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2004年07月01日(木) 再び金髪コンサルタントへ

本日から、再び休職に入ることになった。

以前から書いている通り、僕は激務がたたり、完璧に体調を崩してしまっている。
脳とプレッシャーの限界に常にさらされつづける戦略コンサルタントの職業病は「うつ」なのだけれど、僕は「うつ」ではない。
どちらかと言えば、「躁」に近い。
僕の体調不良は身体的なものである。

精神的にはそれほど大きな問題を抱えているとは思っていないのだけれど、身体がついて来ない。
以前は、平均睡眠時間は3時間もあれば、何とかなったのだけれど、さすがに年齢的なものもあるのか、平均睡眠時間3時間の生活を続けていると、身体がついてこなくなる。

「手の震え」、「手のひらの発汗」、「心臓の動悸」、「足元のふらつき」等々、多くの身体的症状が表れてきた。
症状が「うつ」に似ているので、心療内科に通っているのだけれど、僕の場合は「うつ」ではなく、長期に渡る睡眠不足が原因だったようだ。

僕はもともと、というか小学生の頃に既に自覚していたのだけれど、生来的な睡眠障害である。
僕は小学生の時、深夜ラジオにハマいた。
就寝時間が3時か、4時という生活はその頃からずっと続いているのである。

大学時代は夜のバイトに明け暮れた。
朝5時まで開店しているバーでバーテンを2年間続けた。
僕は全く平気だった。
却って快調だった。

僕の体内時計は早朝に就寝する事で安定していた。
つい最近まで、深夜残業は毎日の事だったし、徹夜も僕にとってはごくごく普通のことでしかなかった。

サラリーマンの朝は早い。
海外との電話会議等、早朝から出社することも多い。
そうすると、睡眠時間は本当に平均3時間になってしまうのである。
途中で昼寝をしたり、ゆったりする時間もない。

若い頃はそれでも平気だったのだけれど、ここに来てとうとう、長年のツケが回ってきた。

まず、仕事中に手が震えるようになった。
僕は自分ではアル中を疑っていた。

次には手のヒラの発汗。
指が滑ってパソコンのトラックポイントが操作できなくなり、マウスを買った。

続いて、普通に電子メールを書いているような平静にしている時に突然、心臓がバクバクしはじめた。
近くの薬局へ駆け込み、「救心」を買って飲んだ。

そして、マトモに立てなくなった。
靴下やズボン、クツを立ったまま履こうとするとバランスを崩す。
バランス感覚が壊れた。
階段の上り下りは手すりが必要となった。
立ち話をするときにはモノにつかまらざるを得なくなった。
満員電車に乗って出社することができなくなり、ラッシュアワーを避けて出社時間を遅らせる事にした。

最後には、壊れたバランス感覚せいで、家の玄関で転倒し、足の甲にヒビが入り、肋骨に強度の打撲を受けた。
僕は、もはやまともに仕事をできる状態にはなかった。
戦略コンサルタントは基本的には座ってやる仕事なのだけれど、肋骨の打撲は座っている事すら困難にした。
僕は過労に加えて身体をテーピングでぐるぐる巻きにして、文字通り、這ってまで出社を続けていた。

僕が外傷を負った事を指して、心療内科医は言った。
「これは、神の啓示かもしれませんね」
「このまま仕事を続けていたら、心筋梗塞等で突然死していた可能性もあります」

僕が職場に戻れる時期は決まっていない。
職場に戻ったら、リハビリ期間も無く、いきなり睡眠時間3時間に戻らざるを得ないからだ。
僕が所属する会社には、リハビリ復帰などという概念はない。
睡眠時間3時間の激務に耐えるか、休職、退職しか選択肢はない。
急成長した会社なので、その辺のしくみはまるで整っていない。
クライアントから高額のフィーを取って仕事をする以上、仕事を軽くすることはできない。
0か100の二者択一。
その他の選択肢は存在しない。
出社したら、その日からタクシー帰りの日々がはじまる。

会社は僕が激務に完全に耐えられる状況になるまでの休職を命じた。

僕は今日から休職に入ることにした。

そして、仕事を離れる事の儀式として、また髪を金色に染めた。




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孤独に歩め 悪をなさず 求めるところは少なく 林の中の象のように

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