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斜めうえ行く「オクノ総研 WEBLOG」

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2004年06月24日(木) 必殺オウム返し

今日は、朝イチからクライアントと3時間のディスカッションミーティング。
午後からもまた3時間のクライアントとのディスカッションミーティング。

合計6時間のディスカッションミーティグを一日で行なった。
両ミーティングとも出席者はそれぞれ20名近く。
クライアントの参加者には業界有名人も参加している。
僕はこのミーティングを毎週行なっている。

僕はその主催者であり、ファシリエイター兼、ディスカッションの内容そのものもリードする役割を担っている。

本日、クライアントのキーマン(業界なら誰で知っている有名人)は某省主催の某大臣も出席するレセプションがあったのだが、そちらをブッチしてオクノとのディスカッションを優先して参加してくれていた。
僕にも同じレセプションの招待状はきていたのだけれど、僕の手下に「大臣が出席するパーティーなんぞ、二度と出席できんぞ」と説得して代理出席させ、僕はクライアントとのミーティングを優先させた。

僕は両プロジェクトのジョブマネージャなので、両方のディスカションを僕自身がリードしなくてはならない。
残念ながら、僕の体調は未だに最悪であり、6時間のミーティグ用の資料を僕自身が用意することはできない。
スケジュールもビッシリ詰まっており、スタッフの用意する資料のレビューに割ける時間も無い。

資料をその他の作成はスタッフに一任した。
両ミーティングのスタッフ達は誰も昨晩は自宅に帰っておらず、徹夜で資料を用意してくれていた。
もろろん、僕のレビューが入っていないので、資料をのもののクオリティーは低い。
僕がミーティングの場で言葉でカバーするしかない。
僕は報告書などは徹底的にクオリティーを偏執狂的にチェックするが、ディスカッションミーティングではディスカッションが発散せず、ポイントを絞って議論できれば、良いだけなので、それほど資料パッケージのクオリティーにはこだわらない。

ミーティングの度に、完璧な資料を用意しようとするパートナーやマネージャは多いけれど,僕から見れば単に無駄な時間の浪費である(アホである)。
ディスカッションが適正にさえできれば、フォントが揃ってないだの、色使いがどうなど、パッケージのストーリがどうなど、そんなものはどうでもいい。

だが、今回は僕はほとんど資料には目を通してすらいない。
もちろんミーティングの進め方やディスカッションポイントについては事前に指示をしているが、直接資料の細部まで僕が作ることはないし、指示もしないし、レビューもしない。
僕にとってはぶっつけ本番である。
僕はミーティング前の5分間を喫煙コーナーで過ごし、とりあえず、重要ポイントにマーカーで線を引き、資料にはかかれていないが、伝えるべきキーメッセージだけを資料に書き込んだ。
6時間のミーティングの準備に割いた時間は喫煙コーナーでの5分のみ。

要するに僕は6時間のミーティングの準備にほとんど時間を割いてない。
だが、僕はその合計6時間のミーティグの資料はいかにもオクノ自身が全て作成し、完全にチームをコントロールしているかのごとくクライアントには振舞っている。
合計6時間のミーティングを僕はマトモに資料に目を通してさえいないにもかかわらず、完璧にリードした。
クライアントからはオクノ自身が完全にプロジェトをリードしているかの如く見えたはずである。

なぜ、そんなことが可能なのか?

僕のスタッフ自身も、資料に目を通してもいないのに、なぜ、ミーティングを6時間に渡って完全にリードし、いかにもプロジェクトを完全把握しているかのごとく、クライアントの目をくらませ続けることができるのか?
ミーティングの後にオクノのミーティング運営のテクニックというかべきかトリックについてなぜ、あんな芸当ができてしうのか疑問に思ったスタッフから質問された。
スタッフには手品のように見えたようである。
僕は答えた。

まずは、前回書いた「質問には質問に答えよ」であり、今回はそれに続く第二弾のオクノのトリックである。

それは「オウム返し」

僕は、自分ではミーティング資料にさえ目を通していない。
僕はクライアントにミーティングおいてはミーティングのディスカッションションポイントと本日、合意すべきゴールについてだけを説明し、資料の内容そのものはは若手スタッフに説明をさせる。
いかにも、自分は中身を理解しているかの如く振る舞い、詳細は担当者から説明させたほう良いから、という理由と、担当スタッフのプレゼンテーションスキルを実戦で訓練させるためでである。
と、いいつつ僕自身が資料に目を通してすらいないので、資料の説明をスタッフに振ったのである。
多くのクライアントの前でのプレゼンテーションはスタッフにとっても勉強になるし(いい訳)。

先日書いた「質問には質問に答えよ」に続く、クライアント目くらましトリック第二段。

それは「オウム返し」である。

僕は、ミーティングの最初、アホな与太話をする。
関西落語でいうところのハナシのマクラである。
そして、ジュースやお菓子を用意するなど、まず、クライアントを御気楽にディスカッションで、リラックスして自由な発言をできる雰囲気を作り出す。

そして、重要な議論のポイントや本日たどり着かなければならないポイントについてだけ、説明をし、内容の詳細なプレゼンテーションそのもものはスタッフに任せる。
だって、僕は資料のレビューどころか、資料に目を通すのもそのミーティングがはじめてだったりする状態なのだから。

だが、3時間のミーティングのリードそのものは完全に僕がリードする。

ひとつのトリックは先日書いた「質問には質問で答えよ」であり、僕自身は何も答えず、クライアントに自分で答えを見つけださせることだ。

そしてもうひとつのトリックは「オウム返し」である。
僕はクライアントからの突っ込みや意見に対し「オウム返し」を必ず行なう。

「今の発言の意味はXXですよね」
「要約するとXXということをおっしゃりたいワケですよね」
「まとめるとXXさんのご意見は○○ということですよね」
「XXさんのご意見の真意は○○にあると思うのですがその理解で正しいですか?」

僕はただ単にクライアントの発言を「オウム返し」に繰り返したに過ぎない。
だが、そこでクライアントは「はい、その通りです」と言ったあと、続きのハナシを始める。
そして、議論は勝手に深まっていく。

僕自身は実はクライアントの発言をオウム返しに少し翻訳して、ミーティングに参加している20名に理解させるとともに、更なる発言を促しているだけである。

そして、前回書いた「質問には質問に答えよ」と「必殺オウム返し」を絶妙に組み合わせる事により、何の準備もしていないディスカッションを本日も6時間に渡ってリードしつづけた。

クライアントの目には僕が完全にプロジェクトを把握し、チームをコントロールしているように映っているハズである。

昨日書いた「質問には質問に答えよ」、そして、本日書いた「オウム返し」。
少し練習は必要だけれど、この2つのトリックを絶妙に組み合わせれば、どんなディスカッションのファシリエイターでもほぼ、ぶっつけ本番でも切り抜けられる。
クライアント自身も自分の意見を言いたいだけ発言し、かつディスカッション内容に満足し、帰っていく。

「質問返し」、「オウム返し」。
この2つのトリックは是非マスターすべきである。

僕は10数年、この2つのテクニックだけで、どんなミーティングであろうと乗り切ってきた。
これらは繰り返しになるが、単純な心理学的「トリック」である。
タネが分かってしまえば、誰でもすぐに実行できる。

試して欲しい。

そして、体力が限界を超えつつある僕はミーティングのあと、予約していた心療内科に行き、休職のための診断書を書いてもらった。




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