ミドルエイジのビジネスマン
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| 2005年03月20日(日) |
六本木ヒルズに行くT君へ |
自分のことは「大部長」の日記に書いてくれないのかと言いながら、六本木ヒルズの会社に転職していった若いT君、何といっても、ヘッドハンティングのことを書くのは3度目だからなあ。これじゃあ、まるで大部長に全然魅力がなくて、同僚はみんな去っていくみたいで書きにくいよ。
今から4年近く前、若くて優秀な人材が転職して来てくれることになったとき、大部長は本当に嬉しかった。これで、あと5年は何の手を打たなくても左団扇だと思ったからだ。それまでは、全員優秀だが人数が足りなくて、大部長も自分で担当案件を持つべきだろうかと考えていたくらいだったからだ。嬉しさのあまり、「安い買い物だった、安い買い物だった」と言って、「僕は安く買われてしまったんだろうか」と、当の本人を困惑させていたんだったね。
若いといっても、三十代の半ばにさしかかっているちょうど今、職場を取り巻く環境が大きく変わろうとしはじめた。個人的にも、どうもな、と思っている、まさにその時タイミング良く(大部長には運悪く)、若い会社の話が入ってきたという。待遇の上でも文句なく、任せられる権限も今より大きくなるというのでは、こっちの方が大きくて安定しているよといっても耳を貸してもらえないよね。そもそも、退職の意向を聞いた人事部も説得の術(すべ)がなかったというのだから。
フットワークのいいT君とは大阪や九州のプロジェクトを戸惑いながらやったものだ。東京や埼玉の仕事もしたけど、どれもこれも特徴のある案件ばかりで面白かったね。最後には2月6日の日記に書いた出張もあったね。若いながら実績もあり、自分の意見を率直に言ってくれるので、プロジェクトがへんてこりんな展開になれば何やら言って来るだろうと、任せておいても安心だった。
君から借りている高橋克彦の小説「火怨」(かえん)はやっと上巻を読み終えたところだ。蝦夷(えみし)の勇者「アテルイ」は騎馬軍団を率いて古代の戦場を縦横無尽に疾駆している。もしかしたら、君もこのアテルイに日本経済の中を疾駆する自分の姿を見ているのかもしれない。それもいいだろう。平成のアテルイにはその生き方もあると思う。まだまだ、無限の可能性を秘めている業界だ。日本経済のダイナミズムも今動き出したばかりだ。力の限り、その能力を発揮してもらいたい。
こちらの会社はまだまだ力不足だが、朝廷軍のように大規模で組織だった戦闘力を目指そうとしている。もし、自分たちだけの力でもっとメジャーなステイタスを求めて戦うのであれば、決して去ったりしなかったのにという君の言葉には、わずか数年前に人生をかけて私たちの会社に来てもらった者として返す言葉もない。本当に、ずっと一緒に働いていきたかったと思う。そして、もう一度一緒に出張して5百円の機内ビールを買ってあげたかったと思う。
T君、いつか草原の戦場で相まみえよう。そのときは古代の勇者「アテルイ」のように雄々しく戦う騎馬武者の姿を見せてくれ。
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