あぁ。言わんこっちゃない。なんでまたそうなるねん。 あれほど注意したのに。ちゃんと言い聞かせたのに。 ほんま。あたしがどれほど心配してるかなんて。 全然分かってへんのやろう。ちくしょうめ。
あたしの最愛の人は。ほんまにどうしようもない。
今日は朝から練習で。でも開始時間になってもそうるの姿はなかった。 昼すぎから研究室のメンバーでボーリング大会があるって言ってたそうるは。 「早引けするかも。」とは言ってたけど。休むとは言ってなかった。 「遅刻の理由聞いてる?」ってまひろに聞かれて。「うんにゃ。」って答えた。 「寝坊でもしてるんちゃうのん?」ってはつねが言って。みんなで笑った。
しばらくして。いつものバイクの音が聞こえてくる。 到着したそうるは。いきなりタオルを頭に巻いてて。 「なんであんな張り切ってるんや?」ってまひろを笑わせてた。 しかも。遅れて来たくせになかなか練習に加わってこんくて。 「なにあんなとこでサボってるねん!」ってはつねを怒らせてた。
休憩時間にそうるのとこに行ったら。えらく困り顔。 「今日最悪や・・・もうとことんついてへん。」って言って言い訳開始。
まず。今朝は大遅刻。起きたら練習開始の30分前。 そうるの家からグランドまではバイクで30分。起きた時点でもうアウト(苦笑)。 さらに。昨日の夜にベッドで本を読みながら。そのままうつ伏せて寝たそうる。 鏡を見てびっくり仰天。前髪が激しくボンバー状態(苦笑)。 いつもは多少の寝グセも。うまく馴染ませて放置してるそうる。 さすがに今日のボンバー具合には。直さなまずいーって思ったらしい。 しかし寝坊した段階で。そんな髪を直すヒマなんてあるはずもなく。 仕方なくそのままにして。ごはんも食べずに家を出てバイクを飛ばす。 しかし。グランドまであと5分ってとこで。事件発生。 なんとスパイクを忘れてきたことに気づく(苦笑)。
せっかくぶっ飛ばしてきたのに。これでは練習も出来ません(涙)。 ボンバーヘアは髪にタオルを巻いて隠せても。 スパイクないので練習には加われず。新入生指導係決定。
ちーん。そうる。ご愁傷様(苦笑)。
まぁそんなわけで。そうるとは今日ほとんど絡んでない。 進入生指導やったし。早引けで2時間ぐらいしたらすぐ帰ったし。 でも。災難続きのそうるはほんまにへこんでて。 それが見ててなんともかわいくて。あたしはご機嫌やった。
でも。それならなんで冒頭のように。呆れモードや心配モードが発生するのか。 それは。研究室のボーリング大会絡み。
ほとんど言葉を交わすことのなかった今日やけど。 ちょっとだけ話せる時間があって。その話をしてくれた。 「今日はオンナうちだけらしい。どうしよう。」 「でもなぁ。今のうちに馴染んどかな先が苦しいしなぁ。」 「あんまり気乗りせんけど行っとかななぁ。」 そんなふうに話すそうるは。やっぱりかわいくて。 「まぁ行ったら楽しいかもしれんやん。がんばり。」ってあたしは言った。
あたしが心配になったのは。その後の会話が原因。
「しかも今日飲みあるねん。」 「あーそうなんや。飲みすぎたらあかんで。」 「うーん。でも絶対飲まされると思う。」 「はぁ?なんで?だって一応紅一点やろ(笑)。」 「いや、うち全くオンナ扱いされてへんから。」 「でもさすがに入っていきなりのコを飲ませへんやろー。」 「いや、うち前回調子に乗ってかなり院生とか飲ませてもたから。」 「・・・・・・まじでか。」 「うん。まじで。」
やばいなぁって思った。なんとなくイヤな予感がした。 そしてあたしのこーゆうイヤな予感は。見事なほどに的中する。
「だから今日とか間違いなくうちがターゲット。つぶされる可能性大。」 「あほか。あかんで。絶対。飲みすぎはほんまあかんで。断りや。」 「そんなん断れる場合と断れん場合があるやん。分かるやろ。」 「分かるけど・・・でもあかん。ほんま意志ちゃんと持ちや。」
