***☆For My Dearest☆***



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男でも女でも関係ない。1人の人間として。
そうるはあたしにとって。かけがえのない最愛の人。

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2002年09月17日(火)痛い記憶。

今日は朝から雨。そのせいで洗濯物が干せない。
傘をさして歩く大学までの道でスニーカーが濡れる。
どんよりした空。昼間なのに暗い景色。
雨の日はキライ。気分を憂鬱にさせるから。
思い出したくないものを思い出したりするから。

それは。最愛の人を困らせたあの記憶。
最愛の人を泣かせたあの記憶。

(かなり長くなると思いますが、それでもよければ読んでください。)

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あれは今年の4月。サークルの飲み会の後のこと。

2月の終わりにそうるに彼氏ができて。
3月はあたしにとって苦しい時期だった。
あたしとそうるは微妙に気まずくて。
お互いをどこか避けるようにしていたような気がする。

あたしは。そうるを求める自分の気持ちの大きさに気づいて。
もしかしたらそれがそうるには歓迎されないものかもしれないと思ってた。
あたしは怖くてたまらなかった。
うっとおしがられること、拒絶されること、そのすべてを想像しては、
抱えきれなくなってそうるに少しだけ打ち明け、
そして告げた事実でそうるを縛っただろうことを思って、
また苦しくなって泣いたり吐いたりしてた。

あたしはおかしかった。
そうるを信じられなかった。
いつかそうるがあたしから離れていくような気がしてた。
失うのが怖くて。しがみつくように。
そうるのことを求めていた。


あたしたちのサークルはみんな飲むのが好きで。
試合の後とか、よく集まっては飲んでいる。
あたしはお酒が入るとちょっとタチが悪くなる。
そうるのことしか見えなくなる。
普段おおっぴらに甘えられない分、
酔いのせいにして散々そうるに甘えてる。
サークルのみんなはそういうあたしを知ってて、
「また始まった。しょーがないなぁ。」って感じで見てる。
でもあたしのそうるへの甘えは時にエスカレートして、
どうしても止められなくなって泣いてしまうこともある。

3月の終わりにあった飲み会で。
あたしは泣いてしまった。
飲み会の席で泣くなんて、場壊しもいいところ。
分かってる。泣いたあたしが悪い。
でも。あたしには耐えられなかった。
携帯を触られて。みんなに彼からのメールを読まれて。
ぎゃーぎゃー騒いでるそうるを見るのは。
少しは嫌がってるふうにも見て取れたけど。
明らかにそうるは幸せそうだったから。

あたしは半分泣いて。半分笑って。
「おもしろくないよー。」と喚いてた・・・らしい。
そんなあたしをみんなはおもしろがって笑ってたけど。
事情を知ってるそうるは。笑えなかったらしい。
そうるはあたしをなだめてトイレに連れていって。
しつこいくらいまとわりつくのに相手をしてくれた。

飲み屋を出てから駅までの道。
そうるはあたしの手を引いて黙って歩いた。
あたしはぼんやりした頭で、なんとなくそうるの怒りを感じてた。

その数日後。そうるからメールが来た。

 飲み会のこと、反省してるみたいやからもう何も言わん。
 でも、うちにしか扱えない状態というか、うちにも扱えん状態。
 めっちゃ残酷なこと言わせて頂くならば、 
 常にあんたのこと気にしとかないといけない気がして、
 他の人とかと話したりしにくいねん。
 しゃべったりしてるやんって思うかもしれんけど、
 うちなりに気を使ってるつもり。

あたしはそれを読んで。苦しくて。
やっぱり泣いたり吐いたりしてしまった。
そうるを独占したくてあたしがやったことは。
結局そうるを苦しめただけだった。
あたしだけを見ててほしいと思っていたけど。
気を使われていたんだって思ったら辛かった。

だから。あたしは決めた。
もう絶対そうるに迷惑かけないようにしようって。
せめて飲み会の席だけでも。
そうるを縛らないあたしでいようって。


そして4月の飲み会で。
あたしはまた酔ってふにゃふにゃになってた。
でもいつもみたいにあたしのとこに来たそうるを。
面倒を見てくれようとしたそうるを。あたしは初めて拒んだ。
引いてくれようとした手を強く振り払った。
今までも少しぐらいはあったけど。
「いいよー歩けるからー」って抵抗したことはあったけど。
あんなにも本気で振り払ったのは初めてだった。

他の人ともしゃべりたくて。
でもしょーがないからあたしの相手をする。
そんなのはもうイヤだった。
そんなふうに思われるくらいだったら、
そんなふうに思って一緒にいられるぐらいだったら、
あたしはフラフラでも一人で歩こうと思った。

でも最愛の人の手を振り払った事実は。
あたしには痛かった。痛すぎた。
だってそうしたかったわけじゃない。
ほんとは掴みたかったから。
大好きなその手を握りたかったから。

