...ねね

 

 全てフィクションです

【DRESS】 - 2003年12月15日(月)

女装の男を眺めているうちに
どこかで見た顔だ、と感じた。
誰だったか知りたいような思い出したくないような
変な感じに囚われて、その男から視線を逸らした。
丁度その時同僚たちがテーブルで会計を始めたので
僕はそのまま仲間のほうへ向き直り
財布を出して自分の割り勘分を支払った。
財布を仕舞いながらも、視線の端であの男を気にしながら。


その後数日、僕は悶々としていた。
男ながらに煌びやかにドレスを纏った彼女達の事が
頭の中を埋め尽くしている。
ドレスへの激しい思いが頭の中を揺さぶっている。
我慢の限界がもうすぐそこだと思った。
綺麗な服を着て普通の顔ですまして座っていた
あの女装の男の存在が、大きく圧し掛かってくるようだ。


自分の欲望に押しつぶされそうになりながら
僕は週末のススキノに繰り出した。
すぐにあのオカマバーに入ろうとしたわけではない。
だけど地下鉄の駅から中島公園に抜ける道を歩いていると
どんな運命の悪戯か、あの女装の男に会ってしまったのだ。



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