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■ こんな事を言われたのは初めてです
久しぶりに
彼と夕食を共にしました。
新宿の夜です。
「蕎麦がたべたいなぁ。」
彼とお蕎麦を食べたのは
夏の京都が最後です。
彼の腕に
私の腕を絡ませて
美味しいお蕎麦屋さんを求めて、夜の新宿を歩きました。
「うーん、こうやって改めて探すと蕎麦食べる所って、ないもんだなぁ。
お前と一緒じゃ、駅の立ち蕎麦って訳にいかないからなぁ。(笑)」
週末を
それぞれに楽しむ人々で
なにげに楽しい新宿の夜です。
「この間のエッチ、くっついている時間がいつもより短かったよー。」
「そんなことないだろう。」
「あるー。だって横からしなかったでしょ。いつもなら必ずするでしょ。」
二人きりなら
何をしたって恥かしくないんだ
と、彼はいつも言うのですが
お蕎麦屋さんを探す道すがらの会話で
こういう類のことをしゃべると
恥かしそうに彼は笑います。
公私のメリハリがきっちりついている人だなと、
ちいさな会話の端々から
今日も私は
彼の心の根幹のようなものを
私の記憶にプールします。
誤解をしないように
ただしく彼を理解できるように
何より
男と
女の
こころのからくりを理解するために
丹念に
丹念に
彼の言葉を拾います。
見つけたホテル内の日本料理店で、念願のお蕎麦をオーダーしました。
彼はニシン蕎麦を
私は海老天蕎麦をオーダーしました。
「ニシンひと口、私にちょうだい。」
と言ったら、半分私の器に入れてくれました。
「なら、私のエビも一匹トレードね。(笑)」
私の海老天蕎麦と彼のニシン蕎麦は、
全く一緒のお蕎麦になりました。
「るり子、食後の果物もオーダーしな。」
だれにも優しい訳じゃない
彼の口から出る
こういう気遣いは
私だけの特権です。
帰りにちょっとびっくりする言葉を
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