いくらそうるが酒強いって言っても。男の人と対等に飲めるはずない。 しかも研究室の飲み会とか。めちゃめちゃ盛り上がるに決まってる。 飲み会のテンションって。わけの分からんことをやってまうし。 飲めん酒も飲める気がして飲んでまうし。
やばいなぁ。行ってほしくないなぁ。 正直そう思った。でもそんなこと言えるはずもなく。 「ちゃんと考えて飲みや。」って念を押すのが精一杯やった。 うるさいなぁって感じで。そうるは「・・・はいはい。」って言っただけやった。
えらそうなこと言えた立場じゃないことは分かってる。 あたしだって。コントロールできんかった飲み会はいっぱいあるし。 だからそうるにだってあって当然やし。どうしようもないんかもしれん。
だいたい。そこまで過保護になる必要ないんかもしれんけど。 心配なもんは心配やし。気になるもんは気になる。 どうしようかなぁってちょっと迷ったけど。 あたしは9時過ぎに。そうるにメールを入れた。 「大丈夫かー?飲みすぎてへんかー?」って。
1時間たっても。2時間たっても。そして今になっても。返事なし。
あぁ。間違いない。そうるつぶされたんや(涙)。
だから言ったのに。あれほど言ったのに。なんでそうなるねん。 あぁもう。心配でしょーがないやん。気になって寝られへんやん。 この前。体調悪かったときの飲み会で。えらいことになって。 夜中にいきなり電話してきたそうるが忘れられん。 普段のそうるからは想像もつかんような。あの弱々しい声が忘れられん。 (日記に書いてました。こちらです。)
あぁ。どっかで苦しんでへんやろうな。寂しがってへんやろうな。 吐いてしんどかったんちゃうかな。ちゃんと寝てるかな。
最初はむかついて呆れてたはずの心が。どんどん心配な方向に進む。 やっぱりあたしは。そうるをちゃんと怒れへんのやと思う。 いくら相手が先輩でも。飲んだのはそうる。そうるだって悪い。 「ちゃんとせなあかんやろ!」って怒るべきなんかもしれんけど。 しんどいそうるが心配で。もう心配で心配でしょーがない。
今そうるが目の前におったとしても。あたしは絶対に怒れへんと思う。 まず間違いなく。最初に「大丈夫か?」って言ってまうんやろう。 それから。水をあげたり服を着替えさせたり大忙しなんやろう。 そしてそんな手のかかるそうるを。やっぱり変わらず愛しいと思うんやろう。
あぁ。惚れすぎ。ほんまに。明らかに惚れすぎ。
ねぇそうる。あんたは全然知らんのやろうね。 きっと今頃。何も知らずにスヤスヤと眠ってるんやろう。 意外とつぶれてなんかなくて。いい気分で普通に帰宅して。 疲れてすぐにバタンキューやったんかもしれん。 あたしのメールに気づかんかっただけで。つぶれてなんかないんかもしれん。 そうやね。あんたの酒の強さはハンパじゃないもんね。
それでも。あたしはこんなにもあんたを思って。 あることないこと予想して。思い込んで。心配してる。 「またいつもの考えすぎ傾向やん。」って言うかもしれんけど。 だって。あんたが昼間あんなこと言うから。 「つぶされる。」なんて言ったりするから。 こんな夜中まであんたのことを思わなあかんくなるんやん。
あたしは。そーゆう心を手に入れてもたんやもん。 あんたのことを考えずにはおられん体になってもたんやもん。
くそぅ。悔しい。考えんかったらええのに。 バタンキューでも。布団かぶらんかったら風邪ひいてまうーって思ってる。 とりあえずは。明日の朝1番にメールせなあかんよなーって思ってる。
ねぇそうる。こんなふうに。ほんま悔しいくらいに。 あたしの中では。いつだってあんたが最優先に動いてるんよ。 動かそうなんて思ってなくても。むしろ動くなよって思ってみても(苦笑)。 あんたはあたしの中で。どこまでも先頭を走ってるんよ。
知らんやろうね。そうる。こんなあたしを知らんやろうね。
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