たそがれまで
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2004年03月06日(土) 15の春 姪へ





いよいよ春が近づいてきて、
花の便りがあちこちから聞かれるようになった。
と同時に、よく花に例えられる学生達の合否判定の結果も
耳にする季節になった。


今年は姪が高校受験だった。二姉のとこの次女。
長女の受験の時には太宰府まで願をかけを行き、
お守りを買ってきて渡したのだけれど、今年は距離的に無理だったため
お菓子の『キットカット』と『カール』の詰め合わせを送っておいた。

余談だが、『きっと勝つ』と『うか〜る』のゴロ合わせなのだが
なかなかの商売上手である。最初は口コミで広がったらしいが
今年は鉛筆が同封された合格セットなるものまで販売されていた。


で、お菓子の詰め合わせを送ったらメールで
お礼が返ってきた。

学校推薦が貰えたから、学科試験はパスなの。
あとは面接と作文だけ。こんな時期に何もすることがないんだよ(笑)

聞けば、私達の時代と違って学校推薦制度なんてものがあり
私立だけでなく、公立の学校でも学科試験が免除されるとのこと。
学年でも5名だけらしいので、驚いた。
で、嬉しかった。
本当に嬉しかった。




姪は3人姉弟の2番目で、上に社交的でお調子者の姉と
やんちゃでガキ大将的な弟を持つ。
一番上の子が私達姉妹にとって初めての姪だったこともあり
随分あちこちに連れて行ったり、いろいろな物を買い与えたりと可愛がってきた。

二番目の姪が生まれたら生まれたで、
赤ん坊の世話に忙しい二姉を助けると云う名目で、長女の姪を連れ回した。
当然父親である義兄もそうだった。

そのうち長男である甥が生まれ、二姉は長男の世話で忙しくなる。
長女は父親が面倒をみてきたからそのままの状態で・・・
2番目の子供の性として、彼女は親の手をかけられずに大きくなった。

父親は少し迫力のある人だから、父親の前で萎縮した。
見ていて可哀想になるくらい父親の前で緊張していた。
家族で買い物に出かけると言っても、一人家で留守番をしていた。
小学校の低学年の頃の話しだ。

少しおどおどしている。
そんな印象の彼女だけど、中学に入って部活を始めて変わった。
私は忙しくてなかなか逢えなかった時期なのだけれど
姉から話しは聞いていた。

部活は放送部を選んだようで、アナウンサーのように表に出る仕事ではなく
裏方のミキサーなどを好んでやっていたらしい。
先輩が引退した後は部長として頑張った。
ラジオドラマやテレビドラマなんかも作ってコンクールに出場し
全国大会にまで行った。
卒業間近の現在でさえ、授業中に先生にかり出されることがあるという。
配線がわからない先生を後目に、ちゃちゃっと繋いであげるんだという。
そんな話しをしてくれる姪の目はキラキラ輝いていた。

あの姪が・・・
父親の前で萎縮して、何も話せなくなってしまっていたあの姪が・・

それだけでも嬉しかった。
そしてその部活での働きが認められて、志望校の推薦をすんなり貰えたらしい。
もちろんそれだけの学力も必要だから、勉強も頑張っていた筈である。

それに、とても家の手伝いをよくしている。
というよりも、ほぼ姉の代わりをしている。
家業のほかに仕事にも出ている姉の代わりに、
食事の支度や買い物、洗濯物を干したり畳んだり。
本当に中学生だろうかと云うくらい、よく手伝っている。
家族からはリトル母さんと呼ばれ、頼りにされている。


先日、法事のために里帰りした時に姉と義兄と夜更けまで話した。
もちろん姪の話にもなった。
部活であれだけ頑張れたのは、自分の居場所を確保できたからだろうねと。
自分が認められたことが嬉しくて、どんどん力を発揮できたのだろうねと。

私も口を挟んだ。
あれだけ家の手伝いをしているのは、そこに自分の居場所を見つけたからだと。
家庭内で自分の存在感を発揮するにはそこしかなかったんだろうと。

一瞬だけど姉も義兄も変な顔をした。
気がついているのかいないのか解らないけれど、
私が姉家族のどこまでを知っているのか解らないけれど、
これだけは確かだ。

子供の頃の姪は本当に親の前でおどおどしていたんだ。
その姪は家の中で自分の居場所を探していたんだ。
存在していても許される場所。
それが母親の手伝い。




姉の家のPCから自分のHPをいじってきたから、私のHPの履歴が残っている。
「今度探して見よ〜う」と言っていた姪が見ていることを前提に書く。
(履歴をたどることができるのは姪しかいないから、気が向いたら
 見てくれると思うんだけど、もう1週間が経ったけど見ている形跡は無いなぁ)



高校合格おめでとう。
それから毎日のお手伝いご苦労様。
どれだけ家族が助かっているか、喜んでいるか解ってるかな?


でもね、手伝いをしてくれるからあなたを好きでいるわけじゃないんだよ。
もしも何も手伝いなんかしなくったって、皆あなたのことが好きなんだよ。

親はね、近すぎてなかなか言えないことがある。
子供が大きくなればなるほど言いいづらくなってくる。

私も、娘によく「お手伝いしてくれて嬉し〜い。大好きよ〜」なんて言ってしまうけど
本当は違う。
そこに居てくれるだけでいいんだよ。
そこに存在してくれているだけで嬉しいんだよ。

自分がやってきたことを自信を持って、
これからは楽しい高校生活を送ってほしい。
楽しむんだよ、たくさん。
頑張ることも必要だけど、たくさんたくさん楽しむんだよ。


本当に本当に合格おめでとう。







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