戯言。
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2005年01月16日(日) 救い様の無い展開になってしまった。
前回の前フリのその後を考えてみたんだが、どーしてもくっつかねー。
なんでこんなにヘタレなんだよククール!!!!!
しかもなんだ、ゼ×クかよおい....みたいな??
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「行っちゃったわね」
遠ざかる馬車を眺めながら、ゼシカが呟いた。
「そうだな」
同じところを見つめ、答える。
「ほんとに、良かったの?」
「何が」
「言わなくても分かってるでしょ?」
「....いいんだよ。昨夜も言ったろ?」
そう、これでいい。
「それなら、その涙は何なのかしら」
「何のことだ?」
「....ほら」
スッと頬を撫でたゼシカの指先は、濡れていて。
慌てて手袋を外して目元に手をやり、オレは自分が涙を流していることに気が付いた。
「これは、嬉し涙....ヤンガスにつられただけだ。見ろよ、豪快に男泣きしてるぜ?」
「そうね」
「オレもそーなの。ゼシカだってさっき涙ぐんでた癖に」
「私はいいの、ほんとに感動したんだから」
「オレだって」
本当に嬉しいと思ってる、そう続ける前に遮られた。
「ククールの目は空、なんだって」
「....はい?」
「エイトがね、言ってたの。心が弾んでる時は快晴で、沈んでる時は曇り空」
「........」
「さっきまでのアナタの目は確かに快晴、綺麗な青だった。でも今は」
「そんなの光の当たり方でどうとでも見えることだろ」
「....ほんとに意地っ張りなんだから」
「そんなんじゃねーよ、オレはいつでも素直だ」
そう言って上から見下ろしてみたが、全く効果はなかったらしい。
....ま、そうだろうな、涙流しながら啖呵きっても迫力無ぇし。
案の定、仕方無いなぁって顔つきのゼシカが呆れたように見上げている。
「....目は口ほどにものを言う、って言うものね」
「だから、違うって」
「はいはい。今だけゼシカさんが胸貸してあげるから、思う存分嬉し泣きしちゃいなさい」
そのままぐいっと引き寄せられて(こう見えて意外と力あるんだよなこいつ)、気付けば抱きしめられていた。
昔のオレや普通の男ならそりゃもう天国だろうが、今のオレにとっちゃぶっちゃけどーでもいい。
「....息苦しい。胸デカすぎ」
「何よ、私のナイスバディに文句ある訳?普通ならお金取るところよ?」
「............持ってけドロボー」
抱き寄せられた頭をポンポンと宥めるように叩かれ、これじゃどっちが年上か分からない。
でも、不思議と嫌ではないのだ。
ずっと昔に失った温もりを少しだけ思い出しながら、されるがままに任せた。
「ほんとはね、結構悩んでたの」
ぽつりと、ゼシカが話し出した。
「エイトはトロデーンが大好きで、姫や王様を家族以上に大切にしてる。彼らが呪いをかけられたことにどれだけ心痛めていたかも知ってる」
「ああ」
「姫のエイトへの想いも分かってて、それでどうしても彼らを元に戻してあげたくて」
「それはオレだって同じさ。美人のお願いは叶えてあげなくちゃな」
「でも、私はあなたの想いも知っている」
「....」
「あなたがその想いを認めるまで、認めてからもどれだけ悩んでいたか知ってるから....」
「いいんだよ。オレはさ、まだ救われてんだ」
「でも」
まだ言い募るゼシカを制し、彼女の横に座りなおした。
「オレはさ、知ってるから。もうとうの昔に無くしちまったけど、でも憶えてるんだ、家族の温もりとか、愛しいと思う気持ちとか。それがどれだけ大切なものかも知ってるつもり。一応兄貴もどっかで生きてることだしさ。でもアイツは知らないんだよ、そういうこと何にも」
そう、アイツは悲しいくらいに何も知らなかった。
