あたしはめちゃめちゃ涙もろい。 自他ともに認める感動しやすい性格のせいで、 涙腺はゆるゆるで簡単に涙が出る。
そうるはあたしとは対称的でめったに泣かない。 どちらかと言えば冷めた性格のそうるは、 人前で泣くことはまずない。
あたしは今までそうるの前で何度も泣いた。 友達のこと。将来のこと。サークルのこと。 あたしはそうるを頼っていろんな話をして、 そのたびに気持ちが高ぶって泣いていた。
そうるはあたしの話を黙って聞いてくれる。 いつだってあたしの気が済むまで聞いてくれる。 そしてそのうち泣き出したあたしを見て、 困ったように少し笑う。 そして黙ってあたしを抱き締めてくれる。 子どもをあやすように背中を叩く。 一定のリズムでポンポンって。 そうるの作り出すリズムが、 あたしの不安をゆっくり溶かしていく。 そしてあたしはまた笑えるようになる。 あたしはそうやってこれまで、 何度も何度もそうるに救われてきた。
あたしがそうるの涙を見たのはこれまでに3回だけ。 1回はあたしとそうるの関係がこじれた時。 1回はそうるがキャプテンを引き継いだ時。
そして1回はそうるがサークル内で孤立した時。
キャプテンってのは仕切っていく立場である以上、 どうしても敵をいっぱい作ってしまう。 そうるはそんな自分のしんどさを内に溜めて、 最悪な形で爆発させてしまったことがあって。 そして結果的に孤立してしまった。 あたしはそんなそうるがほっておけずに、 そうるを呼び出してなかば強引に話を聞いた。 そうでもしないとそうるはまた、 自分の中に溜め込むことが分かっていたから。
そうるは思ってることをポツポツ話してくれた。 あたしは少しずつ意見を挟みながら話を聞いて、 確か最後にこう言ったんだと思う。 「あたしは絶対にあんたの味方やから。」
・・・瞬間的にそうるの顔が歪んだ。 そしてあっと言う間にくしゃくしゃになった。 そうるはあたしにしがみついて泣いた。 何かを吐き出すように泣き続けていた。 あたしはそうるにいつもそうしてもらうように、 しっかりとそうるを抱き締めてあげた。 そしていつの間にかあたしも泣いていた。
ねぇそうる。あたしはこの時思ったんよ。 愛しい人を救うことは、 愛しい人に救われることと同じくらい、 時にはそれ以上に幸せなことやって。 あたしは何があってもあんたのことを守る。 無防備に泣くあんたを抱き締めながら、 あたしはいつだって守られてばっかりいるのに、 なんかおかしいけれどそう思ってん。
あんたは後から照れたように言ってくれたやん。 めったに泣かへん自分があの時泣いてもたのは、 孤立して辛かったからというよりも、 あたしの存在に救われたからやって。 だからあたしも言ったやん。 あたしはあんたを救えているってことに、 嬉しくて泣いてしまったんやって。
救われることも救えることも幸せ。 そしてあたしもあんたも幸せで泣いた。 そんなあたしたちのことを思って、 あたしはまた泣きたくなる。
涙っていっぱいワケを持ってるんやね。 |