マリアンに向かう道は、近づくに連れて列になっていた。 並んでいるわけではないので、羽根のある種族は頭の上を越えていき、足の早いものは列を縫って遅いものを追い越していく。
「ユーキさま、疲れませんか?」 「昨日ちゃんと休みましたからね。マーナさんと違って」
・・・私が眠れるわけが無い。 マリアンへ向かう者の多くは、そこが故郷というので無ければ築城か攻撃、どちらかに自信のあるひとたち。冥界軍にかつての友がいた、と言う人も少なくない。 向かう道で”生きている”旧友と再会したという人もいる。
「野宿なんてしたことないし」
殆どは静かな人々だけれど、中には武勇伝を語る人や、安らかに亡くなったはずの友のなれの果てを嘆く人もいる。 私は衝動的にウマリを飛び出してきてしまったけど。 悲しい思いで戦おうという人たちもいるんだ。
「…マーナさん、後ろが騒がしくありませんか?」 「え?」
振り返る。 何かを叫びながら、必死に走っている人がいる。
「ゾディアが!バルハラに!!」
何?どういうこと?
「なんてこと…。帝国が亡霊たちに向かって一斉攻撃をはじめた矢先に…」
旧聖地ライオット。バルハラ城砦。
「かなり危ない状況だ!持ちなおしかけているマリアンより、余程」 「ゾディアを率いるガーランドって奴が、ネバーランド全土を支配下に置こうとしているらしい」
支配下って…。
「どうします?マーナさん?」 「わたし…は…マリアンへ。転戦されたらその時考えます」
友人達との約束は10日。 今日は両国の無事を祈るだけ。 0時まで。
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