入国許可が出るまで三日。 もう、見え始めた城からは煙が立ち昇っている。
・・・あそこへ、行くんだ。 「どくたあさんのように飛べたらいいのに」 「それは、どうでしょうね」 ユーキさまが指す遠い空には、月影に亡者の群れ。 「ここはまだ大丈夫ですが、近づくにつれて無傷では進めなくなりますよ」 「そうですね。覚悟、決めないと」
私たちだけではない。 この道で待つ人たちはみな。
「保つのか?各国の支援がまとまってないぞ」 「大分危ない状態だな。今までと違う」
聞こえてくる言葉には耳を塞ぐ。 急ごう。 「慌てても疲れるだけですよ」 「ユーキさま?」 「なるべく万全の状態で入りましょう。そのために、今夜はもう休まなくては」 はい。 手続きだけで三日。 見えているのに遠い城。
あそこまで、行くんだ。
|