人の心の機微を感じることは出来ても、本来与えられるべき幸せっつーもんを知らなかった。
「でさ、考えたんだ。アイツのことを本当に考えるなら、オレの居場所はアイツの隣じゃない。アイツの後ろで、幸せを知ってくアイツを見守るんだって。そしたらなんかスッキリした。ホントんとこ、まだ結構....かなりツラいんだけど、それでも決めたんだ」
「そっか」
「そーなの。でも、二人が並んでんの笑顔で見守れるほどの余裕はまだ無ぇから、少しアタマ冷やして来ようかなーとは思ってるんだけど」
そう言ってにっこりと微笑んだつもりだったが、「今更カッコつけても無駄」と一刀両断された。
「でもククール、あなたいい男になったわよ?」
「何言ってんだ、オレはもともとイイ男だって」
「あーはいはい」
「....」
少ししてから戻って来たヤンガスと合流し、今日の成果を称え合った。
案の定酔いつぶれたヤンガスを部屋に放り込み、自分も床についた。
翌朝。
朝食の席で、ゼシカと鉢合わせた。
いつも通りに軽口を叩いて、笑い合って。
そして、自然と今後のことに話が移った。
「これから、どうするの?」
「さてね....ま、幸いオレは身軽だから、のんびり一人旅でも満喫すっかな。ゼシカはリーザスに帰るんだろ?」
「ええ、そのつもり」
「じゃあ旅立ちついでに送ってってやるよ。いくらゼシカでも、やっぱ若い女の子に一人旅はさせられねぇからな」
「何よその言い方....スタイル抜群の美女と二人旅だなんて、光栄だと思いなさいよね!」
「あーはいはい、実に光栄ですからその火の玉投げないでクダサイ」
少し遅れてやってきたヤンガスにも同じ話をし、途中まで3人で、パルミドでヤンガスと別れた後はそのままゼシカをリーザス村まで送り届け、気の向くままに旅をした。
あの旅で随分と鍛えられたから、大抵どこに行ってもモンスターは敵じゃない。
たまにリーザス村に立ち寄ってゼシカに近況報告をしつつ(つーかしなかったら燃やされるので仕方なく、だが)、時間を気にすることなく広い世界を見て回った。
そしてオレは今、願いの丘にいる。
月影の窓を2度も開いちまったオレの前にあの不思議なハープ使いはもう現れないだろう。
だが、それでも祈りたかった。
アイツにはアイツのことを大事に思ってくれてる奴らのところで幸せになって欲しい。
本来与えられるはずだった家族からの愛情を、そして愛する人からの愛情を。
何よりもただ、彼の....エイトの幸せを。
青く輝く月を見上げ、静かに祈りを捧げた。
もう、大丈夫。
朝になったらここを降りて、リーザスでゼシカを、かなり行きたくねーけどパルミドでヤンガスを拾ってトロデーンにでも行ってみようと思う。
でもってオレも美人で優しい嫁さんもらって....そりゃ無理か、相手に失礼だ。
こうなると意外と聖職者なんて向いてるんじゃないかと思うから、どっかの教会で神父でもやるかな。
ま、それはその時考えよう。
目下問題は、いかにしてゼシカの怒りを遠ざけるか、だ。
ここんとこ音沙汰なしだったから、絶対怒ってるよな....
やっぱマホカンタ必須、かな?
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結局ヘタレはヘタレのままだった、と。
だがしかーし、誰がなんと言おうとクク主なわけであり、最大限の譲歩してもクク→主なのだ。
決してゼシカたんとククールが出来上がってるわけではない。
例えそうとしか見えなくても違うのだ!!!!!
つーか目の色とか泣かせるのとか好きだなぁワタシ。
ほんとは泣かせるつもりなかったんだけど、ゼシカたんの[胸貸してあげる]発言が書きたかったのでとりあえず泣いてみてもらったらああなった。
それにしてもほんっと言い回しに困らないキャラだなぁクルクルくん。
寧ろ跡べーの方が難しいくらいだ。
ってかいつの日かシアワセ〜なクク主書いてやる!!!
寧ろオーリ誕思いっきりスルーしたこと反省しやがれ。