斜めうえ行く「オクノ総研 WEBLOG」
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2004年09月17日(金) |
楽天(三木谷氏)とライブドア(ほりえもん) |
僕はプロ野球には詳しくないのだけれど、楽天(三木谷氏)とライブドア(ほりえもん)のプロ野球への進出意向表明による騒動は野次馬的に面白い。
プロ野球問題に関しては国民的関心があるとみえ、ニュースに興味を持たず、ファッション雑誌以外の活字を読まない僕の母親ですら「堀江さんってすごいなあ(・・・それに比べてアンタは・・・昼間っから酔っ払って・・・別に期待もしてないけど・・・)」と言っていた。僕は楽天がプロ野球事業への参入を表明するずっと前の8月初旬頃から「堀江さんじゃなくて三木谷さんだったら門前払いを食らわなかっただろうにね」と答えていた。
僕のようなコンサルタントの目から見れば、楽天の戦略は明確に見える。 楽天の事業拡大は株式公開時に得た資金によるM&A。 買収企業の選択は一貫して「楽天というポータルの価値向上」を目的としている。 ライブドアには「ノリ」や「勢い」はあるれど、戦略性、事業の一貫性、事業全体の最適化、といった面では不安がある。 ライブドアは複合事業体であり、小さな事業の寄せ集めである。 今のところそれらの小さな事業体の相乗効果は見えない。 ライブドアをポータルにして、それらの小さな事業体をまとめあげよう、という魂胆なのだろうけれど、ポータルとして見た場合、ライブドアは弱い。 ライブドアはもともとはオンザエッジというインターネット関連の有象無象の小さな事業の寄せ集め企業である。 「ポータルとしてのライブドア」は後付け事業であり、事業展開にポータルが必要になったから、つぶれた「旧ライブドア」を買収した。
ちなみに倒産し、「現ライブドア(旧オンザエッジ)」に買収された無料ISPの「旧ライブドア」の社長であった前刀禎明氏は現在アップルのヴァイスプレジデントで、日本でのiPod事業の責任者である。どうでもいいが、iモードの夏野剛氏は社長失格の板倉雄一郎氏の「ハイパーネット」の元副社長である。奇しくも倒産無料インターネット繋がり。ネットベンチャーをつぶしてもしぶとい。更にどうでもいいが、戦略コンサルタント業界にも元ネットベンチャーCEOのコンサルタントが何人かいる。ただし、その場合、普通の中途採用者扱い。おまけなし。更に更にどうでもいいが、僕も何社かのネットベンチャーから経営者としてオファーを受けたことがある。ネットバブルの頃は迷惑電話、迷惑メール並に、オファーが「殺到」していた。僕はネットベンチャー嫌いなので、丁重にお断りしたけれど(ベンチャーに関する僕のトラウマについてはまた別途書きたい)。日本のベンチャーの経営層、企業の新規事業の開発部門は慢性的な人材難なのである。
楽天は「楽天」というポータルを先に作り、そこから新規事業を「買収」というかたちで追加、強化していった。 買収事業も一貫性がある。 ライブドアは新規事業が先でポータルが後になってしまった。 順序が逆だ。 ライブドアにとってポータルとしての「ライブドア事業」は後付けであり、企業としてのライブドア全体に占める売上も事業貢献度も低い。 ライブドアがポータルを軸とした事業の相乗効果を得るのは難しいだろう。 この騒動で知名度は一躍上がったので、ここからどうなるかはわからないけれど。
プロ野球機構がライブドアを門前払いにしたのは、「Tシャツを着た小僧」を生理的に受け付けられなかった、という話だろう。 レガシーなプロ野球機構には「どこの馬の骨かもわからないインチキくさいベンチャー小僧」に見えたに違いない。 僕もそこは理解ができる。 僕は日常的にはスーツを着用せず、金髪にしたりしているが、クライアントと接するときには髪を黒く染めるし、きちんとしたスーツを着る。 人は「外見」で判断する。 その人物の内面の理解には時間がかかる。 ビジネスの現場において「外見」は重要だ。
ライブドアのほりえもんは「確信犯としてのTシャツ」なのだろうけれど、そこには問題がある。 相手がスーツだったら自分もスーツ。 最低でも襟付きのシャツを着る程度のビジネスカジュアルは必要だ。 ビジネス社会はそこまでカジュアルではない。 スーツを着た興銀出身、MBAの三木谷氏とTシャツのほりえもん。
僕は、経営者としては楽天の三木谷氏のほうがずーーっと安心感がある。 僕としてはプロ野球騒動は楽天が近鉄を買収、来期もパリーグ6球団、2リーグ制維持、というシナリオが一番しっくりくる。
■楽天 投資家向け情報 http://www.rakuten.co.jp/info/ir/ ■ライブドア 投資家情報 http://finance.livedoor.com/ir/4753/ir
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