いぬぶし秀一の激辛活動日誌

2011年02月25日(金) 本日の一般質問全文

 たちあがれ日本の犬伏秀一でございます。早いもので、紅顔の美青年だった平成7年の選挙以来16年の歳月が過ぎ去り、小学生だった息子は自衛官としてハイチにジプチにと、日の丸をつけて国家のため働いております。オヤジはと言えば、ついに今期最後の一般質問の時間となってしまいました。4月24日の結果によっては、今期どころか、生涯最後の質問になるかもしれませんので、理事者の皆さまには、心して真摯にお答えくださいますよう願ってやみません。

国政においては理念なき菅政権のダッチロールにより、国民生活に多大なる打撃を受けている事は、民主党の方を含めて、この場にいるどなたにも異論のないところでしょう。多くの国民が「政権交代」という言葉に騙されたと痛感しているのであります。

我が大田区においても、平成19年に長く続いた「お役人出身」の区長さんから、「民間出身」を標榜される松原忠義区長に「政権が交代」されました。

これも、多くの区民が「脱・お役人」に期待したからに違いありません。そして松原区長の4年の任期が終わろうとしていますが、残念ながら区政の内実を知っている人々からは、国政以上の落胆の声が聞こえてきます。「しまった!政権交代は大田区も失敗だった」と。

「民間出身」を標榜した松原区政は結局、一部のお役人の手のひらで「コントロール」されているようにしか見えないのです。その結果「民間」の感覚は持ち込まれず、前政権より「よりお役所的」になってしまいました。それでは、これより、何が「よりお役所的」なのかを検証してまいりましょう。

1.粛清人事について

松原政権に代わって以来、社会福祉法人池上長寿園の理事長人事への介入、代表監査委員への辞任強要、前政権中枢幹部職員の他区や一部事務組合への不自然な転出など、リビアや北朝鮮もびっくりするような粛清人事、報復人事が行われてまいりました。私は再三これら粛清人事、報復人事について警鐘を鳴らし続けてまいりましたが、一部取り巻きの入れ知恵か、これら異常な人事は止まることを知りません。

そして、今回は二人いる副区長にまで、このような人事の魔の手が伸びたようでございます。この副区長には松原区長ご自身が、任期途中の3月31日付けで辞任するよう迫ったとの事実が漏れ聞こえてまいりました。はたしてどのような理由で任期中の副区長を、それも区長自身の任期を1ケ月残す時期更迭しなければいけないのでしょうか。この副区長の選任に同意した立場としては、どうしてもうかがっておかなければなりません。松原区長の真意をお尋ねいたします。

2.新規職員の採用増について

民間では日本航空に代表されるように、大変なリストラの嵐が吹きまくっております。大田区においては西野区長時代に事務事業適正化計画を立ち上げ、職員数の削減、残業時間の管理などを徹底した結果、財務状況が好転、全国でも上位の安定した財政基盤を確保したのです。

「民間では仕事の数しか職員がいない」が「お役所は職員の数だけ仕事を作る」という有名な言葉があります。まさに区役所の庁内を歩いていると、そのことを実感いたします。

民間であれば、パイロットが地上職、工場勤務者が営業マンなどあたりまえですが、現業公務員は生涯同じ職場なのだそうです。民間では考えられない制度設計であります。さて、そのような、公務員がやるべき仕事の検証や、各職場の仕事の量を勘案せず、ただ「他区との比較検討を行った合理的職員数」という計画には「民間」の感覚をまったく感じないのであります。

最近の大田区職員の採用数の推移をお示ししましょう。平成18年度は42名、平成19年度42名、ここまでは前の政権での採用数です。そして、松原区長になった平成20年度84名と倍増、さらに平成21年度は70名増の112名、本年度はさらに増え119名、この4月の採用予定者は、なんと、なんと、平成19年度の丁度3倍の146名となります。旧政権時代は42名で推移していたものが、突如、新政権になり倍増、そして3倍の増員となった理由は何でしょうか。

