***☆For My Dearest☆***



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男でも女でも関係ない。1人の人間として。
そうるはあたしにとって。かけがえのない最愛の人。

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2002年10月19日(土)君を救いたくて。

あんなに昨日張り切ってたのに。今日は雨。
目覚めて。カーテン開けたときのあのショック具合。
なんか明日も雨っぽいし。うーむ。困った・・・。

でも試合前日に。何もしないのは落ち着かないので。
あたしたちは大学に集まってミーティングすることになった。
試合の作戦とか。スタメンの発表とか。そーゆうことのために。


あたしはここで何度も言ってきたけど。最近ずっとスタメンから外されてる。
そういう苦しみをキャプテンのそうるにぶつけて。困らせたこともあった。
単純にスタメンになりたい気持ちと。そうるに認められたい気持ち。
どっちが強いかと聞かれたら。はっきりとは言い切れなかった。
とにかく辛い気持ちを分かってほしくて。受け止めてほしくて。
そうるの前で泣いたこともあった。・・・あたしはわがままやった。

そうるは。あたしの気持ちをちゃんと聞いてくれて。
「見守ってるから」って言ってくれた。
その言葉が何より嬉しかった。幸せやった。
あたしの気持ちはそうるに伝わっていると。信じるって決めた。
だからそれ以来。そうるとはその話はしてない。


チームには大勢の選手がいる。
もちろんスタメンになれないのはあたしだけじゃない。
そういう友達の1人が。ミーティングの場で。涙を零してた。

そうるは。彼女の涙を見て。明らかに困ってた。
みんながいる場所で。泣き出すほどにまで思いつめた彼女に対して。
どう接したらいいのか分からないみたいやった。
でも彼女の話をうなずきながら聞いていた。
そうるの目は。いたわり深くて。思いやりに満ちていた。

あたしは。泣いたその彼女に嫉妬した。

キャプテンとしてのそうるの立場は分かってるつもり。
全員の気持ちを平等に受け止めたい。そう思うのは当然で。
そういう平等なそうるを。あたしはかっちょいいと思ってるし。
あたしだけを特別扱いしないそうるを。さすがやと思ってる。

頭では分かっていても。感情はついていかないことはよくあること。
あたしは。結局はただのわがままなヤツなんかもしれん。
そうるの優しさを。あたしだけに向けてほしいんかもしれん。

自分だって。そうるに計り知れんほど優しくしてもらってるくせに。
その優しさが誰かに向けられると。それはあたしに与えられるものよりも。
ずっとずっと多くて。ずっとずっと重みのあるものに思えたりする。
優しさに量とか重さなんてないはずやのに。
ひとつひとつが比べられないものであるはずやのに。

なんでこんなに心が狭いんやろう。
なんでこんなに独占欲が強いんやろう。
愛されてるのはあたし。彼女は関係ないはず。
それやのに。どうしてこんなにも不安になるんやろう。

あたしは。そんなことをドロドロと考えてて。
ミーティングの間。ほとんど発言しなかった。


ミーティングが終わったのはお昼過ぎ。
みんなで食堂でお昼を食べて。じゃあねーって別れる。
そうるは。明日は試合なことやし。すぐに帰るかと思いきや。
「ちょっとデートせーへん?」とか言ってきた。
「へ?」予想もしてなかった言葉に。あたしは間の抜けた返事をする。
「そんなぶっちょー面で試合とか。あかんでー。」
そう言って。そうるはあたしにメットを投げてよこす。

・・・あぁ。ほんまに。敵わんなぁ。そうるには。
あたしのちっちゃなジェラシー見抜いてる。
前日やのに。あたしのために時間とってくれるんや。
ひゃー。申し訳ないなぁ。でもめちゃめちゃ嬉しい。
あたしはバイクの後ろにまたがって。そうるの背中を抱き締めた。

でも実際そうるは。あたしのためだけに時間をとってくれたわけじゃなかった。
そのことには。後から気づくことになる。


駅前のスタバ。あたしとそうるがよく行く場所で。
そうるはバイクを停めて。あたしを店へと先に入れる。
もう寒くなってきたから。お気に入りのフラペチーノはやめて。
あたしはカフェモカ。そうるはエスプレッソ。
それからチョコクッキーを1枚ずつ注文する。
いつも座る奥のソファの席が空いてるのを見つけて。
どちらから言うでもなく。自然とその席に向かう。

「おいしー。やっぱ甘いの最高☆」あたしは笑う。
「えー。甘すぎ。うちには無理。」そうるはちょっと飲んで言う。
「エスプレッソとかの方が無理やわ。苦いし。」あたしは言う。
「何を言うか。これがおいしいんやん。」そうるは笑う。

話は自然とミーティングのことになる。
「あのコに泣かれて。正直どうしようかと思った。」って。
そうるはあたしに言う。あたしはちょっと困る。
以前そうるの前で泣いたことのあるあたしとしては。
ちょっとバツが悪くなって。カフェモカをコクコク飲む。
そうるはそんなあたしをやっぱり見抜いたのか。ちょっと笑う。

