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■ さらば、ピーター・ハント!
・・・と、いってもご存知ない方のために。 英ロンドン出身の映画監督です。 映画「007」シリーズのうち第1作の「ドクター・ノオ」(1962年)から第5作の「007は二度死ぬ」(67年)までの編集を担当。アクションを強調した編集技術が注目され、第6作の「女王陛下の007」(69年)で監督デビューしました。 いわば、テレンス・ヤングがボンド映画の様式美をつくたのなら、 ピーター・ハントはアクション映画としての地位をボンド映画で確立した御仁。
でも、作品には恵まれなかったですね。 「女王陛下の007」はコネリー・ブーム後の不遇な条件のもとで、結末の悲劇もあいまって、当時はただ「それだけの理由」でワーストと決め付けられてしまっていたのですよ。あと、彼の作品というと、ロジャー・ムーア主演の「ゴールド」(74年)やチャールズ・ブロンソン主演の「デス・ハント」(81年)「トップレディを殺せ」(86年)くらいで、ほんと恵まれてないですね。
ハント監督のアクションシーンの切れのよさは、今の映画みたいに、戦ってる様子をただフィルムに取ってるだけという物に対し、アクションでも無駄なムーブの部分はどんどんカッティングして、つなげていくような、スピーディな始点の切り替え、戦っている者の顔のアップとか畳み込むように濃縮されたものが押し寄せていく感じがするんですよね。とにかく殺陣の展開がいい。洒落も効いてるし。 それがアクセントとなって、緩急の絶妙なタイミングになっている。
だらだらだらだら、どつきあいのフィルムを垂れ流したり、スタントマンのアクロバット・ショーがアクション映画じゃないだよと、ね。 常人離れした危険なことをすることがアクションなんかじゃないんだよと。どうハラハラするように編集するのかだと。その点、ハリウッドのほうがそれをよく理解しているよーな。「レイダース」で編集の業で「駅馬車」の八双跳びを再現して以来。
スピーディなシーンなのに編集がずさんで間延びしている。最近のボンド映画の弱点なんだよなあ・・・と。
ただワタシはねぇ、編集で格闘シーンを作るってのは、アクションができない俳優に対する苦肉の策だと、昔は思ってたのね。でもどうしてどうして、コネリーなんかは軍隊行ってた杵柄か柔道ベースにした殺陣がうまいうまい。技、豊富。 スタント・シーン以外は、どつくどつくどつかれる、どつくどつく壁に押し付けられる・・・の繰り返ししかない、今のボンド映画は・・・ツラいなあ。
そんなわけです。 ピーター・ハント氏は14日、心不全のためロサンゼルス近郊の自宅でお亡くなりになりました。77歳。ご存命のうちに「女王陛下のOO7」が再評価されて、しかも現在は一、二位を争う傑作とまでいわれている。それがほんと、よかったな、とね。
2002年08月29日(木)
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