ある日。道に咲く綺麗な花を見つけた。 あんまり綺麗で。あたしはすごく嬉しかった。 その花を見てるとなぜか幸せな気持ちになった。
気づけばいつも。花のことを思ってた。 気づけばいつも。その花を見に足を運ぶあたしがいた。 花はただそこに咲いてるだけで。あたしを満たした。
最初はただ綺麗なだけやと思えた花に。 いつからか違う感情を送るあたしがいた。 まっすぐに伸びた一輪の花は。凛としてて。 強そうで。逞しくて。惹かれるんやけど。 でもどこか倒れそうな脆さと危うさを確かに持ってて。 それに気づいたあたしは。花をそこに放っておけなくなった。
あんまり綺麗で愛しいから。いつもそばに置きたくなった。 もっと大事にしたくなった。雨風から守ってあげたくなった。 それが花のためにもなると。そう信じていた。
あたしはその花を摘んで。あたしの庭にそっと植えた。
毎日ちゃんと水をやった。栄養のある土を用意した。 雨が降れば濡れないように傘を差して。 風が吹けば折れないように囲いを立てて。 一生懸命に。花のことを考えて。いろんなことをした。 もっと笑って咲いてほしかったから。 もっと誇らしく咲いてほしかったから。
でもその花は。結果的に萎れてしまった。 あたしが花を。枯れさせてしまった。 もともとは道端に自然な姿で咲いてた花だったんだ。 あたしがたくさん与えすぎたせいで。バランスを壊してしまった。
ほんまにあたしが花を分かっていたなら。 道端にたった一輪で咲いていたとしても。 どんなに雨が降ったって。どんなに風が吹いたって。 孤独に見えようが。折れそうに見えようが。 そんなことで負けるような花じゃないって。 簡単に潰される花じゃないって信じてあげるべきやった。
花の周りにあるしんどい状況すべてを。 取り去ってあげることだけが愛じゃないと。 与えるんじゃなくて。ただそっと見守ってあげることが。 ほんまの意味での。大きくて深い意味での愛だってことを。 ちゃんと気づいて。実行してあげるべきやった。
・・・あたしにはできんかった。
ねぇそうる。でも。でも悲しいよ。 だってほんまに愛しかったんやもの。 ただ大切に大切にしたかっただけなんやもの。
うまくいかない。うまくできない。 何度も何度も書いてしまうよ。 愛するって難しい。ほんまにほんまに難しい。
ねぇそうる。教えてほしい。 あんたがもし花なら。あんたを思うあまりに。 摘んでしまったあたしを。恨んだり憎んだりするのかな。 枯らせてしまったあたしを。許せないと思うのかな。
そんなあたしに向かっては。もう笑えないと思うのかな。 ↑たぶんそれが。「もういらない」と言わせた原因。
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