大田区包括外部監査人は、この採用人数増に対し「慎重を期すべき」と言葉を濁しつつ注意を促しているのです。「民間出身」を標榜する松原区長になった途端に、お役人の新規採用は3倍にも増え、また平成19年、旧政権時代には23名だった大田区の部長職がいまでは46名と、こちらも倍増しています。一人の職員の採用は数億円の後年度債務負担行為と同じであり、採用人員増は慎重のうえにも慎重にしなければなりませんし、定数管理、適切な工数管理を同時にすすめなければなりません。

その意味では、4年間で293名の採用増は、500億円を超える大型債務負担を後世に残したことになるのです。この人員増で何を行おうとしているのでしょうか。大田区職員の平均給与は年間731万円です。平均です。街頭でこの数字を訴えると、区民のみなさんはびっくりされます。そこでうかがいます。年収731万円の公務員でなければならない仕事とはなんでしょうか。そして、この時期に毎年増え続ける新規採用増の理由はなんでしょうか。

3.平和島カジノ構想について

首相官邸のホームページに「地域活性化統合本部」というものがあります。ここでは国の総合特区制度に関する提案内容を閲覧することができまが、わが大田区からは「国際戦略総合特区」に関わるものとして「ものづくり特区」を提案されたことが紹介されています。

そして、もう一つ、大田区の企業から、なんと平和島にカジノ特区を、とのものが出されているのです。これは、京急開発株式会社が提案者となり、「平和島国際戦略総合特区プロジェクト」と銘打っています。平和島の競艇場周辺を特区として、カジノホテル、免税店のDFS、アジア交流センターなどを建設し、国際レジャー&エンターテイメントの拠点にするという壮大な計画です。東京都や大田区に対しては、建蔽率や緑地比率の緩和、固定資産税、都市計画税、法人住民税などの軽減を求めております。また、水辺や緑地の整備、交通ネットワークの構築などには品川区と大田区の支援が必要とも述べられています。

国の指定要件によれば、特区指定には地方自治体と協議会を設置するように求めていますから、当然大田区は、この提案を知っていたと思われますがご存知だったのでしょうか。工程表によれば、今年の7月には総合特区の指定を行うとあります。この時期まで地元区が何も情報発信をしないのは問題です。知っていたとすれば、議会において議論すべき事項でもあり、地元との調整も必要なきわめて重要な案件であると思われますが、なぜ何も発信しなかったのでしょうか。万一知らなかったとすれば、論外であります。

4 大田区体育館裁判について

大田区総合体育館計画において、大田区は隣地にある築30年のマンションを近隣の築浅マンション相当額で購入し、すぐさま解体をしてしまいました。ところが、このマンションの取得により、体育館の建築計画は1平米も影響を受けなかったのです。そこで、周辺住民を中心に監査請求が提起されました。松原区長、両副区長、教育長、経営管理部長が連帯して5億円余りの損害を大田区に返せ、というものです。このマンションの権利者から大田区への購入依頼の席には、ある区議会議員が同席していたことも疑惑を感じてしまいます。

結局、監査は認められず、住民は行政訴訟を行いました。ところが、東京地方裁判所は、裁判の前提となる住民監査が法定期限の2日後に行われていたとして、訴えを却下しました。つまり、監査請求や住民訴訟で問題としたマンションの土地建物の購入について、裁判所は購入の手続が適切であったか否かについては判断しておらず、大田区が購入した価格や購入の手続について裁判所が,積極的に,適切である,正当である,と認めたわけではないのです。

ところが、松原区長は大田区のホームページにおいて「大田区の主張を裁判所が全面的に認めた」と述べています。一体どのような主張をどこの裁判所が、どの判決文において、どのように述べたので「全面的に認めた」と公表しているのかおうかがいします。公金を使って、大田区の公的ホームページで私的な意見を表明したのだとすれば、住民訴訟に対しての侮辱ではないでしょうか。それこそ、「民間」感覚から乖離したお役人感覚であります。