「でもなぁ。やっぱり勝ってこそやと思うねん。」
「負けてもたら。心の底からは笑うことは出来んやん。」
「だからさ。全員の言い分を聞きたいけど。そうはいかんねん。」
そう言いながら。そうるはマグカップの口を指でなぞる。
あたしはその指を見ながら。うなずいて聞く。

「でもなぁ。そうやってオーダーとかを決めた手前。」
「勝てんかったらほんまに意味ないことになるやん。」
「そう思うと。なんかやっぱり責任とかも感じるやん。」
そう言いながら。そうるはチョコクッキーをパキパキ折る。
あたしはその手を見ながら。やっぱりうなずくことしかできんかった。

そうるの気持ちは痛いくらいに分かるけど。
あたしにはどうすることも出来んくて。
だってあたしはキャプテンじゃない。あたしはそうるじゃない。
歯痒いけど。どうしようもなくて。やるせなかった。

それにしても。そうるは今日はちょっとおしゃべりや。
いつもなら。そんなことを言ったりせんのに。
あたしとそうる。寄りかかるのも頼るのも。
いつだってあたしの方が多かったのに。

あたしがカフェモカを飲み干しても。
そうるのエスプレッソはほとんど減ってなかった。
あたしがチョコクッキーを食べ尽くしても。
そうるのチョコクッキーは半分以上残ってた。

あたしはようやく気づく。
そっか。やっぱりそうるは。ちょっと不安になってるんや。
おしゃべりになってるのも。不安の表れなんや。
そう思ったら。あたしはたまらんくなった。


ねぇそうる。あんたのちょっと弱った姿に。
あたしはどうしようもなく胸が熱くなってたんよ。
守られるばっかりのあたしやけど。守ってあげたい。
支えられるばっかりのあたしやけど。支えてあげたい。
なんかそう思ったら。また泣きそうになってたんよ。

あたしがこうやって話を聞いてあげることで。
あんたをちょっとは救うことが出来るやろうか。
あたしがこうやってそばにいることで。
あんたはちょっとは元気になるやろうか。
あたしね。そんなことをずっとずっと考えてた。

そうる。どうしよう。あたしあんたが愛しくてしょーがない。


スタバを出た頃は。もう夕方になってた。
そうるのエスプレッソは。結局冷め切って残された。
店を出て。そうるはバイクに先にまたがる。
そして後から店を出たあたしに向かって。笑って言った。
「ありがとうな。話聞いてくれて。」って。

「いや。聞くだけしかできんかったけど。ごめん。」って。あたしは照れて言う。
「いやいや。ちょっと救われた。ありがと。」そうるも照れて言う。
「そんなん。うちとか普段愚痴りまくりやし。」ってあたしが言ったら。
「あぁ。そっか。んじゃ気にせんでええか。」って。そうるはイジワルく笑った。
そんなそうるに。あたしはいつもみたいにキィーって言う。
でも今日のキィーは。悔しさよりも。嬉しさの方が勝ってた。

あぁ。よかった。そうるがいつもみたいに戻って。
よかった。あたしがちょっとでもそうるを救えて。


ねぇそうる。そういう弱い姿。あたしには見せてええからね。
いつもいつも威厳のあるキャプテンじゃ疲れるやろ。
かっちょよすぎるあんたじゃなくてもいい。かっこ悪いあんたでもいい。
強いあんたじゃなくても。弱音を吐くあんたでも。
そのままのあんたを。あたしは愛してるから。

大丈夫。あんたの気持ちとか。あたしちゃんと抱えてみせる。
あんたがしてくれるみたいに。うまくは抱えられんかもしれんけど。
ちょっとずつこの腕から。指の隙間から。零してまうかもしれんけど。
それでも。守られるだけじゃなくて。あんたを守りたいねん。
この腕をいっぱい広げて。あんたのことを包みたいねん。


そうるはあたしをバイクで送ってくれて。お決まりのキスをくれた。
甘くて柔らかいそうるの唇から。あたしは元気をもらう。
「明日がんばろな。」「うん。早く寝なあかんで。」
そんな言葉を交わして。去っていくそうるを見つめる。


ねぇそうる。明日は。最高の1日になるように。
最高の涙を流せるように。一緒にがんばろうね。
あんたがいてくれるなら。あたし何だって出来るような気がする。
あんたが笑ってくれるなら。あたしすごい力が沸いてきそうな気がする。
大丈夫。きっと試合の後。あたしもあんたもいい顔をしてるはず。

そうる。がんばろうね。





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*追加1*
写真探しの旅に出かけてます(笑)。しばらくはこんな感じかな。
でもやっぱりこれじゃ寂しい。キレイな背景つけたいよー。
なーんか。秋っぽくて。暖かいのを見つけたい気分。

*追加2*
明日は試合があったらたぶん飲み会なんで。
更新できない可能性大です。楽しみにしてくださってる方、ごめんなさい@
でも次の日にちゃんと書きますんで。うん。勝利報告したいです。
いい試合できるように。祈っててくださいね☆





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