***☆For My Dearest☆***



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男でも女でも関係ない。1人の人間として。
そうるはあたしにとって。かけがえのない最愛の人。

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2002年10月05日(土)君が必要なの。

今日は試合だった。結果・・・これまた快勝☆
実は前後半通して微妙にヒヤヒヤした展開になったものの。
もともと負ける気はしてない試合相手校だったために、
最終的にみんな落ち着きを取り戻して勝利につながった。

試合になるといつも書いてるけど。
そうるは。今日もため息が出るほどキレイだった。
勝負を挑むその目は。秘められた強い闘志を表し。
機敏なその動きは。風をまとっているようにしなやかで。
そうるの姿は。あたしの心を完全に奪っていた。
もちろん自分のプレーにも集中するけど。
余裕があるときは。試合を忘れてそうるに見とれていた。
何度見ても。胸が熱くなる。心が沸騰しそうになる。
あたしの胸をこんなにも熱くするのは。きっとそうるしかいない。


あたしは。昨日ケンカをしてから。そうると話していなかった。
ケンカというか。あたしが一方的にそうるを怒らせただけで。
そうるにその原因はあまりなかったと思うけど。
とりあえず。あたしは。そうるの態度が悪かったことにキレて。
そうるは。試合前日にあたしがいろいろ愚痴ったことにキレて。
お互い言葉も足りなくて。すれ違ったままで。
後味の悪いバイバイをして。そのままになってた。

謝りたい気持ちはいっぱいあっても。
どうしても素直になれない自分もいて。
そんなに意地を張る必要がどこにあるのかとも思うけど。
それでも。相手に対して求めてしまう心は消えなくて。
そんな自分に対して。情けなく感じる心も消えなくて。
あたしは。どうしたらいいのか分からなかった。
結局何も言えないまま今日になった。

サークルと私情は関係ない。
だから。ケンカしてても普通に話はする。
作戦を練ったり。情報交換をしたり。そういうのに言葉は必要。
でも。そうるはあたしの目をちゃんと見てはくれなかった。

あたしは。少し落ち込みながら。試合を向かえた。
試合前にみんなで円陣を組む。偶然あたしのとなりにそうるが並ぶ。
肩を組むのをちょっとためらった。そうるがどう思うかが怖かった。
でもあたしは。結局そうるの肩に腕を回した。
そうるは別に何も言わずに。普通に受け入れてくれた。
そうるに触れる。何度となく触れてきたその体の一部に触れる。
でも今のあたしには。たったそれだけのことでも。心が震えた。


今日の試合。あたしは結局オーダーで決められてた時間より多く出てた。
試合ってのは流れがあるから。なかなかメンバー交代出来ないこともあって。
あたしは交代要員になってたはずが。スタメンやった友達より多く出てた。
試合終了後。あたしはそのコに声をかけた。
「ごめんな。後半交代できんくて。」て。
何て言われるかと少し思ったけど。そのコはあっさりと言った。
「ううん。ええねん。代われんかったもんな。」って。
「お疲れさん。最後めちゃめちゃがんばってたやん。」って。

あたしは。また自分が情けなくなった。
試合に出たい出たいって思ってたあたしは。なんて醜かったんやろう。
その気持ちは大事やけど。そればっかりに執着してて。
その友達みたいな心の余裕なんて。あたしには全然なかった。
自分だけがしんどいと思ってた。周りのことなんて見えてなかった。
そして。そうるのことだって。怒らせた。

いろんな考えがぐちゃぐちゃになったけど。
あたしはやっぱりちゃんとそうると話をしたいと思った。
キャプテンのそうるは。試合後にもいろいろとやることがあって。
みんなと一緒には帰れない。あたしはそれを分かってたから。
「先帰っててー。」とか言って。駅に向かうみんなからさりげなく離れて。
そうるのことを待つことにした。


そうるのバイクの隣に。あたしは荷物を置いて座りこむ。
膝をかかえたら。涙がじんわり溢れてきた。
何を言おう。何を伝えよう。いろいろ言葉を探してみても。
気持ちのすべてを伝えられる言葉はみつからなくて。
どうしよう。どうしよう。そんなことを考えながら。
膝に頭を埋めて。あたしは静かに泣いた。

