あまおと、あまあし
あまおと、あまあし
水玉記念日(春の獣) 2005年03月20日(日)

許しているような顔をしながら
水を集めているあなた
春は冷たいものだ
空は、ましてや

草いきれのことや
木陰のことや
量りにかけなければならないたくさんの
事があったはずなのだけれど
いっときだけ陽がさす、その景色を
どうしても分かちあいたかった
灰色ばかりではない、と
雨のしずくであっても

ふりかえり、あなたは落として
向こう側の人になる
泉は溢れなかった
私のひづめには苔が生えた
ただ、それだけの事だった

さしのべて、再び水を集めるあなたの
許している顔を雨は撃ち抜いている
私はうなだれ
水の色など考えながら草を食んでいる
名づけることは、ないだろう



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 著者 : 和禾  Home : 雨渡宮  図案 : maybe