昨日あたしは。おかしいくらいにそうるに会いたくなってて。 そして今日。会えてやっぱり幸せやった。
先週の金曜に。ずいぶんとキツイことを言われて。 あたしなりにずいぶんとへこんだり考えたりしたけど。 そういう難しい感情も。やっぱり愛しい感情の前では消される。 その時どんなにそうるを憎らしく思っても。もう大キライと思っても。 最終的には。「愛しい」って気持ちが1番になれる。 そんな自分って。ちょっと都合よすぎな気もするけど(涙)。 でも。幸せなココロやなぁって思う。
今日のそうるは。ずいぶんと早くにグランドに来てたみたいやった。 最近めっきり寒くなったから。バイク用の黒い大きなコートを着てて。 「寒いー。脱ぎたくないー。うぅー。」ってジタバタしてた(笑)。 いい季節になったわ。そうるに1番似合う「黒」が。 いっぱいそうるに着てもらえるんやもん(笑)。
そしていつもみたいにみんなで集まって。練習が始まる。 いつもみたいに。楽しい練習になるはずやった。何の心配もしてなかった。 でも。結果的に。ちょっと気まずくなった練習やった。
あたしはここで何度も書いてるけど。そうるのプレーはめちゃめちゃうまい。 あたしたちのやってるスポーツには。アタックとディフェンスがあって。 あたしもそうるも主にディフェンスをやってる。 そうるは真剣になればなるほど。プレーが荒くなる傾向がある。 それはそうるに限ったことじゃなくて。あたしもよくやるから分かる。 相手との距離を詰めた積極的なプレーと、相手にぶつかる危険なプレー。 その境界線なんて本当に微妙なライン。だからこそ難しい。 特にそうるの場合。ギリギリまで距離を詰めようとするからこそ余計に。 相手にぶつかったとき。与える衝撃も大きい。
今日もその荒いプレーが出て。そうるがアタックのコの腕を叩いてしまった。 そのコは軽くキレた程度でどうにか納まった。(それもたいがい怖かった。) でも他のアタックのコが。決して悪いコじゃないし大好きなコやねんけど。 普段からけっこう熱くなりやすくて。そうると意見がぶつかるコで。 「なんでそんな荒いプレーやるねん!ファールやろ!」って。そうるを責めた。 そうるはそうるで。もちろんわざとやったわけじゃないんやから。 「ギリギリのとこやねん!あれぐらい当たるのはしょーがない!」ってキレた。 そのコもそうるも譲らなくて。キツイことを言い合って。イヤな空気が流れる。
あたしは。そういう争う空気がめちゃめちゃ苦手。胃が痛くなる。 どっちかというと。すべてを穏便に済ませたいタイプやから。 ずるいかもしれん。でも。自分の大好きな人たちが言い争うのは見たくない。 今お互いに対してむかついても。普段は仲良くやってるんやし。 真剣にやってるからこそ熱くなる。楽しくやるばっかりじゃあかんことも分かる。 それでもやっぱり。物には言い方があると思うし。こういう空気はキライ。
そのプレーの後で。アタックとディフェンスで分かれて反省する。 これは各プレーの後でいつもやってるんやけど。 今回は集まるとすぐに。ディフェンスリーダーが口を開く。 「なにやってんの。うちら同じチームやねんで。」 「あんなにアタックさんキレさせるとか。絶対やったらあかんやん。」 口調は冷静やったけど。明らかにそうるのプレーと態度を責めてた。 他のディフェンスのメンバーも。ちょっと殺気立ってて。 そのプレーに関してもキツイ発言がいろいろ出てきた。 そうるは。さすがに言い返せなくなって。ちょっと黙り込む。 「・・・うん。ごめん。次からは気をつけるわ。」って。切り替えて明るく言ってたけど。 あたしには。ちょっと元気なくしてるそうるがちゃんと見えた。
そんなそうるが気になって。あたしは練習後に。駐輪場で声をかける。 寒そうに風を受けながら。荷物をバイクに括りつけてる後ろ姿に。 「おーい。大丈夫かー。」って呼びかける。 そうるは振り返って。ちょっと笑って。 「おう。なんとか。気にしてへんし。」って言った。 でもその顔は。すぐに雲ってバイクの方を見てしまう。
あーあ。全然大丈夫じゃないし。強がりなんてバレバレやし。 あたしはひとつ息をついて。そうるに近づいていく。 そうるのプレーに関しては。なんせ圧倒的にうまいもんですから。 悲しいけど。あたしはどうこう言えたもんじゃない。 でも。あのときのそうるの態度は。ちょっとどうかなーと思ったから。 あたしはそういうことを。出来るだけ冷静に話した。
