2014年10月08日(水) |
テニアン島に見る「過ぎたる福祉」の弊害 |
今回のサイパン・テニアン慰霊の旅は、様々な学びがあった。英霊との心の交流が最も大きな成果だったが、もうひとつ、社会福祉の在り方も学んできた。それは、テニアンの人々の生活からだ。
テニアンには約3000人の人々が暮らしており、うち1000人が外国人だそうだ。さらに、その外国人のうち相当数が中国人。そして、中国人は島の経済を握っているらしい。
テニアンの人々はというと、失業保険がもらえるくらい働いては休みを繰り返すそうだ。また、村役場など公務員になると20年勤続で年金がもらえるので、40歳まえにやめて年金生活に入る人も少なくないという。
また、米国の反米、反基地運動を抑えるための「超福祉」政策により、生活保護が充実しているそうだ。町には「FOOD STAMP(フードスタンプ)使えます」の看板が目立つ。こえは、低所得者向けの食券支給政策で、前払い式カードのようなもので、スーパーなどで生活必需品の購入に使える。一人月額130ドル程度らしいから、子沢山のチャモロ家族で10人もいれば、1300ドル。働くより楽だろう。
ただ、このスタンプは、ビールや酒などには、使えず、換金屋までできているそうだ。米国にとって、南太平洋の基地であるサイパン、グアム、また洋上訓練基地であるテニアンは、戦略上絶対に離すことができない重要拠点である。
そこに住む住民から基地反対運動や反米運動が起きることは、絶対に抑えなければいけない。そこで、福祉付け、米国の信託統治であれば「働かなくても大丈夫」という感覚を人々に与えてしまったのだ。
テニアンを日本が統治していた戦前は、サトウキビの栽培で島は栄え、列車が走り、六つの村には神社があり、学校があったそうだ。チャモロの人々は日本語を学び、生活も豊かっだそうだ。
はたして、フードスタンプに頼って働かない生活と、いきいきと働いていた日本統治時代と、どちらがテニアンの人々にとって幸せなんだろうか。
過ぎたる福祉は、人の生きる炎に水をかける!私の持論である。いま、日本はテニアンのような「いきすぎた福祉」が行われつつある。年金を生涯払わず、家も買わず、貯金もない独居老人の生活保護費(大都市加算を含む)は月額165,000円程度。
反対に、40年間国民年金を払い続け、預金もそこそこ貯めた苦労人の自営業者さんは、年金月額65,000円。なにか、おかしいではないか。
慶応義塾大学でマーケッテイングを教えられていた村田昭治先生は、授業でいつも学生に語られていた。「マーケッテイングとは、人々の生きる心に炎を灯すことなんだよ」と。
あるべき政治の姿とは、テニアンや日本のように、働く意欲を喪失させる福祉政策ではない、働く人の心に夢と希望を与えることの出来る政策(マーケッテイング)を行うことだろう。支援団体、利権団体への予算のばら撒きに徹している今の仕組みは変えなければなるまい。
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