日曜日。あたしはきっと。世界で1番幸せやった(苦笑)。
何を甘いこと言ってるんやって。厳しくつっこまれたとしても。 いや、実際あたし以上に幸せな人もおったかもしれんけど。 あたしがあたしの中で世界で1番幸せって思うんやから。 それがあたしにとっての真実。それでいい。
朝起きたときから。あたしはどうにもテンションがおかしかった。 久しぶりにそうるに会えることで。嬉しくてしょーがないのに。 なんとなく。最近のドロドロした求める気持ちを見抜かれる気がしてた。 やっばい。どんな顔をしてそうるに会ったらええんやろう。 てゆーか。泣いちまったらどうしよう。それこそ悔しすぎる。 そんなことを考えながら。あたしはそうるのことを待ってた。
昼過ぎに。そうるからワンコールがあって。 あたしは部屋を出て。駐輪場へ降りていった。 駆け出そうかと思って。でもそれはちょっと悔しいと思った。 そして歩こうかと思ったけど。体が我慢できんって言ってた。 で。結局あたしは。ダッシュでそうるのところに向かった。
そうるは。メットを外して。いつもみたいにバイクに座ってて。 走り寄るあたしを見つけて。「おっすー。」って言った。 やばいことに。それはあたしの大好きなそうるやった。 優しい感じじゃないし。ちっともキラキラしてへんくせに。 あたしには異様に眩しすぎる。あのにやっとした笑顔やった。
悔しいけど。また射抜かれたと思った(苦笑)。
抱きつきたい感情を。抑えるべきかと思ったけど。 そんなのは一瞬で。あたしはそうるに近づいて。体を寄せた。 そうるの匂いがして。あたしはそれを胸いっぱいに吸い込んだ。 久しぶりにそこに感じる愛しい人の存在は。あたしを泣かせた。
「なーんやねん。」って。そうるはまた笑ったけど。 「・・・うっさい。」って言って。あたしは離れてやらんかった。 そうるも。それ以上は何も言わんくて。あたしのしたいようにさせてくれた。 時々思い出したように。頭とか肩とか背中とかをポンポンって叩いてくれて。 その手がまたあたしをじんわりさせて。鼻の奥がツンとした。
どれぐらい経ったか。あたしもどうにか落ち着いて。 体を離したときに。そうるはようやく口を開いた。 「今日どこ行くー?」って。あたしに聞いてきた。
正直な話。あたしはどこにも行けんくてよかった。 あたしの部屋で。1日ゴロゴロしてるだけで十分よかった。 むしろ。街中とかでいろんな刺激に気持ちをごまかされることなく。 何もないところで。ただそうると一緒にいられる幸せを感じたかった。
でもでも。そうるは今日はどうしても出かけたかったらしく。 「家でゴロゴロしよっかー。」って提案を。あっさりと却下した。 「なんでーな。ええやんかー。」って。あたしがしつこく言ったら。 「・・・コレ乗り修めやで。ええんか?」って。バイクを指して言った。
うお。うおうお。そういや忘れてたけど。 そうるの免停って。明日からじゃなかったっけ? てことは。いよいよしばらく。バイクの後ろには乗れんってことか? ぎゃー。家でゆっくりしてる場合じゃないやん!(涙)
「あかんやん!走ろうや!」って。あたしはすぐに言った。 「・・・なんやねん。単純やなぁ。」って。そうるは苦笑いやったけど。 あたしにメットを渡してくれて。「早く乗りー。」って言ってくれた。 大急ぎでそれをかぶると。あたしはそうるの後ろにまたがった。
体に伝わるバイクの振動が。あたしの中の何かを目覚めさせる。 心地いいエンジン音が。あたしの中のモヤモヤを消し飛ばす。 体が覚えてる。この快感。この興奮。あぁやっぱりあたしココが好き。 抱き締める愛しい人の背中は。いつもと変わらないあったかさで。 でもそれは久しぶりに感じるもので。余計に愛しくてたまらんかった。
あぁ。こんなにも愛しいあたしの居場所を。 しばらく失うことになるとか。ほんまにありえへん。 もう文句言ってもしょーがないし。そうるも言われたくないやろうし。 ブーブーは言わんけど。残念やなぁって思わずにはおられへん。 あたしは寂しくなって。いつもよりぎゅっとそうるにしがみついてた。
けっこう走って。信号で止まったときに。 そうるは。腰に絡ませたあたしの手の上に自分の手を重ねた。 なんとなくその動きが優しくて。あたしはドキドキした。 でもそうるは。予想もせんかったことを言いやがった。
「あのさー。・・・あばら折れそう(苦笑)。」
「えぇ?!」びっくりして反射的に手を離す。 「うそ?!ごめん!!」って言ったあたしは。思いっきり赤面してたと思う。 そんなに強く抱き締めてたつもりないのに。うわ。恥ずかしすぎる。 恥ずかしいとゆーか。かっちょ悪い(涙)。
でも久しぶりなんやもん。どんなに強く抱き締めたって。 そんなんあたしには全然足りんのやもん。 死にやせん。あばらの1本や2本ぐらい折っとけぃ。 そんなふうにちょっと思ったりもしたけど(苦笑)。 でも指摘されたのは。かなり恥ずかしかった。
そうるは。そんなあたしを肩越しにチラっと見て。例によってまた苦笑い。 あーあ。もうええし。あほやとでもなんとでも思ってちょーだい。 そう思って。あたしはそうるの黒いダウンジャケットをちょっとだけ握った。 今さらやのに照れてもて。思いっきりはくっつけんくなってた。 そしたらそうるは。あたしの両腕をぐいって引っ張って。自分の腰に回させた。 「ええからしっかりくっついときー。」って言って。そのまま走り出した。
その後で。あたしがそうるの後ろで涙したことは言うまでもなく(苦笑)。
ねぇそうる。なんであんたはそうやって。ツボを心得てるんやろう。 普段のあんたは。むかつくところだっていっぱいあるのに。 そうやってポイント押さえてかっちょいいことやるもんやから。 あたしは簡単に射抜かれて。ちっこいハートが穴だらけになってるんやで。
しかもそーゆうのを。全く狙ってへんってのがまた悔しいし。 しかもそんな狙ってへんあんたの態度とかに。 ど真ん中を射抜かれてるあたしもどうなんって感じやし(涙)。
でもでも。とりあえずそんなことはどうでもよくて。 あたしが今日何が1番嬉しかったか。 それはね。そうる。あんたが今日あたしを後ろに乗せてくれたこと。 てゆーか。今日あたしと一緒に走ろうと思ってくれたこと。
しばらく乗れんのなら。乗り修めとして自分ひとりで走りたいかもしれん。 2人乗りよりも。1人で走る方がラクやし。気分的にもええかもしれんし。 でもでも。あんたはあたしと一緒に。乗り修めをしようって思ってくれたんよね。 バイクが大好きなんはあたしも一緒やってこと。思ってくれたんよね。 そーゆう優しさが。めちゃめちゃ嬉しかったんよ。
大好きなバイクと。あたしと。一緒に過ごしてくれる。 それって。あたしもバイクと同じくらい。 あんたにとって大事ってことやと思ってええんかな。そうる。
「思い上がんなー。」って。でこピンされそうな気がする。 そしてそのでこピンさえ。想像するだけで。 あたしには愛しかったりするからもう大変(苦笑)。
ちょーっと長くなりすぎなんで(焦)。続きはまた明日。 |