| ◆少女の赤いぼうし（マスタード風味）...小林 明香 |
楕円状に交差する関係は - 2002年05月22日(水)
一年前、
先生は突然、違う高校へ転勤しちゃった。
それを告げられたのは、春休みのコト。
やっと築けた関係なのに、このことがきっかけで無くなるなんて。
厭。厭。厭。
赤ちゃんのように、自分の心の中で、駄々をこねる。
だけど。
離任式は、早々に終わり、挨拶も無しに先生は、帰ってしまった。
完全に、突き放された。
そのとき、メールが来た。
「明香さん、ごめんね。離れても。僕は君が好きだから。また、奈良の山を歩こう。」
短いメール。ふふ。
だけど、どんな長ったらしい文章よりもズシンと心に響いた。
また、やってける。
先生に担任を持ってもらえる可能性は、無くなったけれど。
アタシは、やってける。
「ありがとう！」
とアタシは、返事をした。
先生は、
奥さんを思う気持ちと
アタシを思う気持ちは全く別の場所にあるという。
それって、どういう意味なの？
アタシのことは大好きで、ずっと見守ってやりたくて、お散歩したい仲？
奥さんは、お邪魔虫？
アタシが奥さんだったら、きっとアタシを殺してる。
だって、自分が苦しくて仕方ないもの。
怖いこと言うようで、ごめんね。
でも
もし先生と出逢ってなかったら、先生と奥さんはきっとうまくいってたんじゃないかしら。
あの２人を見たとき、凄く幸せそうないい夫婦に見えたんだもん。
家族を壊したのはあたしなのよね？
でも、アタシと奥さんの円は、交わってない。
先生の円と交わっているだけ。先生の心を少し、いただいてるだけ。
そしたら、どうして、
奥さんは、先生に送ったメールを消すのかしら？
あたしに直接死んでもらえばいいことなのに。
今日も、先生に会えない日は続いてる。
一度会うと、すぐにまた、会いたくなる。
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