5 教育長の発言について

2月9日私立幼稚園協会連合会の新年会が区内で開催されました。区長はじめ区幹部、多くの議員も出席していました。ところがその席上、清水茂教育長が奈須議員に対し突如「あなたはクレージーだ」発言されたのです。これは、公選の立場にある議員に対して無礼であり、その趣旨をおうかがいするものであります。

なお、言っていないと強弁されるようであれば奈須議員が議場にいらっしゃいますので、事実をお尋ねするもりでありますし、教育行政の長として謝罪すべきであれば、潔く謝っていただきたいものです。

また、人に対して教育長という教育行政のトップにあるものが例え酒の席であっても「クレージー」と軽々しく語ることは人権擁護上も問題発言であると考えます。そこで人権推進課長にうかがいます。人に対して突如「あなたはクレージー」と決め付ける発言は、どう考えられますか。

教育長をはじめ、現執行部の皆さんは、私や執行部に批判的な議員に対し、私憤や嫌悪感をお持ちのようですが、それは大間違いです。GHQが日本に二元代表制を持ち込んだ時、首長と議会の対立をそもそも予想していたのです。したがって、その制度に基づき、おかしいことはおかしいと、議員の職として指摘しているのであって、皆さんのお人柄を批判しているのではないのです。お互い立場を尊重しあい、正しい緊張関係を保持してまいりましょう。

6 中学校評定割合の公開と公文書開示について

一昨日、都立高校の入試が行われました。この入試の合否判定に大きな影響を与えるのが内申点と呼ばれるもので、中学3年生の2学期の五段階評価が使われます。この中学校の評定につき東京都教育庁が割合を一覧にした「中学校別評定割合」というものがあります。

東京都に開示請求するか、都議に依頼すればいつでも誰で入手できるものです。私はこの一覧につき大田区教育委員会に対し開示請求を平成21年2月9日に行い、同18日に「学校名を非開示」として開示されました。

この決定を不服として審査請求を行いましたところ、昨年12月22日大田区情報公開・個人情報保護審査会が「開示すべき」との答申を出したのです。ところが、その答申を無視するかのごとく、大田区教育委員会は「それでも非開示」との裁決を一部開示から丁度2年経った本年2月18日に行いました。この恐ろしく長期にわたる「お役所仕事」も問題ですが、大田区情報公開・個人情報保護審査会の答申を無視した「独善」には、さきほど述べた粛清人事とあわせ大田区の一部幹部によるファシズムすら感じるのです。

そこでうかがいます。あいかわらず開示する考えはないのでしょうか。大田区情報公開・個人情報保護審査会が「開示すべき」との答申をしながら、これを無視し開示しないのは、単に私に対する私憤ともとれるのですが、この答申無視はなんなのでしょうか。いつもながらの「手続きは正しい」という言い訳づくりにしか見えないのです。

7 特別職の退職手当半減条例について

松原区長は今期任期が終わると2314万円の退職手当を受け取られます。副区長は1336万円です。あまりにも民間の常識と乖離しているこの手当を半減する条例案を本日6名に議員で提出する予定でおります。本来であれば、「民間出身」を標榜される松原区長自ら提出をしていただきたかったのですが、提出するお気持ちはありますでしょうか。

もし、ご自身でご提出されるのであれば、取り下げる用意があります。ご意思をうかがいます。また、「民間出身」を標榜されるお立場で、4年間で当落にかかわらず2314万円の退職手当は高いとお感じにならないでしょうか、うかがいます。ちなみに内閣総理大臣は4年在任で524万円です。くれぐれも区長以外の方が答弁されないようお願いいたします。

以上で私の質問を終わりますが、5月に今一度この場に戻って来れたとしたら、新たな議員、新たな区長と共に、真の二元代表制の議会を目指して頑張りたいと思います。また、今期でご勇退される先輩議員、理事者各位には大変お疲れ様でございました。ご苦労様でした。

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