あたしに手を振り払われて。そうるはしばらく黙って。
「・・・じゃあひとりで歩きーや。」って言って。
あたしを残して先に歩いていった。
あたしはおぼつかない足取りで店を出た。
悲しくて仕方なくて。自分のしたことを少し後悔してた。

飲み屋を出たら雨が降っていた。
傘をさすほどではない、静かに降る雨だった。
飲み屋から少し離れたところで。
誰かとしゃべってるそうるを見つけた。

あたしは自分からそうるを拒絶したけど。
強がってひとりでがんばろうとしたけど。
やっぱり我慢できなくて。そうるが好きでたまらなくて。
その誰かがそうるのそばから離れたのを見て。
フラフラしながら駆け寄って。背中から抱き締めた。

そうるはあたしの方を見なかった。
でもそれがあたしだってちゃんと分かってた。
そして去っていったその誰かの方を見ながら言った。
「・・・メール読んだ?」って。少しくぐもった声で。
「・・・読んだよ。」あたしはそうるの背中を抱き締めたままで言った。

「またやばいことになってると思って怖かった。」
「ごめん。ほんま。言葉足りんくてごめん。」
そんなふうに想像もしなかった言葉をくれた。

あたしは。涙腺が壊れてしまった。

そうるは分かってたんだ。
あたしがそうるのメールを読んでいっぱい考えたこと。
あたしがどんな思いでそうるの手を振り払ったかってこと。
ちゃんと分かってたんだ。そう思った。

どうしてそうるが謝るんだろう。
困らせたのはあたし。わがままなのもあたし。
なのに。どうして謝らせてしまうんだろう。
そうるは悪くない。あたしが勝手なんだ。
欲張りで。満足できなくて。
あんたのことを求めすぎてしまうあたしがいけないのに。

謝らないで。そうるは悪くない。

泣き続けるあたしをいろんな人が見て通り過ぎる。
そんな人目からあたしをかばうように。
そうるはあたしの手を引いて路地に入った。
あたしはそうるにしがみついて泣いた。
そうるは困ったようにあたしを見てた。

それから2人並んで歩道に座って。少し話をした。
あたしは何を話したのかよく覚えてない。
ずっと抱えてた不安とか。自分でも理解できない気持ちとか。
吐き出すようにポツポツ話したんだと思う。
話の内容は覚えてないけど。あたしはちゃんと覚えてる。
あたしの手をそうるがずっと握っててくれたこと。
あたしの話にそうるが頷いてくれてたこと。
「うん。」「うん。」って言いながら聞いてくれる。
その事実だけであたしは泣けてきた。

ふと横を見ると。そうるの頬に涙の跡があった。
一瞬目を疑った。ありえないと思った。
めったに泣かないそうるが泣いているなんて。
雨かもしれない。大粒の雨が当たっただけかもしれない。
そう思って再びそうるを見た。

そこにあったのは。確かにそうるの目から零れた一筋の涙だった。
黙って。一点を見つめたままで。そうるは静かに泣いていた。

あぁ。なんてこと。泣かせてしまった。
そうるを。あたしが。あたしのせいで。
散々困らせて。苦しめて。
ついには泣かせてしまった。
ごめん。ごめん。そうるごめん。
泣かせたいわけじゃない。困らせたいわけじゃない。
どうしてこうなる?どうしてこうなった?

そうるの涙はあたしの涙に誘われた涙だったような気がする。
自分のせいであたしを苦しめてるって。そう思ったんだろう。
そしてあたしも。そうるの涙を見て。
あたしのせいでそうるを苦しめてるって思った。

静かに降る雨の中で。あたしはずっと泣いていた。
悲しくて。苦しくて。でもそれ以上にそうるの痛みを思って。
あたしは涙が止まらなかった。

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ねぇそうる。あたしたちって。
どうしてあんなふうに苦しめあってしまうんやろう。
今でも。時々そうなるけど。そのたびにあたしは思う。
お互いを大事に思ってるのに。大好きなのに。
どうして傷つけあってしまうんやろうね。

相手を大切に思う気持ちはときに凶暴で。
どうしても苦しめたり傷つけたりしてしまうもんなんやろうか。
そして相手を苦しめたり傷つけたりした事実で。
自分自身も苦しんだり傷ついたりしてしまうんやろうか。

ねぇそうる。これってどうしようもないことなんかな。
あたしはあんたにそんな思いをさせたいわけじゃない。
あんただってきっとそうやんね?
お互いがそう思ってるのに。どうして。
どうして相手を悩ませてしまうんやろうね。


今日みたいな静かな雨の降る日に。
あたしは思い出さないことはない。
あの日。見てしまった最愛の人の涙を。
あの日。最愛の人を泣かせてしまった痛みを。





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いろいろ思い出してたら恐ろしいほど長い日記になってしまいました・・・。
最後まで読んでくれてほんとにありがとう。
あたしの日記は基本的にまとまりなくて長いんですが(苦笑)、
読んでくれるみなさんにはほんとに感謝の気持ちでいっぱいです☆





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written by さあや

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