全てフィクションです 【DRESS】 - 2003年12月17日(水)どうしてコイツは僕の名前を知っているんだろう。 僕は知らない、こんな奴。 いや、多分知らないと思う・・・ でも、どこかで会ったような気はする。 思い出せない。 脳みそをフル回転させて記憶をたどったが、 こんな顔の男は知り合いには居ない・・・と思う。 段々自分の記憶に自信が持てなくなってきた。 混乱する僕に、彼は動揺しながらも口を開いた。 「藤沢、俺。俺だよ。木戸だ」 「木戸!?」 あまりに驚いて、僕は唾を飛ばして叫んでしまった。 周りの通行人が変な目で僕たちを見る。 「ずっと藤沢に会いたかった。 俺、謝りたかった。酷いことした。ずっとずっとお前に会いたかったよ」 木戸は突っ立ったまま、周りの視線も気にせずに涙を流した。 予想外の出来事に僕はただ面食らってしまった。 女装の男を泣かせている僕に人々の目が集中する。 しかし、木戸と名乗るその男の顔に見覚えは無かった。 いや確かにそう言われれば似てる。 だけどあいつの顔はもっと・・・こう・・・ 大体僕の女装姿を見つけてあれほど馬鹿にした男だ。 なぜ彼はこんな格好で街をうろついている? そして今更謝りたかったとは一体・・・ 「とりあえず、座って話さないか」 そう言われて、僕は木戸に腕を引っ張られながら付いて行った。 あまりに変わってしまった木戸の後姿を まぬけ面で見つめながら。 -
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