoogleで自分検索を行なっているので、おおまかな状況は掴めている。

僕のサイトは「放送型」であり、インタラクティブ性はほとんどない。
通常の「放送」と僕のサイトの最大の違いは、放送における視聴率調査とは比較にならない正確性を持ったアクセスログが存在する事である。
アクセスログを辿っていけば、僕のサイトに対するコメントや評価をかなりの精度でつかむ事ができる。

僕のサイトは、あちこちのブログで取り上げられる事が多い。
ブログのソースとして僕の文章の一部が掲載され、リンクが貼られていることが多い。
ブログでの取り上げられかたは様々だ。
批判もあれば、共感もある。
単なる誤解(僕の表現の拙さのせいもある)もあれば、有益な指摘もある。
でも、どれも僕にとっては有益な情報である。
僕は、僕の思考に対する他者のコメントを読み、学習する。

ブログの価値は、ブロガーがオープンソース的に、思考のコアとはなるもののバグだらけのソースとも言える文章を書き、それに対するコメントやトラックバックにより、そのソースコード的な思考が完成度を高める事ではないか、と僕は思っている。

僕は、ソースは提供してはいるものの、コメントやトラックバックを用意していない事により、完成度を高めた情報を独占している。
これは良くないな、申し訳ないな、とは思う。
でも、コメントやトラックバックを許可すると収拾がつかなくなる可能性があるし、対応する余裕もない。
そして、僕が一番恐れているのは、僕が意図的にボカして表現している情報が、コメントにより特定されてしまうことである。
いくら僕が「妄想」と言っても、実際には何らかのファクトが存在する事も多い。
そのファクトが特定されると、客商売をやっている人間としてはヤバかったりする可能性もなくはない。
だから僕は、今後も「放送型」でバグだらけのソース文章を提供し続ける。

昼間はコンサルタントとして、数名の人間と濃い議論を行い、クローズドな環境で思考し、限りなく完成度の高い思考の結果を追求し続けるのが僕の仕事だ。
そして、夜はバグだらけのソースをオープンなネットにアップし、数千人の目に晒して、バグフィックスをしてもらう。
僕にとっては、かなり面白い環境である。
この両面が、僕の強みだ。

コンサルタントとして得た思考の結果は、職業上、ネットには出せないのだけれど、その逆は可能だ。
ネットで数千人の目に晒してバグフィックスされた僕の思考は、コンサルティング業務へはフィードバックされる。
僕の思考の完成度を高めているのは、僕自身ではなく、僕のサイトに対してコメントを書いてくださっているブロガーの方々だ。

僕は、ネットで提供可能なネタは、ネットにもお返ししなくてはならない、とは思っている。
だけど、基本的な僕のスタンスは、バグだらけのソースとなるネタの提供であり、完成品はなかなかネットには出しづらいのが現実だ。

僕は、僕のサイトの読者の方からは、一方的に無償で情報提供をしている親切な人であるように見えるかもしれないのだろうけれど、実際にはフィードバックされた情報を活用させてもらっている。

ブログは、「バグだらけだけど可能性を秘めた種」と「その種に対する質の高いコメント」で成立するものなのだろうな、と思う。
オープンソースソフトウエアのあり方と何ら違いはない。
問題は、僕がなかなか「可能性を秘めた種」の提供をできないでいることだ。

僕は、数で勝負するしかない。
もう少し頑張れば、僕の文章は1,000本くらいになるはずだ。
1,000本ノック。
1,000本のネタを書けば、何か見えてくるかな、と思ったのだけれど、なかなかそうもいかない。
思考は新たなる思考を呼び、混乱していく。
知れば知るほど、自分が知らない事がたくさんあることに気づくし、考えれば考えるほど自分の思考の甘さに気づく。

ただ、僕は一人じゃない。
僕の思考は、個人で作り上げられたものではない。
ほぼリアルタイムにネットとリンクし、進化している。
昼間の数人のプロとの濃い議論と、夜の数千人とリンクした思考。
僕は幸せな立場にいる。
このような立ち位置にいられる人間はほとんどいない。

たぶん、これは妄想じゃない。




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