2009年09月17日(木) |
第三回定例会 一般質問 |
改革110番の犬伏秀一でございます。 さる8月30日に行われた総選挙において民主党が圧勝をし、都議会に続いて国政においても与野党が逆転をいたしました。前回は「郵政民営化」、今回は「政権交代」と、その各政党の本質的政策ではなく、フレ−ズだけで有権者、国民が投票行動を起こす怖さを実感いたしました。メデイアに踊らされた選挙と言ってもよいでしょう。昨日発表された行政刷新大臣には公務員労組のひとつである自治労組織内候補の仙谷氏を充てましたが、はたして自治労出身者が身内である公務員改革が出来るのか、お手並みを拝見、といったところでしょうか。 しかし、愚痴を言っても仕方ありません。それが民主主義、民意が選択したのですからやむを得ません。同じく、民意で2年半前に20年間続いた西野政権にかわり松原新区長が誕生いたしました。民間出身を標榜され、多くの区民が「変化」を期待し新たな松原丸の船出を見守りました。 ところが、日を追うにつれ、松原丸の船長さんが、実は区長ではなく、別の人物である疑いが区役所内外でささやかれ始めました。「西野政権が終わったら自分も辞める」とまでいていた人物です。区長選挙が終わり新区長の初登庁後、すぐさま電撃的な人事異動が発表されたのです。 区役所内の人事に疎い新区長が行ったとは思えない電撃人事の目玉は、旧政権の中枢だった管理職の追い出しでした。地方自治体の首長は、大統領制のようなものですから、ある程度はやむをえないと思いますが、今日まで続いている報復人事は、まるで小学校のイジメのような陰湿ささえ感じるのです。 議員各位は、人事は首長の専決事項として不介入を原則とされているようですが、人事の内容ではなく、その行使の仕方を問題にしているのです。そして、そのことがゴマすり体質を生み、志ある職員がやる気をなくし、結果としては区民の損失になるからこそ、あえて週刊誌のような問題をこの場で提起をしているのです。 大田区5000名の職員の悲鳴を代弁し、真に仕事で判断する適正な人事に戻すべき使命が区民の代弁者たるわれわれ議員にはあるのではないでしょうか。 それでは個別の問題について確認していきたいと思います。以前私は、この場において、社会福祉法人池上長寿園田崎理事長の退任を野田副区長が強力に迫り、退けられると、理事らを使い解任してしまった問題、加藤代表監査委員に対する遠藤経営管理部長の無礼な退任勧告などを、ご本人からの証言に基づき質問をいたしました。 ところが、最近もまだ同じことが行われていることを耳にしたのです。お一人は、元大田区経理管財課長の長谷隆氏。経理管財課長在職中に、大田体育館隣接の民間マンション買取につき、ある議員からの異例な建物買取要求を突っぱねたことにより、当時の清水繁経営管理部長と対立し閑職で定年を迎えられたことは、庁内の良識ある職員の間では周知の事実であります。 そして、定年退職時に野田副区長より「松原政権に忠誠を誓うなら就職を斡旋する」と迫られ、池上長寿園が受託する特別養護老人ホ−ムの施設長として第二の人生を歩んでいらっしゃいます。ところが5月下旬、野田副区長に呼び出され「あなたは新たな池上長寿園の経営陣と方針があわないから辞めて欲しい」と強要されたのです。ご本人は、あまりの理不尽な理由なき要求であり、また、社会福祉法人の職員である民間人に、なんということかと突っぱねたそうですが、契約期間が1年更新なので、来年の契約更新は区側から邪魔をされるだろうと落胆されています。 もうひとつの事例は、まだ大田区職員の身分をお持ちの方の問題です。ある一部事務組合の部長職として出向中のこの方も同様に7月に野田副区長に呼び出され「就職枠がないので、あなたには、定年後の就職斡旋はしない」と通告されました。大田区の命令により出向している部長級の管理職で過去就職斡旋を受けられなかった例はありません。なぜでしょうか。以上2件の事例につき野田副区長より、なぜ、誰の指示で行ったことなのかおうかがいいたします。 もっと面白いことがあります。旧区役所近くに荒木秀樹議員もごひいきの弥生軒という飲食店があります。区役所があった時代には、管理職を含め多くの職員が仕事帰りに食事をしたり、お酒を飲んだりと繁盛していたそうです。そこでまさかの区役所移転。売り上げの大幅な減を助け、過去の店主の親切に報いようと、区職員有志で毎月9日に集まる「九日会」という親睦会を作ったのです。ところが、これが反松原団体であると決め付けた執行部は、弥生軒に出入りしたら「飛ばす」とおふれをまわしました。議員の皆さん、信じられないでしょうが、今、この場にいる方々が真顔で話しているのです。 また、同じような話が池上でもあります。市民活動を積極的に進められているYさんという方が経営しているWILLという飲食店があります。