全てフィクションです 【父との秘密】 - 2002年06月25日(火)チクショウ!こんな鍵なんかつけやがって! そんな事を叫びながら、布団に隠れるあたしに覆いかぶさり 無理やり布団を引っ張り上げてあたしを掴んだ。 服の背中を掴まれて起こされ、顔を叩かれた。 何発も叩かれて顔がしびれて、逃げる力が失せていった。 それでもあたしは言い返そうと口を開きかけたが 父の物凄い形相に何も言う事は出来なかった。 「分かったか!生意気言いやがって」 気が済んだらしい父はそういい残して出て行った。 あたしを見て母は「どうして口答えするの」と言いながらあたしを撫でたが その手も不快な気がして払いのけた。 それからしばらく、あたしは嗚咽が止まらなくて布団に伏していたが ドアのことが気になって起き上がった。 ドアノブが取れて、穴が開いている。 内側に付いていた鍵のあった場所は、木が剥がれてささくれ立っていた。 ドアの外側を見てみると、所々に蹴ったような穴があり ドアノブのあった場所は何度も金槌で叩かれ ベニヤが粉々になっていた。 ドア全体に、激しく叩きつけた穴が残っていた。 何度もドアを開けたり閉めたりしてみる。 それはただキィキィ音がするだけで、カチリと閉まることは無かった。 何度閉めてみても、完全には閉まらずに薄く隙間をあける。 あたしはなんだかそのドアに自分の無力さを投影して悲しくなった。 顔の痺れが取れてくるにつれて痛みが増し 体の痛みと心の痛みで、また涙が出てきた。 -
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