いぬぶし秀一の激辛活動日誌

2011年06月10日(金) 議案質疑〜相変わらず心配な大田区区政

 たちあがれ日本の犬伏秀一です。一人、二人会派は総務財政委員会に参加できないので、この場で質疑をさせていただきます。今後、議会改革についての議論が当大田区議会でもされるようですが、議会基本条例などを作る以前に、議員の発言の機会を少なくし議会の権能をあえてせばめる現在の大田区議会の仕組みこそ改革すべきであると申し上げておきます。

 さて、第42号議案から第47号議案はいずれも議会の議決が必要な契約案件であります。ただし、第46号議案はデジタル防災無線の関係工事であり随意契約となっておりますので、今回の質疑には該当いたしません。
 
 私は、平成11年に初当選以来、大田区の工事案件はほとんどが談合の疑いがあると述べてまいりました。官製談合が疑われるケースもあり、公正取引委員会に通報したり情報提供したことも一度や二度ではありません。また、残念ながら、それらのなかには区職員のみならず、議会の関係者の関与すら疑わしいものもあるのでした。
 
 入札談合等関与行為防止法は,国・地方公共団体等の職員が談合に関与している事例,いわゆる官製談合が発生していた状況を踏まえ, 発注機関に対して組織的な対応を求め,その再発を防止するために制定されたものであり,平成15年1月6日から施行されています。
 
 その後,平成18年に職員による入札等の妨害の罪の創設等を内容とする「入札談合等関与行為の排除及び防止に関する法律の一部を改正する法律案」が 第164回通常国会に提出され,平成18年12月,第165回臨時国会で成立し,平成19年3月14日から施行されています。

 また、全国市民オンブズマン連絡会議では、過去の談合訴訟や、公正取引委員会の審判、さらに全国落札率調査をふまえ、落札率95%以上を「談合の疑いがきわめて強い」、落札率90%以上を「談合の疑いがある」としています。この会の全国調査の結果を見ると、真の競争入札(一般競争入札)が行われると落札率が80%台以下になると指摘しています。

 そこで、今回の契約議案について検証してみました。第42号議案田園調布三、四丁目付近枝線その6工事(下水道)では、一回の入札で358,050,000円で落札業者が決定し、区の予定価格に対する落札率は98%。第43議案都市計画道路補助328号線整備その2工事(下水道)では2回の入札で203,700,000円落札率98%、第44号議案京急空港線付属街路第一号線整備その1工事(下水道)は203,700,000円落札率99%という驚異的なものでした。さらに第45号議案大田区立羽田中学校外構及び校庭整備整地その他工事では182,700,000円で落札率98%です。この4件の工事はいずれも土木の工事であり、3社により構成された建設共同企業体がそれぞれ応札をしています。JVの冠企業は5社で、この5社のJVできれいに4つの工事を配分している構図が見てとれるのです。適正な競争が行われていれば、同じ冠企業が二つの工事を受注することがあるはずです。

 また、今回は1件しかありませんでしたが、チャンピオン(落札業者)が事前に決定されていると疑われる所謂談合入札では、1回目から3回目、なんど行っても最安値の業者は不動である原則が見事に一つの例外もなく表れています。

 さきほどの全国市民オンブズマン連絡会議の基準に照らせば、今回のいずれの議案も第47議案以外は「談合の疑いがきわめて強い」ということになります。個人的には、談合が行われていたと断言してもいいぐらいです。ちなみに、全国の自治体の落札率を井の中の蛙である大田区関係者にご披露申しあげます。大分県77.6%、長野県79.5%、福井県80.2%、秋田市71.5%、さいたま市73.5%、広島市73.7%、神戸市76.3%、佐賀市76.0%などとなっております。
 
 もし全国の自治体が大分県並みに77.6%の落札率になれば全国では約5000億円の税金が節約できる試算もあるのです。なぜ、大田区だけが、このy9おうな中、95%以上の落札率が花盛りなのでしょうか。理由は、実はここにいらしゃる皆さんが一番ご存知まはずです。