以前は別の場所で営業されており、そのころから、教育委員会、PTA関係者が多く出入りしていました。ところが、この方の発言が現政権に対し批判的なことを知ると、教育委員会幹部が職員や関係者に「あの店には行くな」と、これまたおふれを出したのです。公立学校のイジメを撲滅すべき教育行政のトップによる笑い話のような大人のイジメが、本気で行われているのです。 なぜ、これほどまでに報復人事が行われてしまうのでしょうか。どうせ「人事は適正に行われている」、「適材適所」という無意味な答弁がかえってくるのでしょうが、野田さん、どうしちゃたんですか。なぜ、何を恐れてそれほどまでに変わってしまったのですか。あなたの良心は早稲田の杜に置いてきてしまったのですか。 旧政権時代にも、強引さはありました。しかし、何か事業課で問題があると、担当課長が区長に直接面談し調整することはままあった光景です。ところが、いまや区長室の扉は、一部の取り巻き以外には開けることができません。多くの区民の方から言われるのは、松原区長と会っても、わきで秘書がメモをとっているので、とてもイヤだ、と。民間出身とは、社長室を閉ざすことだったのですね。 恐怖政治の例には事かきません。先日、永井議長議員在職30周年のお祝いの会を有志で計画いたしました。多くの区管理職の方にもご参加いただき、とても和やかに会はすすめられました。ところが、そこでも諜報戦は繰り広げられていたのです。一次会は儀礼的なものなので、参加してもお咎めなし。2次会には、どの管理職が参加したか、これは逐一執行部に報告され「反体制色」をチェックされています。同じく、田崎元助役が理不尽な形で池上長寿園を追われたことを知った現職、OBが7月にアペアにおいて「送る会」を開催し、100名以上の方々が集いました。OBはいいとして、ここに参加した現職も勿論チョックされてしまいました。 これが、公平な人事、民間出身を標榜する松原区長の人事でしょうか。私は、民意で選ばれた松原区長の預かりしらぬ場で、取り巻きが勝手にやっていると信じたいのです。区長どうでしょうか。ご存知でしたか。ご存知だとしたら大問題、知らないとしたら、裸の王様で、これまた問題。どちらでも区政のトップ、区長の責任です。お考えをうかがいます。 大田区役所に勤務する約5000名の職員さんには、それぞれに5000通りの人生があります。家族もいます。生活もあります。その家族のため、生活のため、嫌々渋々、政権に忠誠を尽くさせる今のやり方は、決して良い職場環境を作りません。職場では誰が森派なのかが注視され、「反体制」の動きの密告が常態化しています。まるで、ミサイルを撃ち込んでくる、ならず者国家のおじさんに似ていませんか。 松原区長、政権が変わるとコロリと寝返る人間は、また1年半後に、コロリと行きます。真の相談相手ではありません。そのことに早く目ざめて頂きたいのです。でなければ、多分、あなた自身が条例を改正してまで約束された3期12年は、夢また夢となってしまうに違いありません。 中にいる人間を追い出す反面、新政権は外の人材を積極的に採用してきました。特に、国際化がキャッチフレ−ズの松原政権の目玉は「観光課」創設でした。西野前区長は観光課には反対でしたから、「反西野」の象徴的施策でありましょう。そこで、初代観光課長を民間から公募し経営再建中の航空会社で定年目前の方が採用されました。採用の時期と、彼自身の民間会社での職務経験から、私は当初からこの採用を「デキレ−ス」である、と公言してまいりました。 結果、この民間出身の観光課長は8月以来病気療養を理由に登庁されていません。やむなく、嶺町特別出張所長が産業経済部副参事という異例の兼務発令を解かれて、産業政策担当副参事として、組織上はありえない課長の業務を代行しています。そもそも、役所しか知らない人々に、海千山千の民間人の採用選考能力があるのか、はなはだ疑問ではあります。今後、出航直後に沈没座礁してしまった観光課長の職はどうなるかお教えください。 次に、大田区仲六郷2丁目11番にある土地約1000平方メ−トルの取得につきうかがいます。これは、雑色駅前の連続立体交差事業の用地に一部がかかり、将来の駅前広場、また再開発の種地として極めて重要な、そして稀有な土地であり、区への売却を申し出ていただいた故人となった地主さんには、心より感謝申し上げるものであります。が、この取得先が問題であります。当初、大田区土地開発公社により取得を考えていた大田区は、土地の一部489平米に事業用定期借地権が設定されており、飲食店がビルを所有していることから、公社での取得を断念し、大田区が出資している蒲田開発事業株式会社に取得させることにしました。 その理由は、大田区土地開発公社事業方法書に、「公社が取得する土地は所有権以外の権利を抹消した後に取得する」、とされているからだ、と直井担当課長は説明されました。さらには、この方法書は東京都の認可事項なので変えられない、とも。