告白は喉の奥
L.ニトロ



困った。


これは、なに?

確かなのは嫉妬。
初めて聞いた、そんな声。
そう。恋人のいる前では、そんな声で喋るの。

自分を醜いと思うよりまず、熱い。
胸の奥が、灼ける。

媚びられたいという欲望。
誰よりも、誰よりも。
顎を掴んで此方を向かせ、その柔い肌に、
首に腕に胸に腰に脚に、きつく指の食い込むほどに掴みたくなる。

「痛い」と言わせ、引き裂いて。


だけどそんな、虚しい。

官能小説やアダルトビデオならそこで終わり。
続く現実に続かない物語なんか、しんどいよ。

穏やかにならない胸中、穿つ針のよに。思う。ぽつりと。


少しでも長くそのままで、幸せでいてください。

P.S.
ああ、いや、ごめん。ちょっと意地悪言ったかもしれない。ごめんね。






ああ、しまった…
遂に気付いてしまったなあ…

私、君が好きらしい。
本当に残念。
「好きかもしれない」って、危ない橋はもう、渡れない。
嫉妬が崩してしまった後に、新しく架けられた橋は、一方通行で。
…困ったなあ。
結論は、変わらないのに。

多分、この先。
あなたは甘い声を聞くことになる。
苦い顔を見ることになるかもしれない。
そしてそこから進まない。

隔たりだった曇りガラスがクリアになって。
こちら側が見えれば、あなたは気付くかもしれないね。
そこに厳然と、隔たりが築かれていることに。

2004年05月11日(火)
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