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2004年10月21日(木) ユビキタス世界はある意味、神話の世界なのかもしれない(下)

から続く

僕たちの住む世界の構造のベースはヒエラルキーである。
僕たち自身もそのヒエラルキーのなかに組み込まれている。
僕の身体はいくつかの臓器で成り立っている。
心臓、胃、腸、脳、etc、etc。
そして、各臓器は、細胞によって構成されている。
それぞれの細胞はまた、原子のような下位構造物で構成されている。
僕たちの身体、世界はヒエラルキー構造でできている。
そして、僕という人間としての統合環境もまた、家族、会社、国といった社会構造に組み込まれ、生物学的にも人間、ほ乳類といったヒエラルキー構造のなかに取り込まれている。

ヒエラルキー構造はひとつではない。
僕たちは同時に複数のヒエラルキー構造に所属し、分類される。
また、それぞれのヒエラルキーは単独では存在せず、ほかのヒエラルキーと連携を取り、関係性を持つことで成立している。
僕の臓器は単独で機能しているのではなく、他の臓器と連携して、僕の人間としての統合環境を実現している。
社会的存在としての僕も同様である。
そして、このヒエラルキーの「構造」というか、「場」というか、エネルギーのようなものを称して「神」と呼ぶのかもしれない。

だが、このヒエラルキーには頂点は存在しない。
クラインの壺のように、メンガースポンジのようにそれらは、循環系であり、部分が全体を含有している。

IPアドレスやDNSのように明確にヒエラルキー構造を持っているものもあるが、それぞれのヒエラルキーは相互に作用することによって成立している。
ヒエラルキー構造は外部のヒエラルキー構造、世界との連携によって構成されている。

攻殻機動隊の世界では、人は電脳により世界と繋がる。
人は外部世界と電脳を通じて繋がることにより、外部世界との融合を試みる。
そこに「中心」、「頂点」といった概念はない。
中心は同時に辺境であり、頂点は同時に底辺である。
ヒエラルキーは無数に存在し、相互のヒエラルキーが無限に相互作用している。

神道の「八百万の神」は、原初の世界、人間の根源にある神の概念を表現するために、好都合だ。
キリスト教的な唯一神的世界観は、BIOSやOSレベルの話ではなくアプリケーションレベルを説明するための概念であり、「八百万の神」的概念の上位層に位置するものであり、決して対抗する考え方ではない。
「八百万の神」、「分散する神々」を統御するベクトルのようなものが、唯一神と捉えられている思うからだ。

ユビキタス世界はある意味、神話の世界なのかもしれない。

攻殻機動隊(2)士郎正宗(いきなり読むと戸惑う)




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