アイディアマン - 2004年01月09日(金) 夜、11時。 私は玄関の扉を開けた。 不揃いに脱ぎ置かれた夫の靴が見える。 「今日は新年会で遅くなる」と言っていた彼が先に帰っていたのだ。 靴を脱ぎ、スリッパに履き替え、音を立てぬよう静かに リビングに入る。 思った通り、彼は酔いつぶれ寝ていた。ホットカーペットの上で。 その姿は、まるで浜に打ち上げられた鯨、またはトドのよう。 「波の音さえ聞こえてきそうだ・・」 そう思いながら、寝ている彼を起こさぬよう、私は鞄をそっと白い革張りの ソファーに置き、ふと、そう何の気なしに飾り棚に視線を移した。 すると・・・ そこには・・・ 猿の・・置物・・?・・かよ! なんと、棚の一番上の段にオレンジ茶の猿の置物があるではないか。 それは、横向きに座った猿が片手を壺にかけ、笑みを浮べながら、 顔だけを正面に向けている、、というもの。 しかも、その色といい、ニホンザル的な体の作りといい、 明らかに和調であるにも関わらず、 近くまで行って確認したその顔つきは、メガネ猿そっくり。 いったい何国の猿なのだ? そして何故、私のお気に入りのペンが壺に挿してあるのだ? 慌てて夫を起こし聞いてみた。 「ねえ、ねえ、、あの猿どうしたの?」 「う〜ん、あれぇ〜?あれはねぇ〜今日行ったちゃんこ屋さんでもらってきたの」 「どうして、もらってくんだよ!」 「明けましておめでとうございますってくれたからぁ〜。いいでしょ〜」 「良くね〜よ!」 「これだけは置かせてくれいよぉ〜!ほらほらぁ〜見て〜、本当は爪楊枝立て なんだけど、俺はねぇ〜、ペン挿してみたんだぁ。ペン立てに使おうと思って。 ど〜お?」 「・・・・・・・」 あれから2時間、彼は今、すっかり夢の中。 ひっそりとした部屋の中、私は棚の上の猿をもう一度手に取り、 そして呟かずにはいられない。 ペン立てって・・言われても・・・。 どお?って言われても・・・。 壺の穴が狭すぎて、、、、ペンが一本しか入んねぇ―じゃん、、と。 おしまい。 ...
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