そうるはあんまりあたしの方を見ようとしなかった。 あんなに実力があるそうるのこと。 プレーのことで責められたのは相当悔しかったんやろう。 あたしの言うことを聞き入れられる余裕が。今のそうるにあるかな。 そんなことを思ったけど。でもちゃんと伝えたかったし。思ってることを全部言った。
「でもあんただけが悪いわけじゃない。最初にキツイこと言ったあのコも悪い。」 「それはみんなも分かってるって。あんま気にしすぎたらあかんで。」
あたしはいろいろ言ったけど。最後にそう言った。 平気そうにしてても。そういうことを意外と引きずるそうるを。 あたしは知ってるから。心配になって言った。
そうるは。手を止めて。何かを考えているみたいやった。 そして。あたしの方を見て言った。 「ありがとうな。」って。ちょっと掠れた声で。 「そう言ってくれるのはあんたぐらいや。」って言った。 そして。あたしの腕をつかむと。ぐいっと引き寄せた。
駐輪場には冷たい風が吹いていた。 寒くて我慢の限界が来てた友達は。みんな帰ってしまった。 もう誰もいない。人目は気にしなくていい。
あたしを抱き締めるそうる。その腕は小刻みに震えていた。 「寒いなー。あー。あったかい。」そうるはあたしの肩に頭を乗せる。 震えんといて。大丈夫やから。そんなに震えんといて。 寒さのせいやんね。泣いてなんかないやんね。そうる。 そうるの黒いダウンのコートに。あたしは体を押し付ける。 伝わりますように。あたしの気持ち。 そう思いながら。回した腕に力をこめる。
ねぇそうる。あんたが沈んでるのは。自分のプレーのせいだけじゃないんやろ。 そうやって自分がキレたことで。一瞬でもチームの雰囲気を乱してしまった。 キレた当人たちに関係ないとこで。いろんなチームメイトが不快な思いをして。 おいおい、こんな状態で大丈夫なんやろうかって。絶対思ってたはず。 自分がチームをそういう状態にしてもたことが。キャプテンとして。 あんたには許せんことやったんちゃうかな。あたしはそう思ってんけど。
大丈夫やで。そうる。あんただけが抱え込むことない。 あたしはいつでも。あんたの味方やから。 悔しかった気持ち。しんどい気持ち。あたしにも分けて。 あたしに出来ることは少ないけど。きっとたいしたことは出来んけど。 こうやってあんたを。抱き締めてあげることぐらいは出来るから。 それでちょっとでもあんたが救われるんなら。 あんたのそばにあたしがいる意味はあるやんね。
そうるはあたしから体を離して。あたしの目を見て笑う。 「ありがと。もう大丈夫。」って。いつものそうるに戻る。 「そっか。ならよかった。」って。あたしも笑う。
多くは語らなくても伝わるときがある。 相手への溢れる愛情が。心にちゃんと届くときがある。 あたしは。そうるからのあたしへの愛情を確かに受け取ったし。 あたしのそうるへの愛情を、そうるが受け取ってくれたと信じられる。 だから。何も怖くなんかないって素直に思えて。ちゃんと笑えた。
「寒くなったし帰ろうか。」って言ったあたしに。 「今から家行っていい?」ってそうるは言った。 「ええけど。明日講義ないん?」ってあたしが言うと。 「昼からやもん。ええねん。」って。そうるは笑った。 「いきなりやねなぁ。ええけど。」ってあたしがイジワルく笑ってやったら。 「うん。今日はちょっと甘えたい気分やし。」って言って。 あたしの唇をプニっとつまんで。短いキスをくれた。 いつになく素直でかわいいそうるに。あたしはまたやられる(苦笑)。
帰り道。そうるはあたしの原チャの後ろをずっと走ってくれた。 いつも100キロ近く飛ばすそうるが。45キロに抑えてくれる。 まわりの車には相当迷惑なバイクやったやろうけど(苦笑)。 あたしはそうるに守られてるような気がして。嬉しかった。
・・・うーん。これ以上は長くなりそうなんで。(←十分長いし。) 夜のことはまた明日書きますね。
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