今日もナイターに行って。帰りにみんなでうどんを食べに行った。 そうるとあたしを含めて5人。いつものメンバー。 原チャもバイクも寒すぎて。ガタガタ震えながら店に入った。 店の中はあったかくて。目の前にはそうるの笑顔もあって。あたしは幸せになる。 ホカホカうどんを食べて。相変わらずしょーもないことを話したりして。 時間はあっという間に過ぎていって。気づけば0時を回ってた。
店を出て。「じゃーねー。」って言って。みんな家に帰って行く。 あたしは。そうると別れるのが名残惜しくて。ダラダラと残ってた。 でもそうるは。あたしのそんな気持ちなんて全然気づいてない感じで。 「さみー。」とか言いながら。荷物をバイクに括り付けて。帰る支度をしてて。 「じゃーねー。」って言い残して。あっさりと帰って行った。
・・・ちょっとだけ期待してた。家に来てくれるかなーって。 以前ナイター後に。みんなでラーメン食べた後で。 そうるはあたしの家に来てくれたから。・・・正しくは待ち伏せやけど。
そういうこと期待してるのって。なんか恥ずかしいやんね。 そんなにいつもいつも気にかけてもらえるとか。望んでる自分に。 後から気づいて。あーあ・・・またかよ・・・な-んて。情けなくなる。
マンションに着いて。駐輪場に入るときに。またあたしは意識してる。 気になんかしてへん。そう思ってるけど。こっそりあのバイクを探してる。 でも。いつもそうるが停めるところに。愛しいバイクはなくて。 それからぐるっと見回してみるけど。やっぱりそうるのバイクはなくて。
(あーあ。やっぱりおらんかぁ。)って。がっかりしたあたしを。 (なに期待してんねん。ばーか。ばーか。)って。もう一人のあたしが笑う。 あたしの中で。2人のあたしが会話してる感じで。なんだかなぁと思いながら。 あたしは。マンションの入り口に回って。エントランスのドアに手をかける。
そのとき。あたしの背後でクラクションが鳴る。 振り返ったあたしは。眩しいライトに照らされて。思わず目を細める。 信じられんかった。その光の中には。そうるがいた。
「はっはー。隠れててやった。」そうるは笑いながら。バイクを停める。 「探してたやろ。はっはー。アホやコイツ。」って。さらにあたしを笑う。 いつものあたしなら。間違いなく言い返してるところやった。 「きぃー。探してへんわ。誰が探すか。調子のんなよ。」って。 ひとつふたつバシっと叩いてやるところやった。
でも。今日のあたしはおかしかった。 込み上げてきた愛しさは。生意気なあたしを消してしまった。 だって。こうして2人きりになりたかったから。 ここ最近。ゆっくり2人きりにはなれんかったから。 変わりに。甘えんぼのあたしが現れるかと思えば。それも違った。 あたしは。甘えたくて仕方ないくせに。動けなくなってた。 自分でもどうしてなのか分からないけど。
黙り込んだあたしに。そうるは近づいてくる。 「どした?」って。うつむいたあたしを覗き込む。 あたしは。なんて言っていいか分からんくて。上目遣いでそうるを見る。 ちくしょう。2人になれて嬉しいのに。言葉が出てこーへん。 だって。あまりにも予想外やってんもん。本気でびっくりしてんもん。 1回がっかりさせといて。実は隠れてるとか。ちくしょう。ずるい。 あたしが会いたいと思ってたこと。そうるがいるかもってちょっと期待したこと。 またバレバレやし。なんやねん。なんであたしばっかり。ちくしょう。
「なーんやねん。」そうるは笑って。またあたしの頭を叩く。 あたしがそれに弱いことを。そうるはもうちゃんと知ってて。わざとやってくる。 甘えることに。ちょっとだけ抵抗を感じて。困ってるあたしを。 自分の方に引き寄せて。ぎゅーって。抱き締めてくれる。
瞬間。凍ってた気持ちが溶かされて。涙になった。
正直な話をすると。サークルを引退するってことになって。 あたしはめちゃめちゃ情緒不安定やった。 練習は行ってるけど。それもたぶん今年いっぱい。 そうるの愛は信じてるけど。サークルの存在が消えても。 今までと同じようなあたしたちでいられる自信が。今のあたしにはなかった。 あたしは。これからもきっと。今までと変わらずそうるを愛していくけど。 そうるが。この先あたしをどう思うのかが分からなくて。 失うかもしれないと思ったら。怖くて怖くて。たまらなかった。 そして。そんなふうに疑ってる自分が。大キライやった。 そうるの顔色とかを。こっそり見てる自分が。大キライやった。
そんなときに。学部の方も忙しくなって。 あたしは。しんどくてたまらんかった。 支えになってたものがなくなって。宙ぶらりんになって。 先のこととか考えて。どうしようもない不安でいっぱいやった。
そんなあたしに。気づいてたのかどうなのか分からんけど。 そうるは。こうやってあたしに会いに来てくれる。 どうしようもないあたしを。こうやって抱き締めてくれる。 そのたびに。あたしは幸せになって。同時に怖くなって。泣きたくなる。
ねぇそうる。あたし。ちっともかわいくないね。 怖がりやし。泣き虫やし。そのくせ。ちっとも素直じゃないし。 強がって。平気なフリして。実はビクビクしてたりして。 でもあたしは。そんなあたしを。抱き締めてくれるあんたが大好き。 大好きやから。怖くなるねん。泣きたくなるねん。
こんな情けないあたしが。ぐちゃぐちゃのあたしが。 あんたみたいな優しい人に愛されてええんかな。 あたしは自己嫌悪に陥ってるときに。よくそう思うねん。
ねぇそうる。そういうあんたの優しさに。 ちゃんとつりあえるあたしになりたい。 見守ってくれるあんたの期待にちゃんと応えられるように。 いつでもがんばれるあたしでいたい。
そうる。あんたの存在に。あたしまた救われたわ。 大丈夫。おかげでちょっとがんばれる気がしてきたし。 ありがとう。ありがとうね。そうる。
長くなっちゃったので。続きはまた明日。 |