台所のすみっちょ...風子

 

 

秋便り。 - 2005年10月12日(水)

東京に戻って、一ヶ月が経った。

先週、実家の母から荷物が届いた。

段ボールを開けてみると、中には新潟産の大ぶりな梨やメロン。

故郷からの秋便りだ。


荷物の中には、詩のコピーが入っていた。

詩の好きな、元司書らしい母の計らいである。

それは、高田敏子という詩人のもの。

一部載せてみる。


「 忘れもの 」

       高田敏子

入道雲にのって

夏休みは行ってしまった

「サヨナラ」のかわりに

すばらしい夕立をふりまいて


(中略)


もう一度もどってこないかな

忘れ物をとりに


迷い子のセミ

さびしそうな麦わら帽子

それから ぼくの耳に

くっついて離れない波の音

              


なんだかジーンときた。

夏休みが終わり、娘達が帰ってしまった後の

母の気持のような気がした。


詩の他には手紙もあった。いつものような走り書きの母の手紙。

「あなたの好きな萩の花が満開を終え」

手紙はそんな書き出しで始まっていた。

私は涙が出そうだった。

だって、その後の言葉は

「(満開を終え)あなたもいなくなってしまって寂しいです」

または

「(満開を終え)あなたもいなくなり、家の中がひっそりとしています」

と続くに違いないのだから。

だが、次の瞬間、目に飛び込んできたのは、

「(満開を終え)すっかり枝を撤去してしまいまいました」



切っちゃったのかよ。


おしまい。


...




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