 毎度、野田副区長は適正な入札が行われた結果との答弁を繰り返されていますが、もし本気でそう思われているとすれば、将来、閻魔大王さまはお許しになりますまい。

 また、第47号議案大田スタジアムスコアボード等改修工事は、本来メーカーである東芝や富士通に発注すべき工事ですが、区内業界の強い要望もあり区内業者の共同企業体に発注することにしたものです。8つのJVが応札をいたしました。落札額は160,650,000円落札率73%という競争原理が働いていると感じられるものでした。ところが、落札業者と2位の業者以外の6社の平均応札額は226,473,000円でした。

 落札JV以外のもうひとつのJVは178,500,000円。本件がそうかどうかの確証はありませんが、一般的に過去の事例からこのようなケースは、業界内のチャンピオン(落札予定業者)に対し、調整が失敗した場合、つまり業界内の秩序が乱れた場合に起こりうるものです。

 過去にも大田区総合体育館建築工事で、70%代になったことがありますが、これは、JVの冠企業が大手ゼンコンだったからだと推測されます。大手ゼネコンは度重なる公正取引委員会の課徴金により談合決別宣言を出し、各本社から「JVを組む地元業者が談合を疑える場合は手を出すな」と厳命をされています。

 大田区では、区内業者を保護する為か、JV案件では「安心なので」ロアーリミット(最低制限価格)を設定せず、アウトローが入る可能性がある一般競争入札ではロアーリミット(最低制限価格)を設定しています。しかし、もはや、業者や業界のため、区民の税金を配分する時代は終わったのです。

 このような状況を踏まえてうかがいます。全国平均から見ても、相変わらず高落札率が続く大田区の入札につき、本当に適正だと考えているのでしょうか。

 また、談合が出来にくい一般競争入札、制限なしの導入は考えていないのでしょうか。民主党政権を見ていると公約は破るためにあるようにも思えますが、松原区長は入札改革をかかげておられましたが、今回の議案の入札において何がどう改革されたのでしょうか。
 
 新人議員のみなさん、このような契約議案にどうか疑義を感じていただきたいのです。先輩の見過ごした過ちをくりかえしては議会改革など絵に描いた餅にすぎません。

 さて、次に報告第20号蒲田開発事業株式会社経営状況に関する書類の提出についておうかがいいたします。

 報告書等によれば当該法人の社長は野田副区長であり、取締役には代表監査委員に就任された森透氏があげられております。当該法人に確認しましたところ、同氏からは取締役の辞任届が出されているとのことですが、監査対象になる大田区出資法人の取締役についていた人物が、代表監査委員に就任することはいかがなものでありましょうか。

 昨年、当時の秋山副区長から社長を野田副区長に交代し、取締役に森透氏が就任した際の理由は「経営基盤の強化」をはかる、と説明をされました。いったいお二人の就任により、どのように経営基盤が強化されたのかうかがいます。また、野田副区長は副区長職が一人になられてからは相当多忙を極めていらしたと思われますが、社長としてどのように執務されていたのかうかがいます。

 過去にも、遠藤久元経営管理部長が代表監査委員に就任されました。この際も同様の疑問があがりました。代表監査委員は大田区職員としての功労賞の場ではありません。そして今回は、遠藤久前代表監査委員が副区長に就任、と、少ない取り巻きで要職を渡り歩いていると感じるのは私だけではないはずです。

 出資法人の役員を区幹部が勤め、代表監査委員が区執行部と行ったり来たり、このような状況では決して区民の信頼を得ることはできません。このような人事をどのようにお考えでしょうか。

 また、新たな副区長の所管事務を見ても、遠藤副区長には秋山前副区長当時にはなかった、総務担当部長の所管事務が加わりました。これは、以前、森透氏が担務していたものです。ここにも、ある恣意を感じてしまいます。

 相変わらず心配な大田区政を憂い議案質疑を終わります。


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