2012年06月07日(木) |
またまた談合か?大田区契約議案質疑から |
たちあがれ日本の犬伏秀一です。
最近、大田区は新聞紙上で全国の物笑いになっているのは、大変残念なことであります。 5月17日の産経新聞全国版では、大田区報5月1日号区民の広場に、こともあろうか、政治的色彩の極めて濃い講演会の開催通知を掲載した、と報じられています。 もう一件は、3月24日の読売新聞都民版で「大田区入札3割不成立、割高随意契約に」と、大田区の競争入札が機能していないことを指摘されました。 そして、この入札問題は、長い業界と行政、議会の関わりのなか、なんら解決を見ていません。
そこで、相変わらず談合を疑うべき高率での落札が花盛りの、今定例会に上程された72号議案から75号に至る各契約議案について質疑いたします。過去の「適正な競争の結果」という、いつもどおりの答弁は、まさか見識ある遠藤副区長はされないことを期待しております。
第72号議案は補助328号線整備その4工事で2社JV(共同企業体)のグループが2つ、希望制指名競争入札で応札いたしました。一般的に、大手ゼニコンがJVに加わると落札率は下がる、という原則があります。それは、公正取引委員会の度重なる摘発と課徴金制裁により、大手は談合決別宣言をしたからに他なりません。大田体育館の建築工事などが好例でしょう。
今回の落札JVの冠企業は、東急建設ですので、落札率も下がったかと期待しておりましたが、大田区予定価格7億2千949950円に対し、契約額7億350万円予定価格に対する落札率は97.58%であり、識者により「談合の疑いが極めて強い95%」を超えています。
そもそも、JVを組みなさい、というのは「話し合いをしなさい」と官が促している訳で、官制談合とまでは言わないが、談合を否定するマトモな良心をもった業者は、組んでくれる相手がいないため、参加すらできない仕組みなのです。大田区体育館の建築工事では、ある大手ゼネコン担当者が、「危なくて大田区の業者とはJVを組めないし、本気で入札をする気が感じられないので参加しない」と嘆いておりました。これは、伝聞ではなく、直接本人から聞いた話です。 そこで、うかがいます。談合の温床である、JVを組ませる理由はなんでしょう。技術力の結集などという教科書的な答弁では納得しません。
第73号議案は田園調布1.3丁目付近下水道枝線その3工事で、3社からなる4つのJVが応札し、大田区予定価格の95.77%で落札しました。これも「談合を疑う数値」であります。そして、72号同様に「希望制指名競争入札」で業者を指名しています。 談合防止の先駆的自治体である神奈川県横須賀市では、平成10年7月以前は、7社から10社を指名して行う指名競争入札を実施していましたが、予定価格の落札率が95%を超える案件が2/3を占めたため、平成10年度、平成11年度より、談合の相手を特定させないため、指名業者の公表をやめ、経営事項審査(通称けいしん)に基づく総合評点を入札条件とし、この条件に合致する業者は.すべて入札に参加できるように改革をしたのです。このおとにより、物理的に談合がしにくくなり、さらに、談合情報があった場合には、くじで2社を選び入札を実施。1回の入札で決定しない場合は2回目で中止。再度業者を入れ替えて、入札を行うという徹底ぶりです。もちろん、高値落札の元凶と読売に書かれた「不落随意契約」は廃止しました。その結果、平成9年度の平均落札率が95.7%であったものが、平成11年度には85.6%に急落したのです。このことは、何を物語っているのでしょうか。神奈川県座間市、三重県久居市は談合事件摘発を契機に、同様の対応をしたところ、座間市は65%から70%、久居市も70%と激減したのです。
そこでうかがいます。松原区長は入札改革を標榜されていますが、その成果はまったく現れていません。なぜ、頑なに談合の温床とも言われる「指名競争入札」を廃止しようとしないのでしょうか。お答えください。
第74号議案は、仲六郷1丁目、蒲田本町2丁目付近下水道改良工事です。2回の入札で、大田区予定価格の99.82%、1億6380万円の契約額は予定価格の294000円下回っただけという、驚異的な金額でした。さらには、談合の指標である何回入札を行っても「最安値は不変」の原則が表れています。 さらに続く、75号議案、仮称大田区西4丁目区営住宅新築工事も大田区予定価格の98.37%という高率での落札です。
全国の平成22年度の平均落札率では、都道府県が82,91%、政令市が80.74%となっています。
なぜ、大田区はかくも落札率が高く、そのほとんどが「談合の疑いが極めて高い」95%以上なのか、どう分析されているかお答えください。
日本弁護士連合会は「入札制度の改革と談合防止に関する報告書」を発表しました。それによれば、「日本の入札は談合が蔓延している」さらに「談合蔓延の原因は発注者の談合容認姿勢にも問題がある」と指摘しています。ある区内談合組織は、談合打ち合わせの会場を転々と変え、西蒲田の神社での談合打ち合わせの日時を私が特定し、警視庁に通報するや、会場を変更しました。これが現実です。知らんぷりは許されません。ここまで、バカにされていて、まだ容認するのだとしたら、こちら側に座っているあなたたちは区長以下全員、同じ穴のムジナであると言わざるを得ません。また、我々議会もこのような実態を放置してはなりません。ある議員は、私に「議会は捜査機関ではないから」と言い訳をされました。疑惑があったら、調査し改善することが区民から信託された議会の使命です。
さきほど申し上げました、日弁連の報告書には、自治体で談合が蔓延し、談合を防止できない理由を次のように述べています。くれぐれも、日弁連が言っていることで、大田区がそうであると申し上げているわけではありません。
首長や議員は、自らの選挙のために、票と政治献金を求めて、建設業者のために発注予定工事、予定価格などの情報を職員から聞き出して、建設業者に提供し、さらに進んで、特定業者の指名を自治体職員に指示または依頼したり「天の声」により本命を決定するなどして談合に深く関与している。自治体職員は、天下りや接待の利益を得るために、建設業者に予定価格を教えたり、ほのめかしたり、指名に入れたりして、談合に加わらない業者を指名から外したりして、議員や建設業協会や業者と癒着している。 したがって、多くの自治体は談合をなくす抜本的対策をとらない。建設業者は、談合することにより20%以上も高く落札できるので談合する動機は大きく、仮に特定の業者が談合をやめよと考えても談合から抜けると村八分になり、指名から外されるなどの不利益を受けるため、談合から抜けるのは極めて困難な状況となっている。自治体の指名の乱用が談合体質を強化しているとされる。
この場にいるすべての皆さん! 変えようではありませんか、変わろうではありませんか。勇気を出して「談合NO」と叫ぼうではありませんか。
「談合はさせない」元横須賀市長の決意。そのような気持を首長が持たなければ、予定価格の95%を超える契約議案が、次回も次々回も、これから先ずっと区議会に提案されるのでしょう。
松原区長、このような大田区の談合を極めて疑う入札を改革する決意をお示しください
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