お役人が東京都と言った場合は要注意なのは経験的に知っていましたから、根拠条例、規則を求めたところ大騒ぎになりました。要領を得ないので、私の携帯電話で、その場から所管する東京都総務局行政部区政課の伊藤さんに電話をして確認をしました。そこでわかったことは、方法書は区独自で変更出来ること、東京都には認可どころか報告もいらないことでした。その直後に直井課長を問い詰めると「ずっとそう信じてやってきた」と、意味不明な返事をされました。 念のため、一昨日、所管主務官庁である総務省自治行政局地域振興室の武田さんに、「土地開発公社が土地を購入する際、所有権以外の権利があっては買えない」とする法令、政令、省令、通達の有無を確認すると、そのようなものはない、ただ、公有地として所有権以外の権利がついているものは好ましくない、今回のような抵当権ではない有期の借地権の場合は、自治体で判断されればいい、との回答でした。 つまり、区がいつもいい訳にしている東京都も主務官庁も「土地開発公社での取得」に法的問題はない、と断言しているのです。蒲田開発事業株式会社が取得した場合には、公社では不要の不動産取得税、仲介手数料、固定資産税、都市計画税が課税されます。これらは、事務経費として税金から蒲田開発事業株式会社に支払われ、余計な歳出となってしまいます。また、すでに森総務担当部長は、みずほ銀行公金課に蒲田開発事業株式会社を借主としての融資の依頼をしているようですが、公社に比べ民間営利法人に対する貸し出し金利は高めに設定されるのが常です。この金利増額分も区の負担となります。このように、なんのメリットもない蒲田開発事業株式会社を利用しての取得には、なにか別の思惑があるのではないでしょうか。理由をお尋ねいたします。 続いて、この蒲田開発事業株式会社に大田区職員を派遣できるようにする条例改正案が本定例会に上程をされています。蒲田駅の再開発につき担当させる、との情報が漏れ聞こえてきますが、庁内所管課や蒲田開発事業株式会社どこに聞いても具体的なプランがわかりません。受け入れる蒲田開発事業株式会社でも「区からはなんら協議はないので、何をどうするのかまったくわからない」と答え、最後に「具体的な話は森部長に聞いて欲しい。」とまで言われました。おかしな話です。本来は、蒲田開発事業の社長は秋山副区長ですから「秋山社長に聞いてくれ」と答えるべきではないでしょうか。 そこでおうかがいします。蒲田開発事業に職員を何のために、何人、どのような人材をいくらの給与で、どのように、いつから派遣するのかお示しください。 最後に、真の区長は誰かについてお伺いいたします。今まで縷々お示しした事例にも出てまいりましたが、区職員の間では松原丸の船長さんは松原区長だが、舵取りの仕方がわからないので、すべて森部長が行っている。野田副区長は区長のガ−ド役、秋山副区長は蚊帳の外、遠藤部長は使い走り、とウワサされています。区長室の閉鎖性、人事の異常さ、各部課における森派と呼ばれる人々の配置などを見ると、あながち間違っていないとも思われます。 人事権を駆使して人々を操る、西野政権当時に叱責された上司、先輩に対しては報復人事。森さんになぜこれほどまで区役所が振り回されてしまうのでしょうか。森さんは、西野区長が「200X東京が変わる」という本を出版されたときに、杉坂、津村両氏とともにゴ−ストライタ−をお務めになったと言われ、この頃から発言力を強めてこられました。巧みな情報操作で多くの区議会議員を味方にすることにも成功されました。それらについては何ら異論はありません。しかし、今の区役所におけるあなたの行動は奇異ですらあります。 森さんも数年後には定年を迎えられます。働けるのも残すところ5、6年でしょう。多くの職員に慕われて逝くのも人生、恨まれて逝くのも人生。それぞれの価値観ですが、私は、ゴマすりの権力や甘い蜜に群がる人々と、残り少ない人生を共有したいとは絶対に思いません。きっと、森さんも同じだと思います。大田区の未来を真剣に考え、急ぐがあまり、異常とも映る行動をされるのでしょう。 区長、野田さん、森さん、職員が働きやすい明るい職場にしましょうよ。チクリや陰口が常態化している区役所を変えましょうよ。それが区民サ−ビス向上にもつながるのですから。区長室には、一般職員、管理職、区民がいつでも出入りし、メモを取る秘書をおくのをやめましょうよ。 議会との関係も、もはや国政では与野党交代です。地方議会では与党も野党もありません。是々非々、お互いに健全な議論を尽くせる間柄になりましょうよ。森部長のお考えをうかがいます。 残す任期1年半、やっぱり松原区長を選んでよかった、そう区民が、職員が思える区役所、区政にしようではありませんか。 以上で質問を終わります。
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