斜めうえ行く「オクノ総研 WEBLOG」
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2003年06月27日(金) |
単なるアイディアに投資する企業などもはやいない |
ネットバブルの頃と現在で大きく変わった事がある。
それは「アイディアに投資する人はいなくなった」という事である。
僕は新規事業のネタ作りの仕事をすることが多い。 だが、その仕事は「儲かりそうなアイディアを考える」というだけの仕事ではない。 儲かりそうなアイディアだけでは、企業はコンサルティングフィーを払ってくれない。 そのアイディアがいかに優れていようと、ビジネスケースが完璧であろうとクライアントは納得しない。
クライアントが求めるのは確実に儲かる保証である。 ネットバブルの崩壊以降、企業は絶対に儲かる、という確証を得てからではないと新規事業に進出しなくなった。 確実に儲かる保証とは、「見込み顧客が決まっている」ということである。
なので、新規事業立案の次は、提携企業探しと顧客企業探しの営業活動を行う。 提携先や顧客企業が確定してはじめて、新規事業への進出がクライアント企業で承認されるのである。 僕はクライアント企業の社員に化けて行動することも多いので、いくつかの企業から僕の名前を刷り込んだクライアント企業の名刺も持っている。 その際には社員用のメールアドレスも同時にもらう。 合コンで使えそうな人気企業の名刺もいくつか持っている。
僕はクライアント先企業の社員に化けて、新規事業の企画書を携え、提携候補や顧客候補の企業と交渉を行う。 提携候補企業や顧客候補企業が「ぜひ、一緒にやりましょう」と、言ってくれてはじめて新規事業は承認され、事業化に向かっての一歩を踏み出す。
アイディアの段階ではもはや投資をする企業はいない。 一般企業だけではなく、ベンチャーキャピタリストも同様だ。 提携企業や顧客企業が決まっていて、はじめて投資の検討の遡上にのぼる。
僕は、これは正しい姿だと思う。 ビジネスのアイディアは、パワーポイントやスプレッドシートの世界にとどまっている限り、それはまさしく「絵に描いた餅」そのものである。 アイディアだけでビジネスは成立しない。 顧客がつき、キャッシュが生み出されてはじめてビジネスなのだ。 アイディアが優れているだけでは、ビジネスとは呼べない。
ビジネスの企画を練り、ビジネスケースを作ることは重要だけれど、もはやその段階で投資が行われるような時代ではないのだ。
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