今日もガサゴソ
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小学二年のときの冬、 伯母がお小遣いをくれて、手持ちのお金と合わせると 憧れの24色の色鉛筆を買うことができました。
雪の日だったけれど、うれしくて いつもの雑貨屋に出かけていきました。 それはディズニーの白雪姫の絵がついた缶に入っていて 缶も美しくて嬉しくて 走って帰りました。
いつも一緒にお絵かきをしていた友達がいう 金や銀やエンジ色が入っているんだって思うと ワクワクしてたまりませんでした。
家に帰って蓋を開けて 嫌な感じに襲われました。
色が変なのです。 よく見ると同じ色が何本か入っているのです。 オレンジが二本、銀色が二本、肌色が二本、紫が二本。 肝心の金とエンジは入っていませんでした。
困って母に訴えると 仕方がないじゃないか、よく見ないで買ったのが悪いと 取り合ってくれません。 取り替えて貰おうともう一度出かけようとすると 吹雪の中を行くつもりかと叱られてしまいました。
結局、そのままそれは私のものになりました。 芯はポキポキに折れていて エンピツ削りに入れるとあっという間に チビてしまうのでした。
多分、お店にはもう一組、変な色の組み合わせの 色鉛筆があったのだろうと思います。 誰かが落としてしまって、乱暴に詰め込んだのでしょう。
以来、色の数が多い色鉛筆を見つけると 無性に欲しくなって、何度も点検した挙句に 買いこんでは眺め続けるという 習慣ができてしまいました。
絵を描くときに 多少は使いますが どちらかというと眺めるために持っています。
500色の色鉛筆も 持っていますが あの時の欠落感は埋められません。
時々、 あの時何の問題もない24色の色鉛筆を手にしていたら 少し違った色合いの人生を歩んだかもしれないと 大げさなことを考えてしまいます。
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