今日のあたし。そうるに対して。 思ってることをちゃんと話すつもりやったのに。 先に崩れてもて。結局何も言えんかった。
崩れたのは。本題とは関係のないところで。 つまり。サークル関係のことで。
今日は。今年のチームでの最後のナイターやった。 土曜の試合が今年最後の試合。そこで3回生と4回生は引退。 そこから新体制が組まれて。新チームが始動する。 だから。今のチームでやるナイターは最後やった。
みんなテンションが高かったし。やたら楽しかった。 いつもみたいにしょーもないことで笑ったり。 つっこんだりつっこまれたり。騒いでるのが幸せやった。
そうるも楽しそうにしてて。終始笑ってた。 あたしはやっぱり。なんだかんだ言ってもあの笑顔には弱くて。 口元に覗く白い歯を。見てるだけで満たされた気持ちになってた。
寒くなってくると。そうるはいつもタオルを頭に巻く。 それは。夏場にやってる気合い入れのためとは違って。防寒のため。 そうるの意外な弱点。それは耳やったりする(笑)。
ちっちゃくてかわいいその耳は。寒さには極端に弱くて。 他のみんながまだ全然平気な時期でも。強烈に冷たくなる。 「あかんー。寒いー。耳が冷たいー。力が入らんー。」 そう言ってそうるは。頭に巻いたタオルで耳まで覆ってしまう。 これは冷静に見ると。相当かっちょ悪かったりもするけど。 やってる本人はいたって真剣やから。どうしようもない(笑)。
そんなそうるを見て。あたしはやっぱり楽しかった。 それが崩れ出したのは。そうると1on1をやってからやった。
今日はそうると1on1を2本やった。 1本目はそうるがAであたしがD。これはまだマシやった。 そして。2本目はあたしがAでそうるがD。これが完敗やった。
今さらのことやけど。この2本目がめっちゃ悔しかった。 プレー内容としては最低やった。完全にあたしのミスやった。 しかもその相手が。そうるやったってことが。さらに悔しかった。 急にいろんな思いが込み上げてきて。苦しくなった。
最後のナイター。そうると1on1をやる貴重なチャンス。 もしかしたら。もうしばらくないかもしれん。がんばろう。 そんなふうに思って。かなり気合も入ってただけに。 しょーもない自分のミスが。どうしても許せんかった。
しかもそうるは。何も言ってこんかった。 黙ってあたしをその場に残した。 無言なのは。余計にキツイ。 がっかりされたような。見捨てられたような。 そんな感覚に襲われて。泣きたくなった。 でもそれ以上に。自分に対して苛立った。
4年かけても。あたしはそうるに追いつけんかった。 結局は。ただその背中を追いかけてただけやったんかもしれん。 そんなふうに。そうるを認めすぎてる自分にむかついた。
なんで気持ちで負けるねん。なんで負けてるって思うねん。 そうるはうまいけど。すごいけど。あたしがダメなわけじゃないやん。 なんで敵わへんって思うねん。なんで届かへんって諦めるねん。
グルグルいろんなことを思って。かなり落ち込んだ。
たったひとつのミスを。ズルズル引きずってたあたしは。 その後のプレーにしても。けっこうミス連発やった。 そんな情けないあたしを。そうるが見逃すわけもなかった。 「あほか!遅い!」「なんでそこでミスんねん!」 いっぱい飛んでくるダメ出しが。さらにあたしをへこませた。
ナイターが終わって。駐輪場で。 あたしは誰にも気づかれんように。ちょっと泣いた。 大好きなそうる。でも大好きやからこそ並びたかった。 追いかけるだけじゃイヤやった。ちゃんと認められたかった。 なんで。なんであたしは。こんなにも弱いねん。 技術面も精神面も。なんでこんなに脆いねん。 そう思って。自分にむかつきが納まらんくなってた。
帰ったと思ってたそうるは。現キャプテンと話し合いをしてた。 そしていつものように。バイクのキーを振り回しながら歩いてきて。 「あれ。まだ帰ってなかったん。」って。普通に話しかけてきた。 あたしは。何もなかったかのようにそうるに笑った。 涙はやっぱり隠した。こんな涙は見せたくなかった。 それは。あたしの中に残ってるギリギリのプライドやった。
「んー。ちょっとセンチメンタル入ってた。」 「なんやねん。またすぐ来られるって。」 「うん・・・。そうやとも思うんやけどさ。」 「なんやねん。もー。元気出せ。」
そうるはやっぱり。そうるやった。 オンとオフの切り替えが。ちゃんと出来てる人やった。 練習は練習。それ以外はそれ以外。 キツイこと言いまくりでも。それは練習の中でのこと。 それ以外の部分では。ちゃんと接してくれてる。
それやのにあたしは。全部連動させて。 ちゃんとそうるの顔が見れんくなってた。 弱いけど。やっぱりあたしはそんなんやった。
ねぇそうる。胸が苦しい。 言葉にならへん。胸が苦しい。 どうしてあんたは。そんなにすごいんやろう。 どうしてあたしは。こんなにあかんのやろう。
悔しい。あんたが眩しすぎて悔しい。 なんでそんなにキラキラ光ることが出来るねん。 そんなあんたのそばにおるのに。あたしはちっとも光られへん。 むしろ眩しすぎる光に飲み込まれて。消えてしまいそうになる。
あぁ。しっかりせな。あたしにはあたしの光があるはず。 あんたの大きくて強い光とは違ってても。 たとえ。ちっちゃくて儚い光やったとしても。 それを失わんように。誇れるように。前を向いていたい。 そうる。あんたのそばで。ちゃんと輝いていたいから。
顔を上げろ。胸を張れ。自分に負けんな。がんばれあたし。
↑楽しそうでうらやましい。あたしも行きたい(涙)。 |