今日はそうるに会えるとは思ってなかった。 サークルの男子の試合があって。それを見に行ったんやけど。 そうるは来るって言ってなかったし。バイトみたいやったし。 もしかしたらって。来たらいいなって思いはしたけど。 まさか来るとは思ってなかった。
あたしが試合会場に着いて。みんなと話してたら。 そうるが走ってくるのが見えて。あたしは。途端に笑顔になる。
黒いライダー用の上着。薄い色のジーパン。 そしてウエストポーチをつけて。いつものそうるのスタイル。 身軽そうに。ふらっとやってくる。そんなそうるはかっちょいい。
みんなに声をかけて。あたしを見つけて。ちょっと笑う。 そして。普通に何もなかったように。そうるは他の友達の隣に並ぶ。 そういう無言のやり取りに。あたしは心を揺すられる。 誰もそうるとあたしの関係を知らない。 2人だけの秘密。それがなんだか。くすぐったくてたまらない。
試合を見ながら。あたしはそばにいるそうるをちらっと盗み見る。 みんなが黄色い歓声を上げてる中で。そうるは。 同じように騒ぎながらも。(歓声は黄色くないけど・・・(笑)。) 「それはあかんやろー。」ってつっこんでみたり。 「おい。もっと走れよー。」って笑ってみたり。 そんなそうるの姿を見て。あぁやっぱりそうるやわーって。 あたしは勝手に楽しくなったりする。
思いのほか今日は暑くて。あたしは何か飲みたくなった。 「自販機行くけど誰か何かいるー?」って聞いたら。 「お茶☆」「ポカリ☆」「あ、100%のジュースがいい☆」なんて。 みんな勝手なことばっかり言うもんやから。 「きぃー!そんなに持てるかー!」って言ったら。 「ほんじゃついてくわー。」ってめずらしくそうるが言ったんで。 あたしはそうると2人で買い出しに行った。
「ちょっと涼んで行こうや。」ってそうるが言うんで。 自販機があった小さな建物の中で。少し休憩。 「ちょー。初めてみるわ。このスポーツドリンク。」とか言いながら。 あたしが自販機の前でいろいろ見てたら。 そうるは後ろからあたしの腰に手を回す。 そして。そのままあたしの体をなぞって。 胸まで手を上げてきて。少し動かした。
「・・・あほぅ!」あたしはパシっとそうるの手を叩く。 「いったー。叩かんでもええやん。」そうるは大げさに痛がる。 いーや。怒らせてもらうぞ。時と場合によってはあたしだって怒る(笑)。 まったく。ここをどこやと思ってんのよ。こんな誰でも入ってきそうなとこで。 誰かに見られたらどうすんのよ。あほぅ。危険予測が足りなさすぎ。
でもあたしがそんなことを言ったら。 「見られて困ることしてへんやん。」なんて言う始末。 「困るやん!どうすんのよ!」って言ったら。 「だって。悪いことじゃないやん。」ときたもんやし。 いいとか悪いとか。そういう問題じゃないやろ。こういう場合は。 まったく。どこまで本気で言ってんのか、こいつは(苦笑)。
オープンエロなそうるは。ときどきこういうことをやって。 あたしをびびらせてはおもしろがってる トイレでキスしようとしたり。(したこともあるけど。) エレベーターの中で抱き締めてきたり。(これは抵抗した(笑)。) そのたびにあたしは。焦りまくって。動揺して。 とりあえず「あほぅ。」って言ってみる。
でも実際あたしは。ずるいもんで。 いじられてる感覚が。実はたまらなかったりする。 「あほぅ。」とかえらそうに言いながらも。抵抗しながらも。 あたしはきっと。どうしようもない幸せを感じてる。
「やってやってー☆」なんて。神に誓って絶対思ってないけど。 でも。そういうイジワルなそうるの手がなくなったら。 あたしはきっと寂しくて寂しくて。死んでしまう気すらする。 今そのことを想像しただけで。もう寂しくなってるあたしがいるくらいやし。
ねぇそうる。やっぱりあたしは。 あんたにいじられまくってるのがいい。 「あほぅ。」ってずっとあんたに言い続けていたい。 きっとあんたも。あたしをずっといじっていたいはず。 「もぉー。」って言うあたしを好きなはず。ふふん。図星やろ。
そう考えるとさ。あたしたちっていい組み合わせやんね。 サディストなあんたと。マゾヒストなあたし。 怖い世界のお姉さまみたいな。そんなのはあたしには理解不能やけど。 サディストとマゾヒスト。2つで1つって感じの響きが好き。 こうやって日常の中で。なんとなくいじったりいじられたり。 そういうのが幸せ。そういうのが楽しい。
あんたがあたしをいじる感覚にも。 あたしがあんたにいじられるのと同じだけの幸せがあるといいな。 そうやって。つっついて。つっつかれて。 ずっとずっと2人で。一緒に笑っていられたらいいな。 |