病院に行くために家を出た。
シンプルな自転車が2台あった。 荷台に白いツールボックスのようなものがついている。
その向こう側に、自転車の持ち主と思しき男性が2人、 スーツ姿で立ってこっちを見ていた。
不審に思って足早に通りすぎようとした私に、 彼らは声をかけてきた。
警察なんですけど
私は足を止め、MP3プレーヤのイヤホンをはずした。 私に話しかけてきた方が多分格上なのだろう。 背が低く、少々太めで、ハゲている。 もう1人は若く、背も高く、顔も悪くない。 まるで出来の悪いドラマのような組み合わせだった。
話の内容は
1週間程前に、私の住んでいる建物の3階に空き巣が入った パソコンやデジカメ等の電化製品を盗まれた そういうものがなくなったことはないか?
というものだった。
「うちは安全」と思い込むことで考えないようにしてたけど、 ついに来てしまった。日本の安全はもはやタダではないのだ。
正直言って、今週は仕事に振り回されて家は荒れ放題、
何か盗られたってわかりゃしない
くらい散らかっているのだ。 そんなこと警察には言えなかったけど。
時計とか宝飾品もなくなってないですか?
重ねて聞かれたけど、
いや〜、うちは何もなくなってないです
としか言えなかった。 私は一番気になったことを聞いてみた。
ドアから入ったってことですか?
ハゲた方が、3階のベランダを見上げながら答えた。
それがわからないんですよ。
この建物は3階立てで、ワンフロアに2軒しかない。 そのため、各戸3面に窓がある。
うちは、東南向きにベランダがある。 部屋にはベランダの他に、南西に出窓。 キッチンは、南西と北西に窓。 トイレとバスは北西に窓。この明るさが気に入っている。
我が家は1階だけれども、通りからは半階分高くなっている。 道から階段を数階あがると、建物の入り口で、ガラス扉。 中には郵便受けがあり、さらに数段階段を登ると、1階の2戸分の扉が並ぶ。 うちの扉は、外からまっすぐ見える。 隣の家の扉は、2階へと続く階段に隠れて、外からは見れない。 この外から見通せる扉が、落ち着かない感じで嫌いだったけれど、 防犯的観点からは、よかったのかもしれない。 3階に空き巣が入ったのも、3階なら鍵を開ける作業も人目につかないからだろう。
それにしても、怖いなぁ。 出掛けにそんなことを聞かされて、外出中も家が気になって仕方なかった。 やはりなにか、防犯グッズを買って、警備を強化しなくては。
いろいろ考えながら、病院で薬をもらい、ちょっと買い物をし、 食事をして、家にもどってきた。 そのまま再度お散歩にでかけ、近所の遊歩道沿いの桜を堪能。 夕方からは、お仕事。それが終わったら、部屋を片付けよう。 空き巣が入ってもすぐにわかるように。
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