どれぐらいそうしていたか。近づいてくる足音が聞こえた。
そうるは。靴のかかとを引きずって歩くクセがあって。
あたしはいつの間にか。その足音も聞き分けられるようになってた。
足音はバイクの横で止まる。そして。あたしの頭に手が置かれる。
「・・・何やってんねん。」って声がして。
顔を上げたら。そこに。あたしの最愛の人がいた。

「・・・待っててん。」立ち上がって。あたしはそう言うのがやっとだった。
「うん。見れば分かる。」そうるはそう言って。そばのブロック塀に座った。
なんて切り出せばいいか分からなくて。あたしが黙ってたら。
「言いたいことがあるから待ってたんやろ。」ってそうるは言った。
「聞くから話し。今日はちゃんと聞くから。」って。あたしを見て言った。

あたしは。思ってることを話した。
昨日。そうるの都合を考えずに。言いたい放題言って後悔したこと。
今日。思ったより試合に出られて。あのコは気にしないって言ってくれて。
試合に出ることだけに執着してた自分が恥ずかしくなったこと。
自分のことしか見えてなかったことに。ようやく気づいたこと。
うまく伝わるか怖かったけど。あたしは一生懸命話した。

そうるはあたしの話を聞きながら。
「うちも昨日はキツかったと思ってる。ごめん。」って言った。
そして。最後に。あたしに向かって。笑って言った。
「ちゃんと自分で考えられたやん。」って。
「答えもちゃんと見つけられたやん。」って。

あたしは。我慢できなくなって。そうるに抱き着いた。
「ごめん。ごめん。」あたしの口からはもうその言葉しか出てこなかった。
そうるはあたしを抱き締めて。言ってくれた。
「最近泣きすぎやろ。脱水症状で死ぬで(苦笑)。」って。
「・・・死なんし(苦笑)。」あたしはそうるの腕の中で吹き出して。
ようやく。また笑顔に戻ることが出来た。


ねぇそうる。あんたと一緒にいて。あたしはいろんなことを学ぶみたい。
まだまだ弱いとこも間違ってるとこもいっぱいあるあたしは。
あんたと一緒にいて。いっぱい勉強していく必要があるみたい。
ただ優しいばっかりじゃないあんたと一緒にいると。
楽しいことだけじゃなくて。キツイこともいっぱいあるけど。
それでもあたしには。やっぱりあんたが必要みたい。

ダメなあたしを叱ってくれるその声と。
それに気づけたあたしを抱き締めてくれるその腕は。
あたしには絶対に失くせないもの。
そして。その声も。その腕も。
あんたのものじゃなきゃ意味がないんよ。


あたしをバイクで送ってくれたそうるは。
いつもみたいに自然に。あたしにキスをくれた。
ひそかにそのキスがないかもって思ってたあたしは。
幸せで。そうるにしがみついて離れなかった。
「ん?どした?」って言うそうるに。
「いや・・・久しぶりやったから。」って素直に言ったら。
「満足した?(笑)」ってイジワルな笑顔で聞いてきたもんだから。
ちょっと迷ったけど。ここは思ったことを言うべしと思って。
「・・・いや。足りん。」って言ってやったら。・・・爆笑された(笑)。
「足りんのかいっ!(笑)」って。
でもそんな笑顔だって。あたしは愛しかった。

だって。足りんもんは足りんかってんもん。
キス大好き人間のあたしとしては。ケンカして。気まずくて。
そういう状態が続いてることは実はかなり辛かったから。
そうるはやっぱりそんなあたしを見抜いてたと思われ。
はぁ。もうええけどね。そうるになら。全部見抜かれても。

そうるは結局。甘い甘いキスをくれた。
あたしの唇に吸い付くそうるの唇。
あたしの舌に絡まるそうるの舌。
こんなにも愛しいものは。あたしには他には考えられない。

あぁよかった。あんたを失わずにすんで。
あたしにとって絶対に必要な存在を。失わずにすんで。





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