斜めうえ行く「オクノ総研 WEBLOG」
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2004年10月20日(水) |
ユビキタス世界はある意味、神話の世界なのかもしれない(上) |
攻殻機動隊の描く世界観は、主人公の名前「草薙素子」を見ればわかる通り、「神道」的価値観がベースである。 「草薙の剣(くさなぎのつるぎ)」。 「剣」が「素子(デバイス)」になっている。 士郎正宗がどこまでこだわったのかはよく分からないけれど。
神道と言えば、「八百万(やおろず)の神」。 キリスト教やイスラム教が唯一神であるのに対し、神道は「八百万(やおろず)の神」。 草木にも神は存在する。 神はどこにでも存在する。 分散された万物のそれぞれが神であり、世界そのものが神である。
僕たちは神道の国に生まれ育っておきながら、キリスト教的価値観に支配されている。 神道的価値観はエキゾチックである。 アニミズムは、意外に新しいのかもしれない。
「八百万の神」は、ユビキタス的に通じる。 世界に端末が散らばり、センサーやタグがネットワークでつながり、パケットが光の速度で飛び交う地球。 情報はそれぞれの末端でも処理され、処理された情報がまたほかの末端と交信する。 それぞれの端末がそれぞれのヒエラルキーにおいて、情報のやりとりを行う。 世界には、「中央」という概念はない。 ヒエラルキーは存在するが、「中心点」は存在しない。 世界中に分散された端末がヒエラルキーに従って、連携する世界。 中心は存在せず、部分が全体であり、全体が部分である世界。 分散された端末、「意識」を神とするならば、「八百万の神」である。
ユビキタス世界においては、神はどこにでも存在する。 「唯一神」の概念を持ち出すのであれば、そのユビキタス世界のヒエラルキーの頂点が「神」であろう。
下に続く
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