2011年01月06日(木) |
法律は弱い者の味方ではない!叔父の借金相続 |
仕事を終えて自宅に戻ると、妻が「弁護士から内容証明が来ている」と差し出す。平成13年の同時多発テロの影響で当時経営していた旅行会社が破綻してからというもの、我が家では「裁判所」や「弁護士」の封筒は、招かざる客だった。(料金受領済みのお客様は全員旅行に出発して頂いた。念のため)
あれから9年、すべての債権者との弁済協議もすみ、すでに債務を全額弁済した債権者や、残債も少ない債権者も増え、安堵している新年になんだろうと「恐る恐る」開封した。
なんと、昨年8月に多額の負債を残して亡くなった叔父についての書類だ。伯父は若くして、照明専門会社を設立し、順調に業績を伸ばしていた。父亡き後、15歳で自衛隊生徒として独立した私は、夏や冬の長期休暇には「戻る家」がなかった。そんな時、叔父は「無口」だったが、喜んで迎えてくれた。
親や帰る家がない私には、何不自由なく暮らし、幸せそうだった従兄弟たちが羨ましくもあった。結婚をすることになった時も、嫁の手を引く父親役を叔父が、ウエデイングドレスの裾を持つ役を叔母が引き受けてくれた。
ところが、祖母の財産をめぐって、叔父兄弟5名が裁判沙汰になってから、少し距離が出来てしまった。こちらは、誰に味方するわけでもないのだが、なんとなく疎遠となった。
そして、昨年、久しぶりの従兄弟からの電話は、叔父の危篤の報だった。数ヶ月の植物人間状態の末、叔父は旅立った。叔父の経営していた会社は、数年前から厳しい状態にあったようで、叔父の存命中に自己破産を申し立てていたようだ。
そして、叔父が亡くなり、従兄弟と叔母が叔父の財産につき「相続放棄」をした、との弁護士からの通知が今日来たのだ。だから、何?と、文章をよく読むと、彼らが相続を放棄したことによって、私が叔父の7900万円の債務を含み、相続人になったとの記載もある。
えええ???なんで、そうなる!さっそく、法学部で勉強中の長女に仔細を説明し教えを乞うたところ、以下のようなことがわかった。
相続順位
妻:常の相続できる
第一順位:子、子が死亡している場合は孫。孫も死亡している場合は曾孫。
第二順位:第一順位がいない場合のみ相続できる。直系尊属(親、祖父母など)のうち最も親等の近い者
第三順位:第一順位も第二順位もいない場合のみ相続出きる。兄弟姉妹が該当。兄弟姉妹が死亡している場合は甥姪。
上記によれば、叔父の妻である叔母、子が相続放棄したため、叔父の姉である私の実母が第三順位の相続人となるが、すでに死亡しているため、さらに下の甥である私が相続人になったということだ。なんとも迷惑な法律だ。
ということは、高齢の他の叔父や叔母、さらには私の姉や弟にも、同じ内容証明が届いているに違いない。まずは、従兄弟に電話をした。「あなたたちが相続放棄するのは勝手だが、親戚に迷惑をかけないで欲しい」と。すると従兄弟は「弁護士は、親戚は何もしなくてもいようにする、と言っていた」と応じた。どこが「何もしない」だ。弁護士の内容証明には「このことを知ってから3ケ月以内なら、あなたも相続放棄が出きる」としか書いていないし、「貴殿」と書くべき敬称を「貴職」と書くなど使えない弁護士を雇ったもんだ。
さて、であれば自己防衛のため、我々も家庭裁判所に相続放棄の申述書を提出しなければならない。これはいたって簡単で、裁判所のホームページから申述書をダウンロードして、収入印紙800円と切手約400円分を添えて、叔父の住所地の家裁に郵送するだけである。なんてことはないが、知らない人には大事である。
さっそく親戚一同に電話すると、やはり大騒ぎになっていた。そこで、書類は私が揃えるから、署名捺印をして送るように説明した。叔母の一人からは「弁護士に5万円かかると言われた」と感謝された。
法律は残念ながら、弱者の味方ではない。知っている者の見方である。残念だが‥
しかし、せっかっくの叔父との懐かしい感謝の日々の終焉が、こんなこととは情けない。従兄弟や叔母のすべきは、自らの相続放棄の結果、迷惑をかけることを詫び、諸手続きを彼らの弁護士にやらせることだった。たとえ過去に親戚と何があったとしても、それが故人をおくった親族の勤めであろう。そのことがわからない、それが残念で悲しいよ、叔父さん!
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